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  • 【メルマガ試し読み】二次試験各教科の対策(化学)

    【メルマガ試し読み】二次試験各教科の対策(化学)

    過去に配信されたメールマガジンの記事になります。東大生の生の声が綴られています。お楽しみください!(なお、執筆者の科類や学年は執筆時点でのものとなります。)


    理科二類1年 H.N.

    みなさんこんにちは。
    入試本番が近づいてくるこの季節。みなさんどうお過ごしでしょうか?
    今回は二次試験各教科の対策(化学)ということで、私なりのアドバイスと私が実際にやっていた試験対策について話していきたいと思います。

    1. まずは己の敵を知る
    「彼を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉を皆さんはご存知でしょうか?
    これは古代中国の兵法家・孫武の言葉で、
    「敵の実力や現状を把握し、そして自分自身の実力もきちんと把握していれば何度戦っても負けることはない」という意味です。
    これを受験に置き換えてみると
    「受験する学校の問題の傾向や分量をしっかり把握して、自分の実力がどれぐらいなのかということを把握していれば本番でも焦らずに問題に取り組める」
    というふうになるのかなと私は思います。
    では具体的に何をすればいいのかということを文章にすると、
    「敵を知る」という部分は、
    ・参考書などで過去問をみる
    ・過去3、4年の平均点・最低点を見て、各教科の目標点をセットする
    「己を知る」の知るという部分は、
    ・過去問を解いてみてどれぐらいできたか確認する
    ・上の結果から自分の弱点を洗い出し、重点的に補強する
    というふうになるかと思います。
    なんだ、普段よく言われていることじゃないかと感じたかも知れませんが、よく言われることというのは結局大事なことだからよく言われるんですよね。
    なので地道に取り組むことが一番の勉強法であると言えそうです。

    2. 化学(理系向け)の対策について
    先程は受験対策全体についての話をしましたが、今度は化学に焦点を絞って話していきたいと思います。
    化学はほとんどの理系の人が選んでいる科目じゃないかなと思います。
    実際今までのセンター試験においても化学を選択した人が一番多かったです。(化学基礎は生物基礎に負けてますがそれでも2番目に選ばれていました。)
    なのでなるべく汎用性が高いアドバイスができたらいいなと思っています。
    ここでは、理論化学・無機化学・有機化学という高校化学の分類にしたがってそれぞれの対策について述べていこうと思います。

    1)理論化学
    理論化学は他の分野と比べ計算が多く、難しい問題が出やすいので、苦手な方も多いのではないかと思います。
    しかし、理論化学の問題は基本となる法則や式の定義、反応を完璧に押さえていれば、それらの組み合わせだけで解けるようになっています。
    したがって理論化学の対策としては、
    ・基本的な法則・式・反応を完璧に把握する
    ・上の知識を使って速く正確に計算ができるように演習を沢山こなす
    ということになります。
    しかも、無機化学や有機化学の問題でも理論化学の知識を使うことは多々あります。
    化学が苦手だったり化学の点数をもっと安定させたいという人はまず基本的な事項がちゃんと頭に入っているか確認しましょう。

    2)無機化学
    無機化学は理論化学とは一転して暗記が多い分野、というかほぼ暗記です。
    問題もほとんどパターン化されていて、難易度もそこまで高くはなりません。
    したがって無機化学の対策としては、
    ・暗記事項を完璧にする(聞かれたら反射で出るくらい)
    ということしかいえません。
    暗記が苦手だという人には少し辛いかも知れませんが、
    逆に言えば暗記さえできれば無機化学で点を落とすことは無いとも言えますので語呂合わせや反復練習で頑張りましょう。
    参考書などで出てくる語呂合わせがしっくりこないのであれば自分でオリジナルの語呂合わせを作りましょう。
    あとくだらない語呂合わせの方が意外と記憶に残りやすかったりもします。

    3)有機化学
    有機化学は暗記と演習の割合が半々ですね。
    二次試験の有機化学の問題は何か物質が出てきて、その物質についての実験の記述から物質の構造決定をしていくというものがほとんどかなと思います。
    となると、実験結果から何がわかるのか(物質の官能基・分子量・分子構造など)ということがわからないと手も足も出ないですね。
    したがって有機化学の対策としては、
    ・物質の性質・反応を完璧に把握する(実験の記述みてパッと関連する性質・反応が思いつけるぐらい)
    ・元素分析や分子量の計算の演習をする
    という感じになります。
    もし知らない物質が出てきたとしても、高校範囲で構造が求められるようなものしか出ませんので冷静に問題に取り組みましょう。

    3. 筆者が実際にやっていた対策
    次に、私が実際にやっていた二次試験の対策を述べたいと思います。
    私は化学が比較的得意かつ物理が壊滅的でした(本番は17点でした。これでも良い方)ので、必然的に化学で点数を取らざるをえませんでした。
    東大入試は理科が2科目150分ということもあって時間配分も大事になってくるのですが、前述した通り私は物理ができません。
    なので物理に時間を割けるように時間配分を化学60分、物理70分、残りで見直しと飛ばした問題に手をつけるというように設定していました。
    解く順番でいうと化学を先に解く派は少数らしいですね。
    でも私は物理の方が時間がかかってしまうのでどうしてもこの順番じゃないと時間が足りませんでした。
    なので本番で時間配分が狂わないように大問1つを20分で解くという演習をずっとしていました。
    最初のうちは計算が間に合わなかったりで6、7割しか終わらなかったのですが、最終的に本番前の時期では20分以内で全問解けるようになりました。
    当時使っていた参考書は赤本でした。赤本のいいところは分野別になっていることと年度順になっていることです。
    これは大問を1つずつ解くという演習をしていた私にはとても有り難かったです。
    ただ分野別に問題が分けられているので、年度ごとにまとめて解きたい人にはあまり向かないかなと思います。

    4. 最後に
    長々と書いてきましたが、私のアドバイスがこれを読んだ方全員に刺さるものだとは思っていません。
    使えると思ったところだけ使ってください。皆さんが最後まで受験を走り抜けられるように応援しています。


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  • 精密工学科〜機械系学科へのススメ〜

    精密工学科〜機械系学科へのススメ〜

    1. 精密工学科とは

    こんにちは!
    ここでは精密工学科がどんな学科かみなさんに紹介します!

    うちの学科はRT(ロボテク)とPT(プロテク)の2つを大きな軸として教育が行われています。

    ロボテク(Robot Technologies)とはみなさんがイメージするロボットの開発はもちろん、ロボットの動きを制御する制御工学や、動きを感知するセンサ工学など、機械を人間の意思の通りにコントロールしようとする学問のことを指します。一方プロテク(Production Technologies)とは、コンピュータによる設計技術、高い精度で原料を加工しようとする加工学、材料の長さや大きさを正確に計測しようとする計測学など、製造技術の高度化、デジタル化を目指す学問のことを指します。

    これらは密接に関わっているものであり、この2つを基礎からしっかりと教えることで、将来社会で活躍する人材を育成している学科です。


    2. 授業紹介

    さて学科の説明は以上ですが、ここまでではまだどういうことを勉強しているのか、あまりイメージがついていない人も多いのではないかと思います。そこでみなさんには僕が受けた授業の中から個人的に面白かったものについて紹介させてもらいたいと思います!そこからどんなことをやるのかイメージを持ってもらえたら幸いです。


    a. 精密計測工学

    小さなものを加工したいときにはそもそも長さを正確に測る必要があります。しかし物を正確に知り、人に伝えるためには知識が必要です。その知識を学ぶのがこの授業になります。
    例えば同じ10cmという結果でも、1cmごとに目盛りが書いてある定規を使ったのか、それとも0.001cmごとに目盛りが書いてある定規を使ってちょうど10cmだったのかではその長さの正確さが全然違いますよね。

    普通に日常生活を過ごす分にはそんな違いは気にしなくても問題ありませんが、精密機器を作る上では0.001mm単位での高い精度の加工が求められます。そしてその精度の小さなものを作る時に、前の工程で1cmごとに目盛りが書いてあるような荒い定規で材料を測ってたら、精密な機械は作れませんよね。

    じゃああらゆる製品を最大限正確に測ればいいかというと、そんなことはありません。正確に測ろうとすればするほど手間もお金もかかるので、1つの製品を作るのに必要以上のコストがかかってしまいます。

    そのため必要なのは「適切な精度の計測を行うこと」「よりよい計測の方法を追求すること」なわけです。
    この授業ではそういう計測に関わる事柄を学びます。

    ここまで聞いて「面白くなくね?」と思う人もいるかもしれません笑。実際僕も授業を聞いているだけではいまいちピンとこないし、面白くないと感じることもありました。
    しかし実際の加工機械を見学させていただき、この考え方が非常に重要なものとして取り扱われているところをみて、この授業の必要性を理解し、非常に奥が深い面白い分野だと感じることができました。

    高校生のみなさんはこの授業の説明を聞いて、「この分野面白そう!」って感じてもらう必要はありません。(もちろん面白いと感じてもらえたらそれに越したことはありませんが)ただ機械系の学問を受けるためにはこのような学問を学ばなければならないってことを知ってもらえればいいのかなと思います。


    b. 画像処理工学

    こちらは今話題のDeep Learningとかと関連して非常に人気な学問です。
    この分野では「画像をどのようにして加工、処理するか」ということを学びます。

