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  • 【東大二次試験対策】世界史大論述の書き方

    【東大二次試験対策】世界史大論述の書き方

    はじめに

    東大世界史の大論述って、何を書けば良いか分からず迷ったり、解答例や解説もイマイチしっくりこなかったりして大変ですよね。
    私も、受験生時代には苦労していました。

    しかし、どうにか受験を終えて東大生になり、定期試験で論文試験をたくさん受けたり、東大世界史の再現答案の採点基準作成と採点をするバイトを経験したりする中で、多少論述問題の書き方に気づきました。

    私は手遅れですが、受験生の皆さんにはぜひ入試までに論述のポイントを押さえてほしいなと思い、この記事を書かせていただきます。

    基本的な心構え

    はじめに要点を3点ご紹介します。

    1. 問題文の熟読。
    2. 題意に忠実な答案構成。
    3. 構成に沿って整理された知識の配列。

    以下、この3点を詳しく説明していきます。

    問題文の熟読

    採点基準は問題文の中に書いてある!?

    しばしば「論述問題は採点基準が曖昧だ」と言われます。私も受験生時代には採点基準がよく分からず、それっぽい知識をやみくもに書き殴っていました。

    しかし、それは違います。

    東大世界史の大論述は、リード文を含めて、問題が丁寧に書かれていることが多いです。

    そのため、問題文をしっかり読み込めば、採点基準のおおよその見当が付けられます。

    熟読の基本は現代文!

    みなさんは、現代文や東大日本史の問題では、問題文や資料文を丁寧に読もうとするでしょう。

    にも関わらず、東大世界史の大論述になると、途端に問題文をいい加減に読み飛ばし、知識だけで解こうとしてしまう……という人もいるのではないでしょうか。

    私はそんなよくない受験生でしたが、みなさんは、世界史の大論述でも、現代文と同じように問題文をよく読んでください。それだけでも、大論述の採点基準がかなり明確になるのではないでしょうか。

    主題と副題の確認と整理をしよう!

    これは当たり前ですが、まず主題の取り違え勘違いのないようにしましょう。よく注意しないと、案外やってしまうものです。(例:18年度)

    ついで、副題になっている「誘導」をきちんと押さえましょう。「以上のことを踏まえて」「〇〇に着目して」といったものです。これは答案構成で大変重要な情報になります。(例:21年度、20年度)

    最後に蛇足ですが、東大世界史の大論述では主題や副題、指定語句含めてどこかに毎年何らかの「ワナ」のようなものがあるので、ワナへの警戒も怠らないようにすると良いでしょう。

    近年で私が感じたのは以下の表の通りです。

    年度「ワナ」の例
    21年度「宗教に着目しながら」とあるのに単なる政治史を書いてしまう
    20年度「以上のことを踏まえて」とあるのに冊封体制から主権国家体制への理念と現実双方の変化が書けず比較ができない
    19年度指定語句「ロンドン会議(1830)」をギリシア独立ではなくエジプトの方と勘違いする
    18年度「女性参政権獲得の歩みや女性解放運動について、具体的に」とあるが女性参政権が単に付与されたとだけ書いてしまったり具体的に書けなかったりする
    17年度「以上のことを踏まえて」とあるのにローマと中国の比較をせずに通史を書いてしまう

    題意に忠実な答案構成

    答案構成ができる=採点基準がわかる

    ここまで「問題文を熟読せよ」と書いてきました。

    では、採点者に対して「私はきちんと問題文を読み、採点基準を理解した上で答案を書いていますよ」と伝える方法は何でしょうか。

    その唯一の方法が、答案構成をしっかり行うことです。

    答案構成をおざなりにした答案は、読むとすぐに分かるものです。そしてその答案は「採点基準が分かってないまま無軌道に書いてるな」と採点者の目には映ります。

    それではもったいないですよね。きちんと伝わる答案構成をしましょう。

    答案構成の基本は数学!?

