タグ: 理学部

  • 【合格体験記】理学部物理学科推薦入試

    【合格体験記】理学部物理学科推薦入試

    おことわり

    2019年度の推薦入試を受験したので入試の情報は現在と異なる場合があるかもしれません。
    また理学部物理学科での受験でした。他学科とはとくに面接の様子など異なる場合がありえます、以上を踏まえて読んでいただけると幸いです


    イントロダクション

    東大の推薦入試には早い段階で興味があり、そのための実績作りという意味もあって競技科学(数学オリンピックなどの通称)には何度か参加しました。運良く予選を突破し本選に出場する機会を得ましたが、その時に感じたことなどが地方出身者として皆さんの参考になるかもしれないと思い、書かせていただきます。

    本選では全国から出場者が集まるわけですが、競技科学の性質もあって、首都圏の進学校生がマジョリティを占めている印象があります。大学入学後にいろいろ見聞きするうちに、地方では進学校ですらそういったコンテストがあることを知らない人が多いということを感じさせられます。

    僕自身もコンテスト系の情報は自分で手に入れていきましたが、研究活動で実績を作ろうという頭が全くありませんでした。周囲に研究活動をする雰囲気もなく、全国規模の大きな発表の場があることなど知らず自力でなかなか形にできる自信がなかったからです。きちんと知ることが出来ていれば、コンテストよりは研究活動で高校生活を送りたかったと今になって後悔しています。

    貪欲に情報を集める努力が足りなかったという自分の反省もありますが、おそらく最初のとっかかりは何気なく目にしたポスターだったりと思います。その探してもないのにふと目につくポスター的な存在がどれだけ周りにあるかは、確実なことは言えませんが地方と首都圏では少し差がある気がしています

    このFairWindという団体では主に大学受験における地方高校生のディスアドバンテージに対して後押しをしています。ここからは主観が入りますが、推薦生風(?)の学び、すなわち理系を例にとれば競技科学や研究活動といった学びに関しても地方の高校生は不利であると思います。それは情報が手に入らない、という点や経験者が周りにいないので身近に感じられない、そもそも参加する雰囲気や土壌が育ちにくいという点で難しさがあるように思います。

    どうしても自力で情報をもぎ取ってくる努力や人脈を作る努力、あるいはSSHやSGHなど与えられた環境から得られる物を最大限に生かす努力が必要だと思います。僕自身もそういった視点から地方高校生を後押しできればと思っています。推薦入試を考えている皆さんもそうでない皆さんも頑張ってください。


    2次試験

    受験生1人に対し、試験官が大体9人の面接でした。ただし、そのうち喋ったのは自分の受験する学科に関係する人のみらしく、僕の場合司会の先生と物理学科の先生2人でした。他の6人はずっと見てました。せっかく同席されてるなら雑談でもして和みたかった。

    試験会場にはホワイトボードがあってそれを使って答えてもよいとされています。物理でも数式を解かせたりすることを想定して臨みましたが、実際には口頭で答えられる質問が多く、ボードは補助的に使うことを想定していたように思います。必死に書いて答えようとしすぎて調子が狂いました。

    まずは提出書類の内容に絡んで軽い質問、続いて学科専用の問題を解かされる、という形です。書類には物理以外にも生徒会のことなど書いたのですが一切触れられませんでした。他学部だと関係ないことも聞いてくれるみたいですが、理学部は理科のことしか質問されないようです。裏話で聞いたところによると時間内で解き終わらない問題を予備含めて用意しているそうです。また、答えに詰まると助け舟も出してくれるので完璧に解けずとも自分の得意な問題で精一杯アピールすればいいと思います。

    今になって思うと聞かれた質問は、普通に高校レベルではなかった気がします。競技科学をするなら基礎みたいな問題ではありましたが。


    理学部

    理学部の推薦入試はかなり成績重視といった雰囲気を受けます。理系だと大きく科学コンテスト系研究活動系(もちろんその両方も)の実績に分かれると思いますが、理学部の場合コンテスト系の推薦生が多い印象を受けます。