    例えば写真を撮って取り込んだ時、様々な理由で綺麗に取り込むことができないことがあります。カメラを持つ時の手ブレ、写真を電子データに変換する際の他の電気部品からの悪影響etc。これらの綺麗に取り込む上での悪影響を「ノイズ」といいます。このノイズがどういうものかを理解すれば、逆にそのノイズを消す方法も考えることができますよね。そうやって綺麗な画像を出力しようとするのがこの分野です。

    また他の例としては、画像の加工技術について学びました。ぼかしや彩度の強調や、輪郭を強調などといった画像を加工する技術は皆さんにとっても身近な技術だと思います。そういった技術の基礎もこの授業で習うトピックの一つです。

    この授業は別の授業で習ったプログラミングの技術も活かすことで、実際に画像処理を体験してみることができます。自分で作ったプログラミングで、画像を白黒画像に加工したり、画像を半分鏡に映したような画像に加工できたときは嬉しかったです。


    c. 精密工学実践演習

    工学の醍醐味である「実際に何かを作ってみる」ということを体験する授業です。この授業の場合はテーマが3種類に分かれていて、それぞれのテーマについて専門の先生の指導のもと、実習に取り組みます。

    1つ目のテーマは倒立振子という自分の傾きや移動距離を認知して、倒れないようにしながら前に進む簡単なロボットを作りました。(倒立振子については説明するよりも検索してくれた方がイメージがしやすいと思うのでぜひ検索してみてください)

    このテーマでは電気回路を組み立てるところから、傾きを認知してモーターの回転を制御するプログラムを書くところまで全て学生がやります。他の授業で電気回路の仕組みや、速度や傾きを元にモーターの回転数を考える考え方の基本は学んでいるので、その学んだことを生かせる授業となっています。実際に自分が組み立てたロボットが思い通りに動いた時は本当に感動できます。

    2つ目のテーマは生体信号を計測する機器を製作しました。この機器は人の脈拍を確認するものです。脈拍を電気信号に変換するのですが、脈拍は非常に小さなもので、機器の都合上ノイズも入りやすいため、ノイズを減らしつつ電気信号を大きくすることが求められます。その機器を実現するためにグループでどんな回路にするのがいいかを話し合いながら機器を実現させました。

    3つ目のテーマは金属加工、組み立ての演習を行いました。金属を誤差0.001mm単位で精密に加工するには特殊な加工技術が必要です。その特殊な技術を実際に見学したり、金属加工をする際にはどのようなことに気をつける必要があるか、ということを演習を通して学びました。

    どのテーマも前提となる知識は別の授業で習っているのですが、いざ実際に使ってみるとなるとなかなか難しいものでした。しかし実際に使うことでよりその分野についての理解が深まり、学習意欲も向上しました。
    「工学」という学問はものを作るためにある学問です。そのためこうやって実際にものを作る体験ができることは非常に貴重な経験でしたし、何より楽しかったです。


    3. 最後に

    以上が授業の説明となります。
    これを読んでくれたみなさんが精密工学科の生徒が日々どんなことを学んでいるのか少しイメージを持ってくれたら幸いです。これを読んで興味を持ってくれた人は大学の機械系の学科を調べてみるといいと思います。きっとあなたの興味にあった学科を見つけることができると思います!

  • 応用化学ってどんな学問?【東大工学部応用化学科】

    応用化学ってどんな学問?【東大工学部応用化学科】

    1. はじめに

    こんにちは!この記事では応用化学という学問について紹介しようと思います。一口に「応用化学」とはいっても非常に範囲が広いので、主に私の所属する東京大学工学部の応用化学科についての話になる部分もありますのでご了承ください……。
    この記事では、応用化学がどんな学問であるのか、応用化学科がどんな学科であるのかをはじめ、大学の学問と高校の学問の違いなどについても少し触れていきたいと思います。学部選びに悩んでいる方などぜひ読んでみてください!


    2. 応用化学とは

    まずは応用化学という学問について紹介します。簡単に言うと、「応用」とついている通り、世の中に「応用」できる技術や素材などを化学を通じて開発することを目指す学問です。役に立つかどうか、コストや安全性などの面で実用可能かどうかが重要になるので、工学部のもとで学ぶことが多く、東大でも応用化学科は工学部に属しています。

    応用化学は実学なので、自分の学んだ理論や紙面上の学問が、現実ではどのように活用されているのかについて興味のある人におすすめです。他にも、化学に興味のある人はもちろん、情報やIT系など実態の見えにくいものより「物質」を扱いたい人や、一般的にイメージされる科学者・研究者のような職業に憧れる人、世の中の役に立ちたい人などは、楽しんで応用化学を学べると思います。

    ここまでの説明を読んでわかったかもしれませんが、非常に幅の広い学問なので、化学方面に興味があるけどいまいち自分の興味が定まらない……。という人にとっても、化学を幅広く学べるという点で良い学問だと思います。


    3. 応用化学科での勉強

    次に、工学部応用化学科がどのような学部であるかを紹介していきます。先ほども述べた通り、応用化学は化学一般を扱うので、座学で学ぶべきことが非常に多いです。以下に例として、応用化学科で私が学んでいることをいくつかあげてみます。

    ・高校範囲の延長の学問

    応用化学は実学だと言いましたが、そうはいっても「応用」するためには「基礎」も重要です。応用化学科においては、化学の基礎を満遍なく知っておく必要があるので、無機化学や有機化学、化学反応論、高分子化学など高校範囲で習ったような分野をより専門的に学んでいきます。

    例えば有機化学では、高校化学ではどんな反応が起こるかなど丸暗記しないといけない部分が多いと思いますが、大学で分子の構造を詳しく学んだり、電子の動きから化学反応を捉えたりすることである程度理論的に反応を説明することができます。また、実際の研究では反応機構をどのように突き止めているのかなど、実用的な知識も学んでいきます。

    ・より実学的な化学分野

    高校範囲の延長に加えて、より実学の要素が強い学問も学びます。
    例えば、未知の化学物質の分析方法についての学問である分析化学などがその一例です。赤外線やX線を使ったり、電極を利用したりと、様々な方法で分析が行われているので、その原理と応用方法を学びます。

    高校化学では未知物質を扱うことをあまり想定しないと思うので、あまりピンとこない方も多いと思いますが、研究の場ではこの分析化学がかなり重要です。例えば未知の化学反応を発見したとして、結果的に何がどのくらいの割合でできたのかを確かめられなければ論文は書けませんし、応用もできません。つまり、分析化学は応用のための学問と言うことができるため、これは実学だと言うことができます。一方で、分析化学では、何に着目して物質の濃度や構造を調べるかが重要なので、現在では様々な観点からの分析方法が考案されており、実学としてだけではなく純粋に学問としても楽しめます。原子同士のミクロな結合や振動に着目したり、分子の質量で分類したり、分子の作る磁場を利用したりと、高度な理論に基づいて分析機器が作られたりしているので、勉強のしがいがあると思います。

    また、工場や反応器(リアクター)での化学反応効率などを議論する学問である化学工学などもあります。これは特に企業に就職した後に役立つ学問です。化学反応に伴う熱の出入りなどは高校範囲でも扱うと思いますが、実際に工場でその化学反応を起こすとなると、キログラムやトンの単位で物質を反応させることになります。すると反応に伴って発生する熱の量は膨大になってしまい、一歩間違えれば爆発や火事を引き起こしてしまうこともあります。ここまで極端な例でなくても、反応器の形や反応条件によって反応効率に大きな違いが出ることもあります。このように、実際に化学反応や物質の分離を工場のスケールで行うことを想定し、安全な、効率的な化学システムの設計を目指す学問を化学工学と言います。学ぶことが実際にどう生かされているか見えやすい学問なので勉強していて面白いと思います。

    ・融合分野の学問

    上で述べた化学系の分野の他にも、物理の範囲も融合した熱力学や物理化学、ミクロな世界の力学を扱う量子化学、微分方程式やフーリエ変換などを学ぶ実用的な数学、化学反応や分子構造のシミュレーションなどに使うプログラミングの知識……、というように、化学に限らず幅広く様々な学問に触れることができます。高校の理科では物理・化学・生物というように分野がはっきり分かれていると思いますが、大学では学問分野の境界が曖昧になっていきます。例えば化学を突き詰めていくと物理の知識や理論が必要になる、といったようなことが多々あるので、化学に興味があるからといって他の教科や分野をないがしろにせず取り組んでみるといいと思います。

    上では座学を紹介しましたが、もう一つ高校での勉強と違うところは、実験が本格的なところです。これは理系学部一般に言えることなのでおまけ程度に書きますが、高校の時よりも予習をしっかりしたり、レポートも本格的に書くことになるので、理論と現象が結びついて楽しいと思います。私が履修したカリキュラムでは、有機化学、分析化学についての実験と、プログラミングを中心としたコンピュータ演習に取り組みました。本格的な実験は4年生になり研究室に入ってからですが、学生実験でも十分に実験の基本は学べると思います。


    4. 最後に

    長くなってしまいましたが、述べてきた通り応用化学科は化学と化学にまつわる融合分野を幅広く学べる学科です。実社会での研究の場で活躍するために必要な知識をたくさん得られるので、少しでも化学に興味のある人はぜひ検討してみてください!