    みなさんは、数学の問題を解く際には、「誘導」を丹念に読み解いた上で、筋道の通った答案を書くかと思います。

    しかし、論述問題になると、数学で出来ていたことを忘れてしまうことが多いのではないでしょうか。

    せっかく問題文を丹念に読み込み、誘導に気づいたなら、答案を書く前にきちんと誘導=採点基準に沿って答案構成を練り、採点者が採点しやすい答案を作成しましょう。

    確かに、数学の答案では、誘導問題の(1)や(2)の誘導に乗らずに、最後の(3)で別の解法を使ったとしても、その解法が論理的であれば満点でしょう。

    しかし、それは、かなり危険ですし、採点者からすれば「この人は誘導を見抜けない人なのかな」と不安になります。

    また、世界史の論述では数学と違って「答えが論理的に出ればそれでよし」ということはあり得ないので、数学以上に誘導に乗ることが重要になります。

    答案構成の類型

    構成の方法には色々なものがあるかと思いますが、ここでは3通りの答案構成の類型をご紹介します。

    第一の類型は、リード文に書かれている内容をそのまま具体化するものです。近年では21年度の問題が当てはまります。

    第二の類型は、2×2や2×3などの表で比較するものです。近年では20年度の問題が当てはまります。参考として20年度の答案構成の例を示しておきます。

    20年度理念現実
    冊封体制中国の皇帝が君主で周辺国の君主はその臣下(垂直的) 以下具体例
    朝鮮やベトナム、琉球の朝貢
    中国が周辺国にそこまで干渉不可(水平的) 以下具体例
    朝鮮の小中華思想
    ベトナムの君主は皇帝を自称
    それらを中国は放任
    主権国家体制主権国家は対等(水平的)

    以下具体例
    列強と各国は条約を結んで外交関係樹立
    併合であっても対等な国家間の合意による条約が基礎という建前
    列強が不平等条約の強要、植民地化(垂直的) 以下具体例
    南京条約
    清仏戦争でベトナムが仏の植民地に
    下関条約で韓国が日本に従属

    第三の類型は、多くの地域の事例等を幅広くバランスよく記述するものです。近年では19年度や18年度が当てはまります。

    以上の類型に当てはまらないものや、類型の複合型もあるかと思いますが、みなさんも問題を読み込む中で、自分なりの答案構成の型を練ってみてください。

    構成が上手く行かない時には…

    答案構成が大事だ、とは言ったものの、どうしても構成方法が分からないという事態もあるかと思います。そんなときには、以下の3点を意識してみましょう。

    第一に、問題文に立ち返ることです。

    問題文を読み返すことで、一読しただけでは理解しきれなかった要求や論点に気づけるかもしれませんよ。

    第二に、問題文が強調している視点や観点にできる限り寄り添うことです。

    たとえば、20年度の問題では、「現実と理念の両面で変容…以上のことを踏まえて」の記述から、現実と理念の比較という観点が読み取れます。

    すると、「理念はこうだが現実にはこうだった」という書き方をすれば良いことに気づけるでしょう。

    第三に、「小問集合」にできるだけ分割して、分割できた部分だけとりあえず書いてみることです。

    21年度の問題を例に取ると、「征服者と被征服者」で「ゲルマン人とローマ人」や、「ムスリムとキリスト教徒、ユダヤ教徒」など、ひとまず一問一答のように回答できるところだけ回答してみるイメージです。

    構成に沿って整理された知識の配列

    構成各部分の具体的情報を列挙

    答案構成ができたら、あとはその枠の中に適切な情報を入れ込んでいきます。

    その際に注意してほしいのは、ひとつの部分だけ情報量が多すぎたり、逆に少なすぎたりすることがないよう、バランスを取ることです。

    また、具体的な知識を枠組みの中に当てはめていく際には、指定語句のミスリードに注意しましょう。指定語句はひとつの部分に偏っていることも多いので、指定語句だけでは漏らしてしまう部分がないか、よく確認するようにしてください。

    知識を不用意にひけらかさない

    しばしば答案で細かすぎる知識を書いている人がいますが、あまりお勧めはできません。

    なぜなら、「書くべき知識の優先順位付けができておらず、やみくもに書いている」という印象を読み手に与えかねないからです。

    加えて、解答の各要素の分量と詳細さは、均一にしないとバランスが悪くなってしまいます。

    20年度の問題を例に取れば、冊封体制の現実に関する記述だけやたら細かくて、主権国家体制の記述がお粗末では、高得点は望めないでしょう。

    くれぐれも細かい知識に引きずられて脱線することがないよう、気を引き締めるようにしてください。

    まとめ

    第一に、問題文を丹念に読み込むことです。きっと採点基準=答案構成が見えてくるかと思います。

    第二に、熟読して析出した採点基準をきちんと反映した答案構成をすることです。せっかく問題文を読み込んでもここで失敗すると台無しです。

    第三に、答案構成の枠組みに沿って適切な知識を引き出し提示することです。ここで不用意に細かい知識を出して全体のバランスを崩したり、要求から脱線しては元も子もありません。最後まで気を引き締めましょう。