    個人的に推薦生の多様性がすごく好きなのですが、理学部に限って言えば有名進学校出身者が多い印象です。そもそもコンテストの世界大会出場者が何人かいます。他の競技科学での世界大会出場者も輩出している高校から来る受験生もいますが、校内選考を突破したと思うとこわいですね。とはいえ世界大会とまではいかずとも、コンテスト成績関連のそこそこの実力(国内大会本選での好成績とか本選+研究活動でも活躍とか程度?)があればほぼ確実に受かるといった感じでしょうか。他学部と理学部で出願を迷っている際には参考にしてください。勉強っぽい推薦入試が得意なら理学部をお勧めします。

    ただし実力が必要条件といったわけでもなく、研究活動もしっかり評価されているので、コンテスト上位者を横目に自分の研究してきたことをコアにアピールしていく作戦もありです。用意された問題は解けなくても、志望理由書にかいていれば研究についてはかならず聞かれるはずなのでそこで存分にアピールすればとってくれそうな気がします(多分)。


    コンテスト、研究活動

    当然のことながら推薦入試で受かるためにはそれなりの実績が必要です。地方に住んでいて一番辛いのは実績になるコンテスト、研究などの情報が乏しいことです。実際競技科学の大会は関東、関西の進学校の出場者でいっぱいです。東大に入学した後、そういったコンテストがあるのさえ知らなかったという声もよく聞かれます。

    とはいえ多くの推薦生が、推薦入試のために実績を作るというよりも、自分の興味のあるものをとことん詰めて行った結果推薦入試で戦える実績が出来た、という形が多いのでは無いでしょうか。まずは学校での勉強に止まらない広い学びを求めること、そしてそうした学びができる場、自分の興味を突き詰められる場をアンテナを高くはって求めること、こういった努力が入試に合格するだけでなく、大学入学以降にも生かせる強みになると思います。


    推薦入試と一般入試

    推薦入試だけではなく、多くの皆さんが一般入試を目指すかと思います。推薦入試の準備と同時に共通テストや一般入試の勉強もしなければならないというのは普通の受験生に比べると負担が大きいです。あまり具体的なアドバイスはできませんが、共倒れしないようにいかにバランスを取るかが重要なので、そこは先生にサポートをもらうことを念頭におくと良いでしょう。

    合格体験記的なことを言うと、推薦の2次が終わったらセンターや一般に専念しようと計画しており、実際直後にすぐ切替は出来ました。ただ合格発表の2、3日前は思ったより異様な興奮や不安でいっぱいになり、勉強どころではありませんでした。もし推薦で落ちていれば立ち直れずに受かるところにも受かれない状態だったかもしれません。精神状態をコントロールする難しさを痛感した数日間でした。


    推薦入試の魅力

    そもそも僕は受験勉強に逆張りした結果競技科学に手を出し、その感じのまま推薦入試での合格に魅力を感じていました。ある意味推薦で入ることに自分らしさを求めたのかもしれません。もちろんそれだけではなく、推薦入学で得られるメリットを生かして研究者になるという目標を少しでも引き寄せたいという思いもありました。実際に合格したあとは、アドバイザー教員に積極的に相談して研究室見学を3回ほどさせてもらったり、早期履修で授業を先取りし刺激をもらったりという利点を予定通り享受しました。

    一方で思わぬ副産物として、人脈が出来たことが挙げられます。他の推薦同期や先輩後輩と交流する機会がありますが、なんといっても一人一人とがっていていくらでも話を聞ける面白さがあります。バックグラウンドも出身地もバラバラで、おそらくそれが推薦入試で念頭に置かれている多様性という言葉で表されるのだと思いますが、そういった言葉をわざわざ使わなくても、ごちゃごちゃいろんな人が混じり合っている様子のワクワク感は今では推薦生として入学したことの一番の魅力だと思っています。

    そしてこれはメリットかつデメリットでもあるのですが、教養学部で勉強するとき、“逃げ” の理由ができてしまいます

    自分の弱さを暴露することになるので恥ずかしいですが試験勉強をしていて、思わず内定しているから単位さえ取れてしまえばいいや、という “逃げ” の気持ちが出てきます。同級生は進振りのために必死に勉強している横で内心ふわふわしていました。

    あまりにも進振りに翻弄されてわけもわからず勉強するのもそれはそれでどうかと思いますが、推薦だから適当になるのもまた問題ですね。むしろ推薦生なら “翻弄されない” だけで“サボっていい”わけではないので、結局そこは自分次第だと言えるかもしれません。