  • 都市計画の世界へようこそ!【東京大学工学部都市工学科都市計画コース】

    都市計画の世界へようこそ!【東京大学工学部都市工学科都市計画コース】

    はじめに

    みなさんこんにちは!工学部都市工学科都市計画コース4年の齋藤と申します。私からは東大工学部、そして都市工学・都市計画についてみなさんにお伝えしたいと思います。現時点で興味がある人もない人も、是非一読していただけると嬉しいです。


    東大工学部とは?

    東京大学工学部は全16学科からなり、1学年約1000人を抱える東大の中で最も大きな学部です。機械系や化学系、建築系など幅広い学問分野を扱う学部であり、一口に東大工学部と言っても学科によって学んでいることは全然違います(詳しくは工学部のホームページをご覧ください!)

    私が所属している都市工学科は、建築学科、社会基盤学科と共に、工学部の中では建築系としてまとめられます。3学科とも私たちが暮らす”まち”を構成する様々な要素について学び、研究する学科となっており、建築学科はその名の通り建築を、社会基盤学科は道路や橋などの社会基盤(インフラ)を、そして都市工学科は都市そのものを主に扱います(詳しくはリンク先の各学科ホームページをご覧ください!)。それぞれの学科が扱う分野はお互いに関連することもあり、学科をまたいで授業を受けに行くこともしばしばあります。


    都市工学科とは?

    ここからは私が所属する都市工学科について詳しくご紹介していきます。都市工学科は「都市計画コース」と「都市環境工学コース」の2つのコースに分かれています。多くの人は理科一類から進学していますが、文系科類を含む他の科類からも一定数進学しています。個人的な印象ですが、他の工学部の学科に比べて文系出身者が多いように思います。

    都市計画コース

    都市計画コースは、都市計画や都市デザイン、交通、住宅、防災など都市空間そのものや都市を構成する様々な要素を扱っています。詳しくは後述します。

    都市環境工学コース

    都市環境工学コースは、大気汚染や水質汚濁、廃棄物など都市の環境問題を構成する様々な要素を扱っています。授業ではそれぞれの要素についての基礎知識から現在に至るまでの歴史や対策、これから期待される解決法などを学んでいきます。また、実験演習では様々な物質の測定・分析などを行い、実際の現場で使える技能も身につけていきます。


    都市計画コースとは?

    ここでは私の所属する都市計画コースについてさらに深く迫っていきたいと思います。

    授業について

    2年生の秋から本郷キャンパスで学科の本格的な勉強が始まり、4年生の夏までの2年間で都市について研究していく上での基礎知識を授業を通して獲得していきます。計画論について学ぶ「都市計画概論」、デザイン論について学ぶ「都市デザイン概論」、公園など緑地について学ぶ「緑地計画概論」、都市交通について学ぶ「都市交通論」、都市防災について学ぶ「都市安全計画」、広域的な計画について学ぶ「広域計画」など、幅広い分野に関する授業が開講されており、これらの授業を通して都市を見て分析する目を養っていきます。また、都市計画に関わる法律を学ぶ「都市・まちづくりと法」、歴史から様々な思想を学ぶ「都市計画史」といった授業を通して、都市計画を考える上で必要なルールや思想も学んでいきます。そして、一通り基礎知識を身につけた4年生の秋以降は、卒業論文に向けて研究を集中的に進めていきます。

    ここまで読んだ人の中には、「工学部なのに文系っぽくない?」と思った人もいるのではないでしょうか。実際、理系学部の中でもかなり文系によっているのがこのコースの特徴で、『文科四類』と比喩されることもしばしばあります(笑)。こういう特徴があるために、文系出身者が多いのではないかと思います。とは言っても理系学部なので、都市を分析する上での数理的手法を学ぶ「都市工学数理」など、理系っぽい授業も開講されています。ただ、多くの授業は理系的知識を必要とせず、数理系の授業も難しい計算をするわけでもないため、文系出身者がついていけないということはありません。安心してください。


    演習について

    都市計画コースの授業の中でも、唯一の必修科目となっている授業が「演習」と呼ばれる授業です。この演習では、実際の敷地を対象とした都市空間の設計や、実際の自治体・エリアを対象とした都市計画マスタープランの策定を通して、都市計画に関わる上で必要になってくる技能を身につけていきます。自分の手を動かしたりグループでの議論を行ったりしながら、その土地に暮らす人やライフスタイルをイメージして一つのものを作り上げていくのがこの演習の特徴です。自分たちの考えを突き詰めながら実際のものに落とし込んでいくため、多くの人がかなりの時間を演習に費やします。模型製作や発表準備のために泊まり込んで作業することもしばしばあり、周りからは”ブラック学科”と揶揄されることもありますが、やっている本人たちは作業を通して自分のイメージがどんどん具体的な形になっていくので割と楽しんでいます(笑)


    研究について

    4年生になると、学生は研究室に配属され、卒業論文に向けて1年かけて準備をしていきます。前期で研究の道筋をたて、後期でゴリゴリと研究を進めていく形になります。

    都市計画コースには「都市計画」「都市デザイン」「地域デザイン」「環境デザイン」「まちづくり」「住宅・都市解析」「都市交通」「国際都市計画・地域計画」「都市情報・安全システム」「空間デザイン」の全部で10個の研究室があります(空間デザイン研究室は厳密には大学院新領域創成科学研究科の所属です)。授業では各分野を総合的に学んでいましたが、研究室は各分野について専門的に深く研究する場所になっています。各研究室は数名の教員と学部生、修士課程・博士課程の大学院生によって構成されており、学科に比べて教員との距離が近いことが特徴です。

    ちなみに私は都市情報・安全システム研究室に所属しています。この研究室は主に都市防災に関する研究を行っており、災害に対して都市がどのようにあるべきか、被害を抑えるために都市計画はどうあるべきかについて日々考えています。


    進路について

    工学部はほとんどの学生が大学院に進学します(最も進学率が高い機械情報工学科はなんと進学率98%!)が、都市計画コースの大学院進学率は6〜7割とやや低めになっています(ちなみに都市環境工学コースも同じくらいです)。大学院は工学系研究科都市工学専攻のほか、新領域創成科学研究科や情報学環・学際情報学府を選ぶ人もいます。就職先は国家公務員や地方公務員、不動産・デベロッパーといった民間企業が多いですが、コンサルタントや金融関係などその幅は多岐にわたっています。


    おわりに

    ここまで都市工学科・都市計画コースについて紹介してきましたがいかがでしたでしょうか? この学科・このコースは、私たちが日々暮らしている”まち”について深く考えていくことができるところになっています。拙い文章でしたが、興味を持っていただけたら嬉しいです!

    最後までお読みいただき、ありがとうございました!
    (執筆:2019年)

  • 【東大生が教える】物理の勉強法

    【東大生が教える】物理の勉強法

    はじめに

    「物理は公式ゲーだ」

    こんな言葉を時々耳にしますが、これは本当でしょうか?

    確かに、一部の大学では「教科書に書いてある多くの公式の中から、その問題に必要なものを選び出す」ような力を測っていると思える問題もあります。

    しかし、東京大学をはじめとする難関大学では、「物理学の本質を理解しているか」を問うような問題が出題されており、とても公式の当てはめだけで解けるものではないでしょう。

    ここでは、そのような難関大学を志望する人向けに、自分や友人の体験などを基にしながら、物理の勉強法の一例を紹介します。


    高校物理に微積は必要?

    高校の教科書では、大学以降のものと比べて、微積などの数学をほとんど用いることなく物理を説明しています。また同時に、専門書のように微積分を用いて高校物理の授業をすることを、一部では「微積物理」などと揶揄する人がいます。

    しかし、私は物理において、微積やベクトルなどの数学は「道具」として積極的に使っていくべきだと思います。ここでは、その理由を「文字」になぞらえて考えてみましょう。

    文字がない時代は、情報交換などの大半が口伝えで行われていたでしょう。これでは、後世に正確な記録を残すことができない上に、複雑な情報を処理することが出来ません。

    しかし、文字の発明によって、それらのことが出来るようになりました。
    現代では、「手段」としての文字の性質を高めた「速記」などが、国会の会議録作成など、様々な場所で用いられています。

    一方で、手段であるはずの文字自体を「目的」にしたものもあります。

    その一つが「習字」です。習字はただの道具でしかなかった文字の美しさを追求していくもので、速記などの「手段文字」とは一線を画するものだと言えるでしょう。

    では本題に戻り、物理における数学はどうでしょうか。

    これは前者のように「手段」としての数学だと思います。

    逆に、大学入試の数学で出るようなものが、習字などと同じ、目的としての数学だと言えます。たとえば、高校物理において、確率の計算などを用いるような場面はほとんどないでしょう。

    物理で用いる数学は、高校から登場するベクトルや微積分をはじめ、言わば自然の世界にはない「人の手によって創られた数学」だと言えるでしょう。

    このような、物理学からの要請によって誕生し共に発展してきた「物理数学」は、物理学を正確に深く理解するために必要不可欠ではないでしょうか?