    おわりに

    ここまでお読みくださりありがとうございます。

    この記事を参考にして、実際に頭を働かせ、手を動かし、一年分解いてみてくださったら、とても嬉しいです。

    この記事では私なりの、一つの理想的な論述法を述べてみました。しかし、実際の東大受験では、「ベストな答案」ではなく「ベターな答案」を書くという方が感覚としては近いかと思います。

    ただ、試験本番でベターな答案が書くには、普段の練習でベストな答案を目指すのが良いでしょう。まだ時間がたっぷりある今、ひと踏ん張りしてみてはいかがでしょうか。

  • 【東大生が教える】日本史の勉強法

    【東大生が教える】日本史の勉強法

    はじめに

    中学校で習う日本史に比べると、高校日本史の内容は格段に深く細かくなっており、学習に苦労している方も多いと思います。確かに暗記が多く大変な科目ではありますが、高得点をとることができるか否かで試験にも大きく影響する重要な科目です。

    そこで、今回は日本史の勉強について共通テストや私大受験、二次試験のための対策にも言及しながらアドバイスをしていきます。


    日本史を勉強する上で

    これから日本史を学習していく人は、事前に日本史を概観できていると学習した内容が頭に入りやすくなります。

    そこでおすすめするのが、「学習漫画日本の歴史」などの日本史を通史形式で描いた漫画を読むことです。漫画なので読み終えるのにそれほど時間がかからず、楽しみながら読むことができ、内容を吸収しやすいと思います。ただし、内容を「覚えよう」とするのではなく、あくまでざっくりと理解する姿勢が重要です。「覚えなければ」という意識があるとどうしても楽しむことができず、読むのに時間をかけてしまいがちだからです。既に高校で日本史を学んでいる人にもおすすめなので、ぜひ一度試してみてください。

    そして、歴史はおもしろいと感じられると覚えやすくなるものなので、日本史は楽しんだ人勝ちだといえます。私が高校日本史を学習していたときは、教科書に載っている人物や出来事などについて、電子辞書に搭載されている百科事典やウィキペディアを使っておもしろいエピソードを探していました。皆さんも日本史の学習を楽しむ姿勢を持ち、工夫して学習すると良いと思います。


    日本史の勉強の基本

    1. 勉強法総論

    どの教科にも通ずることではありますが、最も重要なことは授業をきちんと聞くことです。高校日本史の中には、教科書の記述がわかりにくく自力では理解が難しい事柄も多くあります。しかも、そのようなポイントに限って試験の頻出事項であることが多いです。授業では当然そのようなポイントを先生方が解説することになるので、それを聞き逃さないようにしましょう。また、わからないことがある場合は先生に質問をしてすぐに疑問を解消する癖をつけましょう。これを怠ると、理解できていないことが多いのに受験直前期になって気づき、結局それらを解消できないまま本番を迎えてしまう可能性が高くなるからです。

    授業後の学習の流れとしては、まず最初に教科書の精読をすべきです。教科書の精読をすることで、歴史の流れや語句の定義、出来事の背景・意義・影響を掴みましょう。私大入試を除き、試験で解答となるものは全て教科書に書いてあるのでこの作業は非常に重要になります。教科書を精読した後は、単語のチェックをしましょう。この際、用語集をただ眺めるだけでは良くありません。日本史は漢字を含めて覚えなければならないため、書き取りをして漢字ミスのないようにする必要があります。一点を争う本番では漢字のミスが非常に痛い失点となることを心に留めておきましょう。学校で何らかの空欄補充問題集をもらっている人はぜひそれを活用してください。学校でもらっていない人も同じような問題集はたくさん市販されているので、それを購入することをおすすめします。