    ただこれはメリットと捉えることもできて、最悪単位さえ取ればいいので、いろいろなことに挑戦できるチャンスでもあります。必修の授業のいくつかは独学でなんとかなりそう、と思って理学部の授業にもぐってみたり、3年生以降は物理で忙しくなるだろうから、バイトを楽しむ最後のチャンスってことで週末は飲食店で調理バイトしたりと他の東大生があまりしていないかもしれない体験にも挑戦できたのは個人的には満足できた部分です。


    まとめ

    きっと個人差はあるとは思いますが、推薦入試に挑戦する価値は計り知れないと思います。そしていわゆる受験勉強の枠組みを外れたフィールドでの学びにも積極的に参加することを僕からは大いにおすすめしたいと思うところです。ぜひ柔軟な視点で様々な世界を見てみてほしいと願っています。高校生活をたのしんでください。

  • 【東大理学部】生物学の世界をのぞいてみよう

    【東大理学部】生物学の世界をのぞいてみよう

    はじめに

    私は東京大学理学部の生物学科に所属しています。

    まだ生物学においては駆け出しも駆け出し、まだまだひよっこの学部3年生です。しかしこんな私でももうすでに生物の世界に大変魅せられています。当分の間抜けられそうにはないです(笑)。

    何がそんなに面白いの?理学部って何するの?生物学科って普段何してるの?生物勉強してその先どうなるの?などなど疑問に思うことはたくさんあるかと思いますが、実際に所属しているからこそわかる生物学の世界、生物学科の生活をお伝えしようと思います。

    生物学とは?

    これを読んでいる皆さんは今手元に生物の教科書があるでしょうか。もしあるならば、目次をさらっと見てみてください。細胞の構造、光合成、筋肉の収縮の仕組み、エネルギー生産……..などなど色々と項目が書いてありますね。その目次はよくまとまっているものだと思います。というのも、高校で扱う内容も、大学で扱う内容も大まかなくくりとしてはそんなに大差がないのです。

    生物学科で学ぶ内容と、それに対応する高校での学習内容をあげてみたいと思います。

    • 細胞生理学(高校:細胞の構造、細胞小器官の働きなど)
    • 発生生物学(高校:ウニとカエルの発生)
    • 遺伝学(高校:メンデルの遺伝の法則)
    • 分子進化学(高校:分子時計、中立進化説)

    などなど、高校で学ぶ生物の内容は大学で学ぶ内容に完全に直結しています。だから、高校で生物をやっている人ならとてもとっつき易い学問であるし、高校で生物を扱ってない人にとっても入り込みやすい学問であると言えるでしょう。

    では、大学では何するのでしょうか?

    大学で学ぶ生物学

    大学ではまず、高校の内容に加えてさらに突っ込んだ内容、最先端の内容を学びます。生物の世界を学び、最先端で何が行われているのかを把握した後に研究の世界に飛び込むことになります。

    生物学の何が面白いのか?

    生物学をやっている方々に生物学の魅力は何かと問うと、十人十色の答えが返ってくると思います。質問の答えになっていないですね(笑)

    ここではあくまで私が、現時点で感じている面白さについて語らせてもらうと、生物学は「自分の周りの世界をもっと鮮やかにする」学問だと思っています。道を歩いているだけで、この広葉樹は何才くらいで、どのような環境をくぐり抜けてここまで大きくなったのか?、この花はなんでこんなに赤い色をしているのか?、身の回りの自然物にまず気づくことができ、視界に入ってくる情報に対して色々な疑問をもち、勉強して知識を増やすことでその疑問を解決することもできるのです。

    生物を勉強していると、このように、単なる背景として捕らえられていた身の回りの世界が途端に意味を持ってくるようになり、なんとも不思議な充足感に満たされます。ここが生物学の面白さではないかと今は思っています。

    また、この先もっと違う面白さを見つけることができるのではないかと期待もしています。

    理学部って?