    確かに通常の高校物理に比べると、数学を用いて記述する物理学は、新たに学ばなければいけないことがあり、大変ではあるでしょう。しかし、それだけの価値があると私は思います。


    物理学を理解する

    大学入試は教科書の内容を基にして出題されるので、教科書を完璧に理解すれば、入試で満点を取ることはできると言えるかもしれません。

    しかし、教科書だけで物理学を完璧に理解することは難しく、従って難関大学の入試で満点を取るのは難しいでしょう。こう言うと「それでは教科書の意味がないじゃないか」という言葉が聞こえてきそうです。しかしそうではなく、これは「高校の教科書が、物理を志す人だけでなく、生物など他の分野を志望している人へも向けて作られているからだ」と私は考えています。とは言え、もちろん教科書の内容を理解することはスタートラインであり大切なことです。

    そもそも「物理を理解する」とはどういうことでしょう? 私は「原理を理解し、他の問題にも応用できる」ということだと思います。公式を全く用いてはならないということではありません。公式では対処できない難しい問題に出会った時に、すぐ原理に立ち返り必要なものに切り替えられるということが大事です。私の恩師が「物理は『知識を学ぶ科目』ではなく『考え方を学ぶ科目』だ」と仰っていましたが、まさにその通りだと思います。

    教科書だけで物理学を理解するのは難しいですが、一方で慣れない専門書や学術論文を高校生が読んでも、労力に見合うだけの成果を得ることは難しいでしょう。そこで、ここでは高校生が物理を理解する手助けとなるような、1冊の参考書を紹介したいと思います。

    それは、駿台文庫の『新物理入門』です。タイトルに「入門」とありますが、その内容は東大京大受験者でも難しいと感じるレベルで、高校物理と大学以降の物理学との橋渡しになるような本です。この中では周回積分のような少し高度な数学が出てきますが、その使い方は専門書とは違い、数式をいじって深く追っていくためというよりも、簡潔に分かりやすく表記するために使われています。そのため専門書を読み解くような数学力のない高校生でも学びやすい本となっています。(ただし、専門書では数式を用いるところが言葉によって説明されているので、理解するのが大変であることには変わりはありません。)

    勉強方法としては、高校2年生以下の人は一つ一つの式や説明を全てノートに書いていきながらその過程をゆっくり追っていくことをお勧めします。それにより、「一見当たり前に思えるが実は非自明である」ような内容を見つけられ、自分の理解を深めることができるでしょう。しかしこの方法は莫大な時間を要するため、受験生の人は一通り理解した分野について物理入門を辞書のように用いながら、必要な部分だけ書いて理解していくのが良いでしょう。

    また最近は「ヨビノリ」(予備校のノリで学ぶ「大学の物理・数学」)をはじめとする教育系YouTuberの動画や、スタディサプリ・学研プライムゼミなどの有料動画コンテンツが数多く出回っています。塾などに行っていないが学校の授業以外で学びたいという人や、物理入門を読む取っ掛かりにしたい人などは、このようなものを用いてみるのもいいでしょう。


    演習は大切

    上で紹介した『新物理入門』をただ読み込んだからといって大学入試で点が取れるわけではありません。野球のルールブックを読んでも試合で点が取れるわけではないでしょう。実戦で学んだことを自在に使いこなせるようにするには、演習を積むことが重要です。

    取り組む問題については、1・2年生や3年生の前期などでは『リードα』・『セミナー』などの学校指定問題集や『体系物理』などの問題文が短い問題集をやり、受験が近づくにつれて『標準問題精講』大学の過去問に手をつけていくのが一般的です。『難問題の系統とその解き方』、通称「難系」という問題集(最近改訂されて2冊になったようです)などもありますが、これに収録されている問題は数が多い上にかなり難易度が高く、一つ一つの問題もかなりの曲者なので『標準問題精講』をおすすめします。しかし難系も1問ごとに得るものが他の問題集と比べても多いので、上にあげた問題集が終わって時間と余裕があるのなら、取り組んでみるのも良いでしょう。また過去問については基本的に、解説が充実している駿台文庫の「青本」がおすすめです。

    予備校に通っている高卒生に関しては、予備校の授業で用いたテキストを何度も復習することが何よりも大切です。ここで重要なのが、問題そのものを復習することではなく、習ったことが充分使いこなせているかをその問題を通して確認することです。通常の問題集とは異なり、予備校のテキストでは授業内容をうまく反映させた問題が選択・創作されています。そのため安易に演習量を増やそうとして復習が不十分のまま市販の問題集に手を出すのではなく、ノートを見なくても全て思い出せるというレベルまで何度もテキストを繰り返して質を高めることが大切です。

    最後に演習の方法についてですが、過去問や模試以外では、過程もノートに書いていくべきだと思います。これは後で復習する際に、どのような部分で間違えたのか、もっとスマートに解くことができなかったかなどを考えることができるからです。特に後者は重要で、物理では使う式の選択で大きく計算量が変わってきます。例えば弾性衝突の問題で、はね返り係数の式(e=1)を用いるかエネルギー保存則を用いるかでどのくらい変わるか試してみれば分かるでしょう。過去問演習については計算スペースの量を本番に寄せて演習してみるのが良いと思います。東大は記述式ですが、京大などは答えだけを記入する解答用紙なので、問題用紙の狭い余白で計算しなくてはいけません。そのような問題に対してどう対処していけば良いかなどを学んでいくのも良いでしょう。


    分野別の勉強法

    力学

    力学は物理の根幹とも言える分野であり、他の分野の基礎になっています。その上力学は物理の中でも最初に習う分野なので受験生の理解度も高く、レベルの高い争いになることが多いです。仕事への深い理解、2体・多体運動における重心運動と相対運動、中心力と面積速度一定の法則(角運動量保存則)などは、余裕があれば見ておくと良いと思います。

    熱学

    熱学は入試において波動と隔年で出題されることが多い印象ですが、波動よりも受験生の理解度が高いです。熱力学第一法則を軸として、定積・定圧・等温・断熱過程における熱・仕事・内部エネルギーの関係は特にしっかりと押さえておきましょう。

    波動

    この分野は受験生の理解が薄いため、しっかり押さえておけば大きなアドバンテージになるでしょう。ドップラー効果・定常波の数学的表現・凹凸レンズ・波の干渉など、内容が多岐にわたるため大変ではありますが、時間を多めにとって克服していくと良いでしょう。

    電磁気学

    多くの人がつまずく分野であり、最大の難所とも言えるでしょう。電気分野において、特にガウスの法則やコンデンサーの原理については、公式を暗記しただけで本質を何もわかっていない人が多いように感じます。これらの部分は公式に頼らずに、なぜそのような式が得られるのかを一度自分でしっかりと考えてみてください。磁気分野についても同様で、公式に頼りきりの人が大半だと感じます。電磁誘導やRLC回路について、自分で公式を導出することを、一度でいいので行ってください。

    原子

    この分野にまで手が回らない人も多いと思われますが、原子分野は物理の入試問題で一番解きやすいと言っても過言ではありません。原子分野は前期量子論と原子核分野から成りますが、前者については、アインシュタインやボーアなどのノーベル賞論文が基になっているので、論文の内容から外れにくい=どの大学でも問題が似ているのが大きな特徴です。そのため冬休みなどの期間に一度集中して取り組めば、入試でかなり高得点を取ることができるでしょう。後者の原子核分野については、「質量とエネルギーが等価である」、つまり円とドルのように、質量はいつでもエネルギーに「両替」できるということを常に意識しておけば大丈夫です。


    おわりに

    ここでは物理入門や演習の方法など、様々な勉強法について紹介してきました。ただし、勉強法に正解はありません。「ノーフリーランチ定理」というものがありますが、これは「あらゆる人にとって最適であるような方法は存在しない」ということを示しており、この勉強法が完璧ではないことが分かるでしょう。

    ここで紹介する勉強法が合う人もいれば別の勉強法のほうが合うという人もいるでしょう。合わないと感じた時は別の勉強法と組み合わせてみるなど、何か策を講じるのもありだと思います。自分にとって最適だと思える、自分だけの勉強法を模索してください。
    最後まで読んでいただきありがとうございました。

  • 【東大生が教える】理系化学の勉強法

    【東大生が教える】理系化学の勉強法

    はじめに

    計算、暗記が大変で化学が苦手な人も多いのではないでしょうか?
    しかし、化学はその特徴を理解し、上手に勉強を続ければ高得点が期待できる科目です。

    この記事では化学を【理論化学】【無機化学】【有機化学】の3分野に分けて勉強法を紹介していきます。

    理論化学

    理論化学は計算が多い上に、化学平衡や気体など複雑な単元も多いです。そのため苦手意識を持つ人も多いのではないでしょうか?
    実は理論化学は次に述べる無機化学、有機化学とのつながりが強く、苦手を放置していると最後の最後に行き詰まってしまう可能性があります。
    しかしこの分野は「理論」化学ですので、組み立てられている「理論」を正しく理解すれば絶対的な武器になります。