    自分でまとめノートを作る人もいるかと思いますが、ノート作りは必要な労力が大きいので、時間の限られた高校生にはあまりおすすめしません。ただし、テストで間違ったポイントなどをまとめた復習ノートは、いつでもどこでもノート一冊で間違いを潰していけるのでとても便利です。

    2. 分野ごとの勉強法

    政治史

    政治史では、各時代の統治機構をしっかりと理解しておくことが重要です。教科書には詳しく書かれているので、精読をして確実に押さえましょう。外交関係については、日本を取り巻く国際情勢もよく理解しておく必要があるので、世界史の知識が役立ちます。世界史を選択していない人は、日本の周辺国について成立時期・最盛期・衰退時期などの知識は最低限押さえておきましょう。また、近現代の政治史を苦手とする人は多いですが、それは近現代以前の時代の歴史に比べて、近現代を学習する時間が少ないことが大きな原因だと思います。それゆえに、時間的余裕がある人は、近現代史については授業前に教科書を読んでおくなど先取りをして授業に臨むと良いと思います。

    経済史

    経済用語については漠然とした理解で済ませてしまうことが多いですが、経済史を理解する上で経済用語は非常に重要なので、わからない用語は先生に聞いたりネットで調べたりしてしっかり理解できるように努めましょう。

    社会史

    町や村落の様相、庶民の生活などを扱う社会史も、内容が複雑なゆえに理解が疎かになりがちな分野です。しかし、近年この分野の研究が進んでいることもあり、入試では頻出の分野体的に理解していくことが良いと思います。

    文化史

    暗記の負担が重いため後回しにしがちですが、試験では文化史の問題で正確に答えられると周囲に差をつけることができます。文化史を学習する際は必ず資料集を手元におき、絵画・仏像などについては図版を見て用語と一致させましょう。また、文学作品についてはその作品の内容を少し知っているだけでもかなり覚えやすくなります。


    日本史の入試対策

    1. 共通テスト

    受験生がするべきことはセンター試験のときと変わらず、試験までにしっかりとした理解に基づいた知識の吸収をすることです。ただし、問題傾向が変わるので問題演習は入念にしておく必要があります。直前期(試験の1〜2ヶ月前)にはインプットよりもアウトプットに重点を置き、その過程で知識に漏れがあったら潰すという作業を繰り返すことが効率的でおすすめです。

    2. 私大試験

    私大の日本史では教科書に載っていないマニアックな事柄が当たり前のように出題されます。とはいえ、問題の多くは教科書に載っている事項なので、まずは教科書の内容の吸収を最優先しましょう。全体的に難易度が高く他の問題での挽回がしにくい私大入試では、こういった基本問題を落とすと致命傷になりかねません。教科書に載っていない事項については、用語集や資料集に載っている知識の吸収に留めるべきです。深入りするとキリがないため、基本が疎かになってしまう可能性があります。

    3. 国公立二次試験

    東大

    東大の二次試験の日本史の出題形式は他大学に見られない独特のものです。細かい知識は必要ありませんが、教科書を中心として学習したことを確実に理解していなければならないうえ、短時間で資料の読み取りを行い、厳しい制限字数に収まるよう解答をまとめる論理な力や文章力も問われます。また、古代・中世・近世・近現代から一題ずつ出題されるため、万遍なく勉強しておく必要があります。それゆえに、東大日本史には特に入念な過去問演習が必要になります。
    演習を行った後には、高校や塾の先生に添削をしていただき、それを踏まえて解答を修正し自分で納得のいく答案を仕上げるという作業を繰り返すことが理想的です。もし、添削していただくのが厳しいのであれば、ネットや過去問集で公開されている各予備校の解答例を比較し、完璧な解答に必要な要素を拾い集めていく作業が有効だと思います。過去問に手をつけてしばらくは、制限時間を気にせずじっくり考えて解くのがおすすめですが、共通テスト終了後は時間を測って制限時間内に質の良い解答を仕上げられるように練習しましょう。
    なお、駿台文庫の『日本史の論点』は論述に必要な視点を身につけることができる優れた参考書なので、ぜひ使ってみてください。