    理学部って他の理系の学部とは一線を画すのではないかと私は感じています。研究された結果がそのまま社会の役に立つなんてことは少ないでしょう。

    それでも理学部という学部が存在する意義は、理学部が学問の基盤を作る大変重要な役割を担っていることにあるのではないかと思います。農学部、工学部、医学部、薬学部といった、研究結果が社会の役に立つことが想像しやすい学部の研究はひとえに理学部での基礎研究をベースにしたものではないだろかと私は考えています。この世界の知識のベースを作る学部としてとても誇り高い学部であると私は考えています。

    とまあたいそうなことを書いて少しばかり恥ずかしいですが、理学部に所属する人の特徴としてやはり勉強が好き、課題に向き合い解決したいという思いを持っているという特徴があるように思います。

    高校までは周りの友達に気後れして勉強が好きだなんて言えなかった、という人が生き生きと勉強できる自由な場でもあるでしょう。そんな雰囲気の理学部が私は好きです。

    東京大学理学部生物学科の魅力!

    どんな生活?

    大まかには、3年生は午前中は座学の授業、午後は学生実験、定期的に野外実習(山や海での現地調査)、4年生以上になると研究室に配属され、各々のテーマで研究という流れになります。

    ここでは3年生のある一日の流れを紹介してみます。

       
    8:30-10:151時限目「遺伝子機能学」この日は細胞分裂のS期に起こる、重要な機能について学習。
    10:25-12:102時限目「動物生理学」この日は、神経伝達経路における、カルシウムイオンチャネルの作用についての講義。
    12:10-13:00お昼休み3年生のみんなが集まる学生控え室で、午後の実験で何をするか確認しながらご飯を食べます。
    13:00-18:00学生実験大腸菌のプラスミドに対しての遺伝子組み換え操作。程よい緊張感が実験室を包みます。
    19:00-バイトに行く人もいれば、夜ご飯を食べる人、実験のレポートを書く人など様々です。

    通常の授業、学生実験に加えて3年生前期ではすでに大学の臨海実験所を利用した6泊7日の実習、大学付属の植物園とその近くの山を利用した3泊4日の植物実習、富士山の高山地帯の植生を調査する3泊4日の実習などに行きました。

    生にたくさん触れ、机上の空論ではなく実際の観察実験に基づいた生命現象の解明を行うという生物学基礎研究の基礎を学ぶことができます。

    東大理学部生物学科の教授陣

    どの教授も世界の生物学界の第一線で活躍されている方ばかりです。知識が本当に豊富で授業はとても楽しいし、我々学生にも的確にアドバイスをくださります。生物を勉強、研究する環境として大変恵まれていると思われます。

    また、普段山や海などのフィールドに出向いて研究されている先生方も多く、そのような先生方は非常に体力があるという特徴もあります。山での実習などの時は先生方についていくのに結構必死です(笑)。生物学科は、そんな知力体力を兼ね備えたかっこいい先生方がたくさんいる魅力的な学科です!

    東大理学部生物学科で勉強した先はどうなるの?

    生物学科を卒業した学生のうち9割がたは大学院に進学しているという現状です。

    残りの1割の人は本当に様々な業種で就職していきます。大学院を出た後は、博士課程に進んでもっと研究を続ける人、企業などに就職する人、あまり偏りなく分かれるのではないかと思われます。企業に就職する人の中では研究職につき、大学での学びを活かしたりもできるでしょう。また、博士課程に進むとさらに大学に残って研究を続け、ゆくゆくは教授まで登りつめる、なんて人もいるでしょう。

    自分がどれだけ研究者に向いているか、実際に研究に携わってみて、時間をかけて考えなければわかりません。研究がどんなふうに面白いかも実際にやってみなければわかりません。かくいう私もまだまだ研究の域に足を踏み入れていないのでわからないのです。実践あるのみという印象です。

    最後に

    生物学に限らず、研究という分野は世間的にもなかなか厳しい職業であるというイメージは強いのではないでしょうか。かつて自分の中でも、研究費をとるのが難しい、薄給であるなど、どうしてもマイナスのイメージが先行していました。しかし、特に生物学科の先生たちをみてみると皆ロマンを追い求めながらスマートにかっこよく、かつ泥臭く研究をされている方々がおり、こう方々に世界の学問が支えられているのだなと思うと強い憧れの念が湧いてくるものです。

    一度研究という世界をじっくりのぞいてみたい人、生物学にどっぷり浸かりたい人、少しでも生物に興味があるなと思う人はぜひ、理学部を検討してみて欲しいと思います!