    ここでは理論化学の勉強のポイントを3つ紹介します。

    1. 公式や原理の意味を理解する

    理論化学には化学平衡や電気分解などで多くの公式や原理が登場します。これらの意味を理解せず暗記するだけでも解ける問題はありますが、その状態だと難しい問題を解くことができません。

    教科書や授業のノートに書かれている公式や原理を自分の言葉で整理してみましょう。
    例えば、「電離度とは電離している度合いを表すもので、水に物質を溶かしたときに全体の物質量に対して電離した物質の物質量がどれだけあるかを示している」のように自分の言葉で書いてみてください。その中で意味をあいまいに覚えているところを見つけたら、教科書やノートなどで確認をし、それでも分からなければ先生または友人に質問して解決しましょう。

    また、この作業はできれば授業で習ったその日のうちにしてください。その方が記憶が新しいので短時間で復習ができます。私は白紙にその日習ったことを書き出して整理し、理解していました。

    2. 問題をたくさん解く

    理論を理解した後は、問題をたくさん解きましょう。最初から難しい問題を解かず、「セミナー化学」、「リードα」などの学校で配布されるような問題集の基礎的な計算問題を解いて公式の使い方に慣れてください。

    次に典型的な問題を解きましょう。典型的な問題というのは、入試によく出るパターン問題を解く上で重要な考え方が多く含まれています。繰り返し解くことで体に覚えさせてください。

    典型的な問題を解くための問題集として、私は数研出版から出版されている「実戦 化学重要問題集」をおすすめします。この問題集は理論化学以外の2分野についてもおすすめです。難易度はそれほど高くありませんが、この問題集を繰り返し解くことでベネッセや河合塾の模試のような標準的な記述模試では90点以上を取れるようになりました。

    3. 計算は速く・正確に

    理論化学は計算問題が多いです。そしてその計算問題では、部分点がなく数値のみ答えさせることが多いので、たとえ途中式が正しかったとしても答えが違えば0点になってしまいます。

    さらに難関大の入試問題になればなるほど、計算が煩雑かつ複雑になってくるので、計算力がなければ対応できません。また、いくら正確に計算できたとしても時間をかけすぎてしまえば、他の問題を解き切れなくなってしまいます。

    計算力を鍛えるためには多くの問題を解くことが一番です。他にもかけ算の順番を変えたり、小数を分数にしたりするなど、自分なりに工夫して計算するようにしましょう。

    無機化学

    無機化学は暗記する量がとても多く、嫌になる人も多いのではないでしょうか?

    しかし、逆に言うと覚えてしまえば確実に満点が取れる分野でもあります。

    ここでは効率的に暗記する方法を紹介します。

    1. 複数のことを関連付ける

    暗記事項の全てを一対一で覚えようとするといくら時間があっても足りません。そこで、いくつかの事柄を関連付けることで、効率良く暗記することを心がけましょう。

    例えば、フッ素と水が反応して酸素が発生する反応を覚えようとする時には、この反応はフッ素が酸化剤、水が還元剤である酸化還元反応、のように分類しましょう。そうすることで同様の原理の反応を関連付けて覚えられるようになります。

    このように反応式を覚える時、ただ化学式と数字の羅列で覚えるよりも、「この反応はどのような原理によって起こっているのか」を考え、関連付ける方が簡単に覚えることができます。

    2. 図やイラストを活用する

    化学反応式以外で無機化学で覚えなければならないものとして、物質や水溶液の色があります。

    例えば、水酸化銅(Ⅱ)の沈殿の色である青白色とテトラアンミン銅(Ⅱ)イオンの水溶液の色である深青色の違いは実際に見てみないとイメージできないでしょう。

    そこで、覚えるときは教科書もしくは図説、インターネットの画像などで確認しながらにしましょう。文字だけで覚えるよりも実際の色がイメージできるため暗記の効率が上がります。また図説は視覚的に理解できるので、参考書として持つことをおすすめします。

    3. インプットよりアウトプット

    無機化学は暗記科目ですが、暗記(インプット)ばかりしていても問題が解けるようにはなりません。一通り暗記が終わったら、問題演習(アウトプット)に取り組んでいきましょう。問題を解くことで自分が覚え切れていない部分が浮き彫りになり、効果的に暗記が進められます。

    また、同じアルミニウムに関する問題でも、融解塩電解について問うものと錯イオンについて問うものがあるように、同じ物質について異なる視点から出題されることも多いので多くの問題を解いておいて損はありません。

    有機化学

    有機化学は化学の最後に学習する分野ですが、出題のパターンがある程度決まっているので3分野のなかで1番得点しやすいです。そのため得意な受験生が多く、少しのミスが命取りになってしまいます。

    ここでは有機化学を得点源とするための勉強法を紹介します。

    1. 有機化学の全体の流れを把握する

    私は、有機化学の最初で行う、アルカンや異性体についての授業を聞いても、有機化学で何を学ぶのかが理解できませんでした。そんな時、学研出版から出版されている「宇宙一わかりやすい高校化学(有機化学)」を読むことで、有機化学の全体像を把握することができました。有機化学でどのようなことをするのかがわかると、授業で何をしているかがわかるようになりました。

    有機化学では全体の流れを把握することが大切です。教科書や参考書などで軽く有機化学の部分に目を通してどんなことをこれからするのかを知り、習っている内容だけを考えるのではなく、その内容がこれからどのように関係してくるか考えながら勉強しましょう。

    2. 官能基の性質や物質の反応を覚える

    官能基や反応の知識がなければ有機化学の問題は絶対に解けません。官能基は特別な性質を中心におさえ、「問題文のこの部分からこの官能基だ」とすぐに判断できるようにしましょう。

    例えば「還元性=アルデヒド基」のように問題文のキーワードと官能基の対応を意識して覚えましょう。問題文に書かれるキーワードは大体決まっているので問題を解いていくとだんだん慣れていきます。

    3. 構造決定をマスターする

    構造決定の問題が有機化学の中で最も多く出題されているので重点的に勉強しましょう。最初はセミナー化学の応用問題や重要問題集のA問題のような標準的なレベルの問題を解いて典型的な考え方を身につけていきましょう。

    そして、標準的な問題が楽に解けるようになったら難関大の問題も解いてみましょう。難関大の問題であっても使う知識はあまり変わらないですが、考える力が求められるようになります。難関大の問題を解き、いろいろな考え方を理解することで安定して構造決定の問題が解けるようになります。

    終わりに

    化学はすぐに結果が出るような科目ではありません。しかし、分野ごとの特徴を捉え、正しく努力するほど高得点が狙える科目です。
    諦めずに自分を信じてがんばっていきましょう!
    紹介した方法が困っている方の参考になれば嬉しいです。

  • 理科の科目選択を考えよう

    理科の科目選択を考えよう

    はじめに

    「理系に決めたのはいいけど、理科の科目選択はどうしたら良いんだろう……」

    そう悩んでいる方はかなり多いのではないでしょうか。僕自身も高校生の頃は選択科目がなかなか決められず、「生物・化学」の2科目に決定するのにとても苦労しました。

    そこで今回は、少しでも皆さんの選択の手助けとなるよう、科目選択のやり方についてまとめました! 
    結論から言うと、

    ①将来の夢に近い科目を選ぶ

    ②自分の好きな科目を選ぶ

    ③志望校に合わせる

    ④進路に合わせて戦略的に考える

    の4つの基準で検討していくと良いでしょう。以下ではそれぞれについて詳しく解説していきます。志望校が決まっている人にとっては③が最優先ですので、①、②は読み飛ばしてもらって構いません。そうでない人はぜひ最初から読んで、科目を決める参考にしてみてください!


    ①将来の夢に近い科目を選ぶ

    「志望校までは決まっていないけれど、将来の夢はなんとなく決まっている」という人もいるかもしれません。そんなときは、自分の夢と関わりの深い科目を選ぶことをおすすめします。

    例えば、医療や薬学、看護などの保健分野や農学分野には、生物や化学が深く関わっています。また、理学や工学といった分野には、物理や化学が深く関わっています。一つの分野の中でも細かく見ると別の科目が関わっていることもあるので、ぜひ自分で調べてみてください。

    自分の選んだ科目が志望分野と同じであれば、その科目が大学の入試科目に当てはまっていることが多いので、志望校が変わった時でも対応しやすくなります。また、自分の夢に近づくための勉強ができますし、進学先の授業にもついて行きやすくなるはずです。

    ただし、その分野と関わりの深い科目と入試科目は一致しないことがあります。医学部医学科はその良い例で、物理・化学でしか受験できない大学もあります。ですから自分の目指す分野によく合うような大学をきちんと調べた上で、他の要素も併せて考えながら選択科目を決定しましょう。


    ②自分の好きな科目を選ぶ

    皆さんの夢によっては、選びたい科目が一つに定まらないこともあるかもしれません。また、自分の夢が決まっていない人もいるでしょう(僕も当時はそうでした)。そんな人は「自分が一番好きだ」「魅力的だ」と思える科目を選んではどうでしょう。「好きこそ物の上手なれ」という言葉がありますが、まさにその通りです。自分の好きな分野であれば苦にせず楽しく勉強できますし、そうすれば上達は早くなるでしょう。将来の夢も、自分が楽しいと思えるものから見つけられたら素敵ではありませんか?