    東大以外

    東大以外の大学の論述問題は、短い問題文の指示に従って事実を並べていく形のものが多い印象があります。過去問が十分に手に入らない大学も多いので、似通った出題形式をとる他大学の問題に取り組むなどしないと十分な演習量を確保できない恐れがあります。制限字数が多く、書き始めると修正が難しい場合もあるので、あらかじめ論述の要素をまとめた簡単な設計図を書いてから清書をすることをおすすめします。
    なお、前述の参考書『日本史の論点』は論述問題を課す多くの大学の対策として使えるものになっています。


    おわりに

    いかがでしたでしょうか?日本史は負担の大きい教科ではありますが、しっかりと取り組めば高得点を狙える科目でもあります。この記事の内容は私の経験から考えたことなので、あくまでも参考程度にしてください。人それぞれ合う勉強法と合わない勉強法があります。この記事に書かれたことを実践してみてももちろん良いですが、自分に合わないなと感じたらすぐにやめてください。自分で納得のいく勉強をすることが何より大切です。

    最後まで読んでいただいてありがとうございました。

  • 【東大生が教える】世界史の勉強法

    【東大生が教える】世界史の勉強法

    はじめに

    「範囲が膨大すぎて何から覚えていいかわからない……」
    「覚えたはずなのにすぐにごちゃごちゃになってしまう……」
    世界史について、こんな悩みを抱えている人もいるのではないでしょうか。

    暗記科目の代名詞である世界史には、苦手意識を持つ人も少なくないでしょう。
    ですが、裏を返せば、一度しっかりと覚えてしまえば安定して高得点を狙える科目でもあります。

    今回は、世界史が大の苦手だった私が、苦手を克服しセンター世界史で満点、東大二次で約8割を取ることができた勉強法をご紹介します。


    効果的な暗記のためのポイント

    私が世界史を勉強するときに意識していたのは、以下の4点です。


    1. 復習は反復して行う

    みなさんは、いつ、何度復習をするのか、決めて学習に取り組んでいますか?

    復習は面倒くさいからと放置したり、その結果として、問題を解いているうちに知識の欠落に気付き慌てて復習したり……といったことをすれば、成績の向上は見込めないでしょう。
    何より、一度忘れてしまってから覚え直すのは、とても効率が悪いです。

    受験生ならば一度は聞いたことがあるであろう、エビングハウスの忘却曲線。これに基づいて、忘れきってしまう前にこまめに復習することで、一から覚え直すよりも遥かに少ない労力で記憶の定着を図ることができます。

    記憶は、エビングハウスの忘却曲線に合わせたスパンで繰り返し復習することで定着します。翌日、三日後、一週間後……というように段々間隔を延ばしながら復習に取り組んでみてください。

    「何度も復習をするなんて大変すぎる」
    「世界史にそんなに時間をかけられない」

    と思うかもしれません。ですが、先に述べた通り、ほとんど覚えてない状態から覚え直すのと、ある程度覚えている状態から覚え直すのとでは、労力もかかる時間も違います。何度も繰り返し復習することが、結果として近道になるのです。


    2. 文脈を知る

    ここで言う「文脈」とは、出来事の背景・意義や、出来事と出来事のつながりなど、言わば世界史における事象に関する「ストーリー」です。

    これを知ることで、単なる暗記に陥るのを避けることができるため、知識がごちゃごちゃになりにくくなります。さらには、論述問題にも活かせるようになります。

    「文脈」を意識して授業を聞いたり、教科書を読んだりしてみてください。
    より理解を深めたければ、流れを理解することに重点を置いた参考書を手に取ってみるのも良いでしょう。

    3. 重要なものから覚える

    世界史で出てくる事項が、全て同じ重要性を持つわけではありません。

    絶対に覚えるべき頻出事項から、国公立二次試験レベルのもの、私大レベルのものとまちまちで、受験する大学によっても各事項の重要度は異なります。
    自分の志望校の出題傾向を知り、どこまで覚えなければならないか把握しましょう。

    「覚えるのがどうしても苦手だ」という人は特に、教科書の太字や、一問一答で一番高い重要度がつけられている事項から覚えましょう。
    最重要の事項を覚えて大きな枠組みを作り、そこに必要に応じて細々とした事項を嵌め込んでいくイメージで知識を増やしていくと良いです。


    4. 自分の傾向を知る

    これは世界史に限らず勉強全般に言えることですが、まず自分の傾向を把握することに努めましょう。

    黙読して覚えるのが合っている人もいれば、口に出して覚えることが合っている人、手を動かして覚えることが合っている人もいます。私の知人の中には、「口に出しながら歩き回るのが一番覚えやすい」と言う人もいます。また、記憶力も人によって違います。

    どれぐらいのスパンで復習するのが自分に一番合っているのか、実際に試して探ってみてください。

    私の場合は、具体的なイメージやストーリーを伴った方が覚えやすかったので、資料集で地図と照らし合わせながら出来事の暗記をしていました。

    文化史は特に苦手でしたが、固有名詞を時代やジャンルごとに羅列しただけの暗記に陥ってしまっていたことが原因でした。
    作者と作品名だけを覚えるのではなく、物語のあらすじや絵画の実物を把握するようにしたところ、以前より格段に覚えやすくなりました。

    同様に、どうしても覚えにくい人物や出来事については、自分で調べてみて知識を補完するようにしていました。


    基本の世界史勉強サイクル

    ここで、実際に私が行なっていた勉強サイクルを一例としてご紹介します。

    1. 授業を受ける

    私が受けていた授業は、基本的に先生自作のプリントに穴埋めをしていくスタイルでした。
    このとき、括弧の中に入る単語や年号は絶対に聞き漏らさないように気を付けつつ、先生が喋った内容をなるべくたくさんメモするようにしていました。

     2. その日のうちに復習する

    休憩時間や移動時間、寝る前のちょっとした時間などを使って、その日使ったプリント全てにざっと目を通しました。

    このとき重視していたのは、「その日の授業で扱った範囲の流れがきちんと掴めているか」ということです。

    括弧の中を隠して覚えているか確認することは特にしていませんでした。その代わり、復習中に思い出した授業中にメモしきれなかったことや、因果関係を自分なりに言語化したもの、気付きなどを書き足していました。

    授業中や復習中になるべくたくさんメモを残すようにしていたのは、ストーリーがある方が覚えやすいという自分の傾向を踏まえ、そういう些細な記憶が暗記や思い出すときに役立つことを経験的に知っていたためです。

    3. 3日以内に復習と論述演習をする

    「3日以内に」と書きましたが、模試などでどうしても時間が取れなかったときを除いて、復習は翌日に行っていました。論述演習のタイミングはまちまちでしたが、記憶の定着を図るために必ず3日以内に行っていました。これについては後述します。

    このときの復習では、穴埋めの暗記・確認、穴埋め式問題集の演習を行っていました。間違えたところは時間を置いて見直しをし、ほとんど覚えられたら論述に移る、という形でした。

    4. 翌授業日までに教科書の習った範囲を読む

    世界史のために週に何度もまとまった時間をとる余裕のある人は、おそらく少数です。そして、世界史の教科書は分量も多く、通読するにはかなりの時間と根気が必要になります。

    そのため私は、休憩時間などを活用して次の授業までにその授業で習った範囲を読み、分割して全体を読み切れるようにしていました。

    5. 翌授業日にさっと復習する

    私の場合は、世界史の授業の前に昼休憩があったので、そこで復習していました。
    授業前の休憩でざっと見返す程度でよく、時間が取れなければ前日でも良いでしょう。次の授業までに済ませるのは、内容が混ざってしまうのを防ぐためです。

    このとき授業の内容をほとんど思い出せるようであれば問題なく、思い出せなければ次の分とまとめて復習し、次からの復習のスパンを見直します。こうして、自分に合った復習のサイクルを作りました。


    論述対策について

    ここでは、論述を課す大学を受験する人向けに論述対策について説明します。

    私が推奨するのは、授業で習った範囲の論述問題にすぐに取り組むことです。

    授業の進度にもよりますが、だいたい週2題ほどで十分です。私は、200字〜600字のものを2, 3題、合計800字程度を目安にして毎週取り組んでいました。せっかく解いた問題は、ぜひ先生に添削してもらいましょう。

    論述問題にすぐに取り組むことを推奨する理由は、2つあります。

    まず1つ目は、単純に論述問題に慣れることです。
    早いうちから論述問題に取り組んでいれば、その分多くの論述問題を解くことができます。加えて、論述の作法や論述に必要な知識・着目すべき観点を知り、それ以降の学習に活かすことができます。