    そうはいっても、「それぞれの科目がどういうものか分からない!」「好きな科目なんてない!」という人もいるでしょう。そこで、僕の主観と友達の話から地学以外の3科目の魅力を下にまとめてみました! ぜひ参考にしてください!

    物理

    物体の振る舞いを主に扱う分野です。物体の質量や位置、エネルギーなど様々なものを数値化し、数式を用いて計算するので、数学との深い関わりがあります。与えられた条件から自分で答えを導き出したときには、大きな達成感を味わえます!

    便利な道具や機械の開発など様々な技術を支える学問であり、量子コンピュータの開発やブラックホールの謎のようなロマンあふれる最先端の研究に直接繋がる学問でもあります。

    化学

    原子や分子のような粒子に注目します。理論化学・無機化学・有機化学の3つに分かれ、それぞれ特色が大きく異なります。理論化学では物質の一般的な性質を学び、そこから反応や数値を導き出します。無機化学や有機化学では自分たちにとって身近な物質の性質を学ぶことができ、特に有機化学では実験結果から分子の構造を導く、パズルのような面白さがあります!

    製薬や素材開発などの分野のほか、実は生物学や物理学の分野にも深く関わっています。

    生物

    DNAやタンパク質のような生物を構成するミクロな物質から、生物の進化や生態系のようなマクロなものまで幅広く扱います。自分自身の体の仕組みや身近な動植物の仕組みを学べること、そして進化や分類から生物全体の壮大さや人間の相対的な位置を感じられることがとても魅力的です!

    私たちが毎日口にする食べ物を作る農学や、病気や怪我の際にお世話になる医療などに関わる、必要不可欠な分野です。


    ③志望校に合わせる

    もし自分の進みたい大学が少しでも決まっていたら、必ずその大学の入試科目を調べておきましょう。

    例えば東京大学の理科Ⅰ〜Ⅲ類は、物理・化学・生物・地学のうち好きな2科目で受験ができますが、実はこれは少数派です。多くの大学では学部学科ごとに、選べる科目の種類や数が決まっています。中には生物に関わる分野なのに物理・化学の2科目でなければ受けられない、というような学科もあるので要注意です! 第2志望以降もきちんと調べておくと良いでしょう。

    理科2科目を必要とする大学では、地学以外の物理・化学・生物のうち2つを組み合わせて受けることが多いです。その中でも1番受けられる大学の多い組み合わせは「物理・化学」で、次に多いのは「生物・化学」です。志望する学部学科が決まっていない人は物理・化学を選択するのが無難だと言われることがありますが、これがその理由です。


    ④戦略的に考える

    できれば自分が本当に好きだと思える科目を選びたいところですが、自分の得意不得意や入試での有利不利を考えて戦略的に科目選択をするのも一つの手です。それに関する情報もまとめたので、参考にしてみてください。

    物理

    理論を正しく理解すれば問題が解けるので、3科目の中で特に少ない暗記量で受験に挑むことができます。暗記が少ない分多くの演習が必要で、数学が苦手な人にとっては難しく感じるかもしれません。入試問題では問(1)が解けないとその先も解けないといったことが起こり得ますから、「満点も0点も取りやすい科目」だといえます。実際に入試の平均点を比べてみると、生物よりも高いことが多いです。

    化学

    入試科目に化学を課す大学は多く、高校で履修する科目としても化学が必須となっていることがよくあります。計算と知識が両方求められるので難しく感じるかもしれませんが、演習と暗記を並行して進めていくと良いでしょう。大学進学後も様々な分野で必要となるので、選択して損のない科目です。

    生物

    物理や化学と比べて圧倒的に計算が少なく、単語を答える問題や考察問題が主です。考察問題に答えるためには、単なる用語の暗記だけでなく生物の仕組みについての正確な理解が求められます。東京大学など、大学によってはとても長い問題文を読まされることがあり、数学的な能力が必要な物理に対して、生物は国語能力が必要だと言えるかもしれません。きちんと覚えることを覚えておけば、実力より極端に低い点数をとることはないでしょう。物理や化学と比べて塾のサービスや問題集の充実度が低いという短所もあるので注意しましょう。


    おわりに

    皆さん、どうでしたか。どのように科目選択をしたら良いのか、少し方向性が見えてきたのではないでしょうか。科目選択は今後の人生を左右するとても大事なものです。この記事だけではなく、学校の先生やご家族とも相談しながら、よく考えて決定してください。皆さんの選択によって、今後の勉強がより有意義になることを願っています。

  • 【東大理学部】生物学の世界をのぞいてみよう

    【東大理学部】生物学の世界をのぞいてみよう

    はじめに

    私は東京大学理学部の生物学科に所属しています。

    まだ生物学においては駆け出しも駆け出し、まだまだひよっこの学部3年生です。しかしこんな私でももうすでに生物の世界に大変魅せられています。当分の間抜けられそうにはないです(笑)。

    何がそんなに面白いの?理学部って何するの?生物学科って普段何してるの?生物勉強してその先どうなるの?などなど疑問に思うことはたくさんあるかと思いますが、実際に所属しているからこそわかる生物学の世界、生物学科の生活をお伝えしようと思います。

    生物学とは?

    これを読んでいる皆さんは今手元に生物の教科書があるでしょうか。もしあるならば、目次をさらっと見てみてください。細胞の構造、光合成、筋肉の収縮の仕組み、エネルギー生産……..などなど色々と項目が書いてありますね。その目次はよくまとまっているものだと思います。というのも、高校で扱う内容も、大学で扱う内容も大まかなくくりとしてはそんなに大差がないのです。

    生物学科で学ぶ内容と、それに対応する高校での学習内容をあげてみたいと思います。

    • 細胞生理学(高校:細胞の構造、細胞小器官の働きなど)
    • 発生生物学(高校:ウニとカエルの発生)
    • 遺伝学(高校:メンデルの遺伝の法則)
    • 分子進化学(高校:分子時計、中立進化説)

    などなど、高校で学ぶ生物の内容は大学で学ぶ内容に完全に直結しています。だから、高校で生物をやっている人ならとてもとっつき易い学問であるし、高校で生物を扱ってない人にとっても入り込みやすい学問であると言えるでしょう。

    では、大学では何するのでしょうか?

    大学で学ぶ生物学

    大学ではまず、高校の内容に加えてさらに突っ込んだ内容、最先端の内容を学びます。生物の世界を学び、最先端で何が行われているのかを把握した後に研究の世界に飛び込むことになります。

    生物学の何が面白いのか?

    生物学をやっている方々に生物学の魅力は何かと問うと、十人十色の答えが返ってくると思います。質問の答えになっていないですね(笑)

    ここではあくまで私が、現時点で感じている面白さについて語らせてもらうと、生物学は「自分の周りの世界をもっと鮮やかにする」学問だと思っています。道を歩いているだけで、この広葉樹は何才くらいで、どのような環境をくぐり抜けてここまで大きくなったのか?、この花はなんでこんなに赤い色をしているのか?、身の回りの自然物にまず気づくことができ、視界に入ってくる情報に対して色々な疑問をもち、勉強して知識を増やすことでその疑問を解決することもできるのです。

    生物を勉強していると、このように、単なる背景として捕らえられていた身の回りの世界が途端に意味を持ってくるようになり、なんとも不思議な充足感に満たされます。ここが生物学の面白さではないかと今は思っています。

    また、この先もっと違う面白さを見つけることができるのではないかと期待もしています。

    理学部って?

    理学部って他の理系の学部とは一線を画すのではないかと私は感じています。研究された結果がそのまま社会の役に立つなんてことは少ないでしょう。

    それでも理学部という学部が存在する意義は、理学部が学問の基盤を作る大変重要な役割を担っていることにあるのではないかと思います。農学部、工学部、医学部、薬学部といった、研究結果が社会の役に立つことが想像しやすい学部の研究はひとえに理学部での基礎研究をベースにしたものではないだろかと私は考えています。この世界の知識のベースを作る学部としてとても誇り高い学部であると私は考えています。

    とまあたいそうなことを書いて少しばかり恥ずかしいですが、理学部に所属する人の特徴としてやはり勉強が好き、課題に向き合い解決したいという思いを持っているという特徴があるように思います。

    高校までは周りの友達に気後れして勉強が好きだなんて言えなかった、という人が生き生きと勉強できる自由な場でもあるでしょう。そんな雰囲気の理学部が私は好きです。

    東京大学理学部生物学科の魅力!

    どんな生活?