    2つ目は、復習の完成度をチェックし、アウトプットすることによりさらに記憶の定着させられることです。
    覚えたつもり・理解したつもりだったができていなかったという事態はよくあります。アウトプットに取り組むことで、それになるべく早く気付き、修正することができるのです。

    ↓論述問題についてはこちらの記事もチェック↓
    【東大二次試験対策】世界史大論述の書き方


    おわりに

    私自身は、世界史は完全なる暗記科目ではないと思っています。論述問題は、暗記していれば解けるような問題ではないからです。

    一方で、一定の知識がなければ話にならないのも確かであり、どこまで覚えなければならないか、見極めながら取り組む必要がある科目です。

    「自分の傾向を知る」で触れた通り、人によって向いている暗記法は様々で、記憶力も違います。様々な方法を試し、自分に合った学習のサイクルをつくってみてください

  • 【東大生が教える】地理の勉強法

    【東大生が教える】地理の勉強法

    はじめに

    受験科目としての地理に、皆さんはどのような印象を持っているでしょうか。

    つかみどころの無い用語が出てきたり、淡々と固有名詞を覚えていったり、「こんなの知らないよ!」と舌打ちしてしまうような資料が出題されたりして、ネガティブな印象を抱く人も少なくないかもしれません。

    しかし、受験地理は、少ない労力で大きな点数をもぎ取れる可能性を秘め、更に教養も深められるお得な教科であると僕は考えています。

    そこでこの記事では、そんな地理の魅力と、実際の勉強法を紹介していきます。

    地理の魅力

    まず、地理は覚えなければいけないことばがとても少ないです。恥ずかしい話ですが、僕は今でも都道府県の位置を全部覚えていません。自信を持って言えるのは半分くらい。受験生時代、名古屋県とか平気で言ってしまっていました。(それが常識的にどうなのか、ということはここでは置いておきます。)

    ところが、そんな僕でも地理でアドバンテージをとれていましたなぜでしょうか?

    それは、受験地理において必要なのは、たくさんことばや理論を知っていることではなく、「基本的な理解をもとに、その場で応用する」ことだからです。これは東大などの論述式試験に限った話ではなく、センター試験でも通用する話です。

    もちろん、もっと高度な知識(といっても教科書や資料集にあるものが大半である)を求められる問題もあります。しかし、地理は「その場で考えて、自分なりの解答をなんとかひねり出す」ことで点数に結びつく問題がとても多いです。逆に言えば、知識があるだけでは答えられない問題が出題されます。つまり、地理は暗記科目ではないのです。

    地理の勉強法

    0. 概観

    以下、受験地理の勉強法を紹介していきますが、地理で9割を超えるようないわゆる「高得点」を安定して取るのはまず困難です。どんなに得意な人でも知らない・わからない問題は発生してしまいます。目標とするところは「ちょっと得意」くらいにした方が無難でしょう。

    地理は、ある程度まではすぐに点を取れるようになりますが、その上を目指すことが非常に大変な教科です。センター試験・共通テストでいえば、6割くらいまでは基礎を学び問題に慣れれば到達します。個人差は大いにありますが、学校の授業+1日1時間勉強×3ヶ月くらいで取れるようになるでしょう。

    しかし、他教科との兼ね合いや志望校が要求する水準との関係もありますが、センター試験・共通テストの目標点は高くても85点くらいにして、高望みし過ぎない方がいいです。マニアックな問題まで取りこぼさないようにしてしまうと、ドツボに嵌りかねません。標準的・頻出の問題を拾いきれば大丈夫です。最小の努力で最大の結果を得ることを目指しましょう。(「自分は受験地理が得意だ!!」と思った人はさらに高みを目指してください!ただし、他の教科を疎かにしてはいけません。受験はあくまでも総合点勝負であることを忘れずに。)

    では、具体的に勉強法を紹介していきます。とはいえ細かい部分になると、結局は個人の弱点などに依るので、この記事では勉強する上での大きな柱を挙げます。

    1. 大→小の順で学ぶ

    ここでの「大」は、「自然」と「産業」のこと、つまり基礎を指します。これらの盤石な理解を足場として、様々な方向へ推測の架け橋を架けられます。その中でも「気候」「資源」は非常に大事です。センター試験には必ずこの分野からの出題が複数ありました。地理界のアダムとイブといえるでしょう。これらを学ぶ時、なぜ?どうして?を大切にしてください。

    例えば、ロシア東部・シベリアは同緯度の地域と比べて卓越して寒いです。これをただそういうものだとして覚えるのではなく、原理から理解しましょう。そうすることで、ロシアの場合以外の場合にも応用できるようになるのです。

    こうした基礎を自分のものとした後に、地域ごとの情報をインプットすると頭に入ってきやすいです。もちろん、並行して学ぶのもありです。

    根本原理を理解する時には、教科書や資料集以外からも多種多様な情報を集めて、妥協せずに完全に納得することが近道です。また、日常生活に関係することから出題されることもよくあります。常にアンテナを広く伸ばし、日常からも学ぶことができるといいですね。(覚える、暗記する必要性は小さいです。覚えるべきことは、問題に遭遇した時に、その問題を解きながら吸収していきましょう。)

    2. 地図帳を愛でる

    地図帳の最後の方にカラフルな地図が何種類もついていますよね。ここが地図帳の一番役に立つ部分です。少々乱暴なことを言えば、このあたりのページを見ながら問題を解くと、マーク式問題の半分くらいは正解できると思います。気候や標高、災害、資源分布等の多角的なデータを、目で見て身体に染み付けましょう。暇な時は地図帳を見ること!

    学習したての時は、「あー、見たことあるけど、なんだっけ……。」ということが多発すると思います。それでもめげずに、その度に地図帳を繰って、補強を重ねていきましょう。そう簡単に会得できるものではありませんが、是非マスターして武器にしてほしいです。さらに、自分なりに大切だと思うことがあればどんどん書き込んだり付箋をつけたりして、自分だけの地図帳を紡ぎましょう!

    3. 問題に多く触れる

    結局これが一番大事なことです。他の教科にも通じる話ですが、問題を解けるようになるためには、たくさん問題を解かなければなりません。知識を得ただけでは点に結びつかないのです。楽譜を覚えても演奏できないのと同じ。知識が完璧でないからといって問題に挑戦しないのは愚かなことですし、そもそも完璧な知識なんて誰も持っていません。足場がぐらついている段階でも、どんどん問題に挑戦しましょう。何が自分に足りていないのかが見えてくるし、案外もう通用するフェイズに進行しているかもしれませんよ。

    足場が固まった(標準的なことを理解した)後は、橋を架ける技術を磨いて(得点をもぎ取りに)いくことになります。ゴール地点がマーク式の問題を解くことならマーク式の問題集や過去問を、記述も必要ならその大学の過去問を真剣に考え抜いて徹底的に解き、解説を読み込み、読み込み(大事なことなので2回言いました)、問題の全てを自分のことばで解説できるようにして、己の血肉としましょう。

    そして少し時間を空けてからの解き直しを忘れずに。1週間経ってから解き直してもスラスラ解けるようなら、身についた証拠です。解説を読み込んだ後に、問題に対する理解度に応じて自分なりの記号をつけておけば、解き直しの際の時間短縮につながります。何も見ないで全選択肢・問題について正解・不正解の理由を説明できるようになれば完璧です。

    これらの作業を丁寧にこなしていきましょう。地理で合格点を取るためにセンスなんてものはあまり関係なく、成績が上がらないはずがありません。(実際にこの大変な解き直しループを完遂できる人は残念ながら少ないと思いますが……。)他の問題集をやって寄り道している時間はありません。狡猾に、効率的に点数を稼ぐことを目指しましょう。私たちに残された時間は多くありません!

    おわりに

    以上、高校地理について、僕の経験に基づき、ある意味偏見にまみれながら書かせていただきました。

    これは地理に限った話ではありませんが、「情報を鵜呑みにしない」ことがこれからの世界では大切になってきます。当然、僕のこの話も含めて。最後の選択をするのは自分であるべきです。世間に溢れかえっている情報を取捨選択して、自分にとって最善の選択ができるよう頑張ってください!

    最後までお読みいただき、ありがとうございました。