    大まかには、3年生は午前中は座学の授業、午後は学生実験、定期的に野外実習(山や海での現地調査)、4年生以上になると研究室に配属され、各々のテーマで研究という流れになります。

    ここでは3年生のある一日の流れを紹介してみます。

       
    8:30-10:151時限目「遺伝子機能学」この日は細胞分裂のS期に起こる、重要な機能について学習。
    10:25-12:102時限目「動物生理学」この日は、神経伝達経路における、カルシウムイオンチャネルの作用についての講義。
    12:10-13:00お昼休み3年生のみんなが集まる学生控え室で、午後の実験で何をするか確認しながらご飯を食べます。
    13:00-18:00学生実験大腸菌のプラスミドに対しての遺伝子組み換え操作。程よい緊張感が実験室を包みます。
    19:00-バイトに行く人もいれば、夜ご飯を食べる人、実験のレポートを書く人など様々です。

    通常の授業、学生実験に加えて3年生前期ではすでに大学の臨海実験所を利用した6泊7日の実習、大学付属の植物園とその近くの山を利用した3泊4日の植物実習、富士山の高山地帯の植生を調査する3泊4日の実習などに行きました。

    生にたくさん触れ、机上の空論ではなく実際の観察実験に基づいた生命現象の解明を行うという生物学基礎研究の基礎を学ぶことができます。

    東大理学部生物学科の教授陣

    どの教授も世界の生物学界の第一線で活躍されている方ばかりです。知識が本当に豊富で授業はとても楽しいし、我々学生にも的確にアドバイスをくださります。生物を勉強、研究する環境として大変恵まれていると思われます。

    また、普段山や海などのフィールドに出向いて研究されている先生方も多く、そのような先生方は非常に体力があるという特徴もあります。山での実習などの時は先生方についていくのに結構必死です(笑)。生物学科は、そんな知力体力を兼ね備えたかっこいい先生方がたくさんいる魅力的な学科です!

    東大理学部生物学科で勉強した先はどうなるの?

    生物学科を卒業した学生のうち9割がたは大学院に進学しているという現状です。

    残りの1割の人は本当に様々な業種で就職していきます。大学院を出た後は、博士課程に進んでもっと研究を続ける人、企業などに就職する人、あまり偏りなく分かれるのではないかと思われます。企業に就職する人の中では研究職につき、大学での学びを活かしたりもできるでしょう。また、博士課程に進むとさらに大学に残って研究を続け、ゆくゆくは教授まで登りつめる、なんて人もいるでしょう。

    自分がどれだけ研究者に向いているか、実際に研究に携わってみて、時間をかけて考えなければわかりません。研究がどんなふうに面白いかも実際にやってみなければわかりません。かくいう私もまだまだ研究の域に足を踏み入れていないのでわからないのです。実践あるのみという印象です。

    最後に

    生物学に限らず、研究という分野は世間的にもなかなか厳しい職業であるというイメージは強いのではないでしょうか。かつて自分の中でも、研究費をとるのが難しい、薄給であるなど、どうしてもマイナスのイメージが先行していました。しかし、特に生物学科の先生たちをみてみると皆ロマンを追い求めながらスマートにかっこよく、かつ泥臭く研究をされている方々がおり、こう方々に世界の学問が支えられているのだなと思うと強い憧れの念が湧いてくるものです。

    一度研究という世界をじっくりのぞいてみたい人、生物学にどっぷり浸かりたい人、少しでも生物に興味があるなと思う人はぜひ、理学部を検討してみて欲しいと思います!

  • 【東大医学部】医学の入り口を覗いてみよう

    【東大医学部】医学の入り口を覗いてみよう

    はじめに

    こんにちは、医学部医学科3年の大瀧と申します。今このページをご覧になっている方は、将来医学部への進学を真剣に考えている高校生から、「東大医学部ってどんなとこだろう」というちょっとした興味でページを開いた方まで様々だと思います。医学の勉強を始めてまだ約1年という私の書く拙い文章ですが、少しでも医学というものへの関心を深めていただけたら幸いです。

    医学部とは

    東大医学部には、医学部と健康総合科学科という2つの学科があります。

    医学科

    医師免許を取得し、医師として活躍する人を養成する学科です。
    いわゆる理科三類に合格した人たちはこの道に進みます。
    詳細は後述します。

    健康総合科学科

    詳細は健康総合科学科のHPに譲りますが、健康に関することを幅広く扱っており、大きく分けて3つのコースに分かれています。

    環境生命科学専修

    基本的に生物学を勉強しますが、理学部生物学科との違いは「ヒト」に完全にフォーカスを当てていることです。ミクロからマクロまで多様な視点で「ヒト」の研究をしているところです。

    公共健康科学専修

    いわゆる「疫学」と呼ばれる分野を勉強できるところです。薬や予防のためのワクチンがどのくらい効いているのかを調査したり、調査から得られたデータを解析する手法を学んだりできます。予防医学の重要性は海外で特に注目されている分野でもあります。

    看護科学専修

    看護師を志望する方が選ぶ専修です。東大の場合は免許の取得に止まらず、栄養学や心理学に社会や文化、環境といった視点を加えて「人間が関わること」を広く勉強し、世界で活躍する人の養成を目指しています。

    いずれの専修にしても最終的には「ヒトの健康」に落ち着きます。東大生の中でも「どんなことやってる学科なんだろう」と思っている人は少なくないと思いますが、調べるとなくてはならない学科の1つだとわかります。

    医学科で勉強すること

    ここから先は医学科に焦点を当てて話を進めていきます。

    医学科の勉強は大きく分けると、基礎医学、臨床医学、社会医学の3つの分野からなります。

    基礎医学はヒトの身体(と病気を引き起こす病原体)のメカニズムを分子レベルから肉眼レベルまで多くの視点で理解する学問になる一方、臨床医学は実際に起こる病気というものをベースに症状や診断、治療方法などを理解していく学問です。そして各症状の背景には基礎医学の知識が基盤となっています。

    社会医学には1人1人ではなく集団をターゲットとして病気の発生原因の特定やその予防に務める疫学や、死体の解剖から死因を特定したりDNA鑑定を行う法医学などがあります。

    東大では特に基礎医学の研究者を養成することに力を注いでいるため、4年生修了後から一時的に医学部を休学して博士課程に飛び研究に専念できるPhD-MDコースや、日々の講義や実習による授業とは別に研究活動を行うMD研究者育成プログラムなどのシステムもあります。また、自然科学の純粋な興味や疑問から始める基礎研究に対して、「この病気を治せないだろうか」という問題提起からアプローチを始める臨床研究というものもあるのですが、臨床研究者を養成するためのプログラムも東大では用意されています。

    卒業までの流れ

    C1・C2(1年生〜2年生の夏)

    晴れて理科三類に合格し、入学した新入生にとっては駒場キャンパスでの1年半が息抜きの期間となっています。他の科類の学生と一緒に教養科目(高校の数学や理科や英語の延長などなど)を勉強しながら、自分の趣味やバイトに明け暮れている学生が多いですね。
    一方、東大では進学選択という制度によって理科三類以外の科類からも定員は少ないですが医学科に進学することが可能になっています。ただし、人気のある学科なため大学での成績が良くないと入れません(私も理科二類から進学した1人で、駒場では頑張って勉強しました)。文系から理転する人もいますが、本当に凄い人たちです。

    M0(2年生の秋〜2年生の冬)

    ここからは本郷キャンパスで本格的に医学科の勉強が始まります。以降は基本的に全ての授業が必修(選択ではなく必ず受けなければならないということ)になります。
    せっかくですので、執筆当時(3年夏)までに勉強したことを簡単に紹介させていただきます。
    M0では3年への準備段階として、主に生化学と組織学を学びます。

    生化学

    化学とありますがどちらかというと細胞分子生物学という分野になります。数年前にノーベル賞受賞で有名になったオートファジーの仕組みや、DNAの複製・転写・翻訳のより詳細な機構(高校生物の延長ですね)、糖・アミノ酸・脂質がどのように代謝されるのかなどをここで勉強します。

    組織学

    身体の中の筋肉や神経、皮膚などがどのような細胞から構成されているのか、そして各器官(肝臓とか、腎臓とか、腸とか)のミクロレベルでの構成とそのはたらきについて勉強します。顕微鏡で観察しながらスケッチもします。

    他には、患者への薬の効き目などのデータを処理して分析する方法や、ヒトの遺伝学、動物実験を行うにあたって注意することとかもこの時期に勉強します。

    また、学生少人数と臨床の先生によるグループワークの授業もあり、「このまま放っておくと病状が悪化してしまう患者さんが通院してくれなくなった」などのケースに対して自主的に調べたり話し合ったりすることもあります。

    M1(3年生)

    3年生ではさらに基礎医学における様々なことを学びます。

    解剖学(マクロ/脳神経)

    約2ヶ月かけて数人1グループで1人のご遺体(本物のヒトです!)を解剖していきます。実物を生で見て触ることを通して血管、神経、筋肉の向きや走行、はたらきを理解していきます。ここではとにかく身体中のいろんな解剖学用語を日本語+英語/ラテン語(将来英語で論文を読んだりするときのために)で覚えることになり、暗記の負担は膨大ですが、実際の疾患と関連づけをしていく(例えば、この神経がダメになるとこことここの筋肉が収縮しなくなり、肘が曲げられなくなる、とか)ことによって理解が深まるので私は楽しかったです。

    解剖のラストは脳になります。脊髄や大脳の肉眼での観察に加えて、ミクロレベルでの細胞の構造についても勉強します。記憶で有名な海馬や感情に関係する扁桃体もここで勉強します。

    微生物学

    ここでは目に見えないような微小な生物について勉強します。ヒトの体内には実は多くの細菌が住み着いていますが、その関係が共生ではなくなると病気という形で表れます。具体的には細菌やウイルス、寄生虫がどうやって人の体内に侵入するのか、毒素はどうやって分泌され、人にどのように及ぼすのか、どんな治療法があるのかなどを勉強します。「インフルエンザウイルスのワクチンにハズレの年が生じてしまう理由」といった私たちに馴染みのある話題から、世界三大感染症の「エイズ・結核・マラリア」まで取り扱われます。

    この他に夏までに勉強することとしては、高校の生物で習う免疫の延長に相当するものがあります(免疫学の先生方、省略してごめんなさい)夏休みが明けると、いろんな視点で体内の仕組みを維持すること(例えば心臓の拍動であったり、ホルモンの分泌によって身体の調子を整えたり……恒常性といいます)を勉強する生理学や、薬が病原体にどのように作用するのかを勉強する薬理学、病原体や癌が分子レベルでどのように作用するのかなどを勉強する病理学などが待っています。

    M2(4年生)

    M2になると臨床科目の講義が始まります。外科、内科、小児科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、産婦人科、皮膚科、整形外科、精神科などなど…私にも未知の領域ですね。

    11月にはCBTという全国の医学部生が一斉に受けるコンピュータを使った選択式のテストと、OSCEという診察や救急の実技試験があります。ここをクリアすることが医学部生の1つの重要な山場と言われています。年明けからは病院実習が始まり、今まで勉強してきたことと実際の現場の様子がつなぎ合わさっていきます。実際に医者になると患者さん1人1人と話すことのできる時間は限られてくるので、この実習期間は患者さんの声をゆっくり聞くことができる貴重な時期だとも言われています。

    M3・M4(5,6年生)

    M2の1月から始まる実習の続きになります。
    なお、6年生になると東大では海外の病院で実習を受けたり、東大の病院やその他の病院でも特定の科でもっと深く実習を受けたり、M1でやった解剖を臨床を学んだ上でもう一度やり直したりできる期間があります(どれをやるかは自由に選択できます)。
    そして卒業前には医師国家試験があり、合格するとようやく医師免許を手にすることができます。

    卒業後

    卒業後は多くの学生が初期臨床研修といってマッチング(就活の医学部生バージョンと思ってくれればいいです笑)で決まった配属先の病院で2年ほどいろんな科を回って研修をします。その後は専門の科を選んでさらに2,3年その科を究めることになり、そこまで進んでようやく一人前の医師と認められるかな…?といった感じです。
    基礎研究の道を選ぶ人は、卒業後大学の博士課程に進むことが多いです。そしてそのまま所属の研究室で研究を進めていくことになります。もちろん、ここで研究向いてないなと感じた人は(保険で医師免許を取っているので)臨床の現場に戻ってくることもありますし、逆に現場での臨床医としての活躍から途中で退き、新しく研究の道に勤しむ人もいます。大学付属病院や総合病院で患者と向き合いつつ研究も少しずつ進めている方もいます(とはいっても実際には両立は厳しく感じ、途中から臨床一本になる人が多いようですね)。

    最後に

    ここまでいろいろなことをつらつらと書いてきましたが、医師にとって知識を身につけることは勿論ですが、患者のことを本人の気持ちや家庭、経済的事情なども合わせて総合的に考えて接することができるか、現場で働く医師や他の職種の人たちといかにうまくコミュニケーションをとれるかが重要な要素になってくるのではないかと思います。

    私はまだ将来どんな方向に進むのかはっきりと決まっているわけではありませんが、勉強する中でその事は常に考え続けていきたいですね。

    将来医学部を少しでも考えている高校生の皆さんは、(科学的に完全に正しいかは置いといて)最近流行りの医療ドラマや小説に目を通したり、ニュースで出てきた病気についてスマホで調べてみたり、病院に行くことがあれば診てくれたお医者さんの様子を観察してみたりすると、ちょっとは医学というものに対して距離が近くなり、新たに気づくこともあるかもしれませんよ。

    最後までお読みいただき、ありがとうございました!

  • 理科二類1年生Nさんの1日

    理科二類1年生Nさんの1日

    理科二類1年のNです。1年生なのでまだまだ大学や東京での生活に慣れてない部分もありますが、様々な刺激を受けながら楽しい日々を送っています。そんな中から平凡な1日を選んで紹介したいと思います。

    9:10〜9:40 起床・準備  

    とある木曜日の朝。3、4回目のアラームを聞いてやっと起きます。
    その日の授業は2限(10:25〜)からだったので、起床はこの時間でも間に合います。私は朝に弱いので、1限(8:30〜)に授業がない日はとてもhappyです。
    簡単にシャワーを浴びてからパンを食べて家を出ます。

    9:40〜10:25 登校 

    家から最寄り駅までは自転車を使います。下り坂が多いので気持ち良く駆け抜けます。(安全運転の範囲内で!)
    電車に乗るとスマホでSNSを見たり漫画アプリを読んだりしています。満員電車であることがほとんどで、慣れるまでは地獄でしたが、今では無心で乗っています(笑)

    10:25〜12:10 2限「初年次ゼミナール理科」 

    2限の授業は「初年次ゼミナール理科」です。この授業は1年生の必修授業で、様々なクラスの人が混ざった30人くらいの規模で行う授業です。内容は様々なものがあり、自分で決めることができます。(抽選有り)

    私が受けたのは「見て、触って、作って学ぶ幾何学」という授業で、折り紙や紐とストローなどを使って工作することを通して幾何学を学ぶという内容です。具体的には「折り紙による任意の角の3等分」、「ケプラー予想」などについて学びました。(気になったら調べてみてね!)
    先生が優しく楽しい授業です。
    写真はミウラ折りという折り紙の折り方です。(これも調べてみてね!)

    12:10〜13:00 昼食 

    クラスメイトと学食でお昼ごはんです。駒場キャンパスには二つ食堂がありますが、昼食をとるならお昼の時間にしか開いてないダイニング銀杏がオススメです。この日は定番のオムライスを食べました。美味しい。

    13:00〜14:45 空きコマ 

    3限の時間ですが、この日は授業がなく1限分時間が空いていた(通称:空きコマ)のでキャンパス内の図書館で授業の課題をこなしました。

    前日にあったFLOWという105分間全て英語で行うスピーキングの授業の課題で、決められた内容について英語で話したものを録音して提出するものです。私は英語が大の苦手なので結構キツいですが、なんとか頑張って課題をこなしました。

    14:55〜16:40 4限「情報」 

    4限の授業は「情報」です。これも1年生の必修授業で、高校での情報の授業が発展した感じの内容です。私は大学に入るまでパソコンにあまり触れてこなかったので実習などを通して学んでいくのは楽しいです。ちょっとしたアルゴリズムなどを学ぶことができます。私がそれらを使う時が来るのかは分かりませんが…(笑)

    16:50〜18:35 空きコマ 

    5限も授業がありませんでした。私はこのFairWindの他に吹奏楽のサークルにも入っているので、空きコマを使って楽器の練習をしにいきました。このように空きコマは様々な使い方をすることができます。

    この日は大会も近かったので同じ楽器の先輩と合わせる練習をしました。サークルでは横の関係は当然ながら縦の関係も作ることができ、人脈が一気に広がるところが良いですね。

    18:35〜21:00 サークル 

    5限の空きコマに引き続き、吹奏楽のサークルの練習です。5限が終わった人たちも集まり合奏の練習をしました。受験期のせい(歳のせい?笑)で体力が落ちたことを感じながらもなんとか練習を頑張っています(笑)
    勉学だけでなく充実したサークル活動を送れることも東大の魅力だと思います。

    21:00〜21:30 夕食 

    夕食をとる時間は結構バラバラで、サークルがある日はサークル前に済ませてしまうことも多々あるのですが、この日はサークル仲間とキャンパスの近くにあるつけ麺屋に行きました。大学生になるとラーメンやつけ麺を食べる回数が増えます(笑) 他愛もない会話をしながら仲間と食事をとるのは最高ですね。

    21:30〜22:10 帰宅 

    朝ほどではないですが、帰りも電車は満員です。東京はすごい!
    最寄り駅から家までの道も行きとは違い上り坂なので、ひたすらぼーっと心を無にしながら自転車を漕いでいます(笑)
    帰宅の途中でコンビニに寄って翌日の朝食を買うことが多いです。

    22:10〜24:00 フリータイム 

    家に帰ってからは授業の課題をこなしたりYouTubeを観たりゲームしたりなど、その時の気分で様々なことをしています。一人暮らしなので人目を気にせず好きな曲を歌ったりもしています(笑)

    寝る前は天気予報とアラームを確認してからYouTubeで耳だけで楽しめる動画を探し、それを聴きながら寝ます。いつからか音がないと寝られない体質になってしまいました(笑) おやすみなさい。