タグ: 推薦入試

  • 興味を探した先に~農学部推薦入試を経て~

    興味を探した先に~農学部推薦入試を経て~

    はじめに

    こんにちは。
    私は、農学部の学校推薦型入試(以下、推薦入試)を経て、現在、教養学部理科二類1年に所属しています。

    皆さんは自らの進路・進学先について、どの程度イメージを持っているでしょうか。

    ここでは、私のやりたいことが決まる前後から志望校決定、そして大学生活までのプロセスについてご紹介しながら、興味・やりたいことの見つけ方のヒントになり得ることを盛り込んでいます。

    この記事が皆さんが進路・進学先を考えるうえでの一助になれば幸いです。

    大学入学前から将来のことをキチンと考えておかないといけないの?

    進学選択制度のある東京大学の受験を考えている方の中には、このような疑問を持っている方も多いかもしれません。

    もちろん、必ずしも高校生の間に将来像が明確化されている必要はないと思います。
    しかし、入学前に興味分野が決まっていることのメリットも沢山あります。

    たとえば、高校での授業内容は大学での学びと深く関わっているため、興味に即した文理・科目選択を行うことで、将来、役に立つ知識を高校生の間に身に付けることができます。

    さらに、東京大学の前期教養課程においても、自分の中に軸があることで、スムーズな授業選択や、勉強へのモチベーション維持ができると感じています。

    こちらの記事は主に私の体験に基づいた一例に過ぎないですが、皆さんが将来のことなどを検討する中で、参考にして頂けると嬉しいです。

    将来像を確立するまで

    まず、将来やりたいことを考え始めてから、それが明確になるまでに辿った軌跡です。

    中学生の間は、漠然と理学部や薬学部、農学部などの生物系の学部に進みたいと考えていました。

    その後、高校進学前後の新型コロナウイルスによる休校の間にじっくりと考えるなか、興味分野に辿り着きました。そして、地元の大学が主催している高大接続プログラムへの参加を通じ、将来像が確立されていきました。

    体験談①〜学校の授業をきっかけに〜

    きっかけは中学校3年生の時に受けた生物の授業です。

    「根粒菌」を筆頭に様々な微生物が、他の生物が持ち得ないような特殊な機能・役割を活かして縁の下の力持ちで生態系を支えている姿に感銘を受けました。

    学校の授業は、大学での学問と密接に繋がっているうえ、幅広い科目に触れるため、興味のあることを探すための絶好の材料になると感じています。

    その後、小学生の頃から興味を持っていた環境問題に微生物の機能や生態を活かすことができないか、と考えるようになりました。
    キーワードは「微生物」「環境問題」「地球環境」です。

    インターネットで「微生物 環境問題」と調べてみると、「環境微生物学」という分野に出会いました。
    このように、興味のある単語を検索BOXに打ち込むだけで、有用な情報が沢山得られるのでぜひ、実行してみてください。

    次に「環境微生物学」をキーワードに大学の学部や研究室検索を進めるとともに、専門書を読んでみました。この過程の中で、生物系だけではなく工学系の学部でもこの分野を扱っていることが分かりました。

    当時はこれ以上深掘りすることは出来ませんでしたが、分野を絞ることで普段からアンテナを張って情報を得やすくなったと感じています。

    体験談②~高大接続プログラムに参加して~

    次第に科学の世界に触れ、研究のノウハウを学んでみたいと考えるようになりました。

    そこで、大阪大学主催のプログラムに参加してみることにしました。私は、本プログラムの2つのコースにそれぞれ半年間~1年間ずつ所属していました。

    大学主催のプログラムに関する情報は見つけにくいこともありますが、実は様々な大学が中高生対象のプログラムを実施しています。地元の大学や気になっている大学のホームページから探してみると良いでしょう。

    1年目のコースの内容は、講義の聴講や参加者同士のディスカッションレポート作成研究室体験などです。経験者が多い中、当初は議論を聞くだけで精一杯でしたが、徐々に自分から発言できるようになっていきました。

    また、講義の内容や学んだこと、興味を持って自主的に調べたことなどをファイルにまとめていました。体裁を整える必要はありませんが、経験を積みながら学んだことや考えたことなどを蓄積することをオススメします。

    当コースでの経験を経て、異なる分野同士も多くの接点を持っており、1つの問題に対して複数のアプローチが必要だ、ということを身をもって感じました。

    そして、頭の中で思い描いていた研究提案を実践してみたい、という思いから、2年目のコースでは希望の研究室での研究活動を行いました。

    このコースでの経験を通じ、得られた次のようなことは、後の東大を志望する過程で非常に重要な要素となりました。

    • 自分が大学で学びたい分野を再確認できた
    • 「環境微生物学」という興味分野から、さらにやりたい具体的な研究テーマを見つけることができた
    • 研究プロセスにおける普遍的な課題に気付いた

    経験数は他の推薦生と比較すると少ないですが、与えられた環境でできること、学べることを最大限化することを心がけていました。

    推薦生の活動内容の紹介

    以上は私の2つの時期における体験談でしたが、こちらでは、他の推薦生が行っていた活動の内容をご紹介します。括弧内は進学先・進学予定先学部です。

    以下の一覧の中には、高い行動力が必要な活動やハードルの高い活動も含まれていますし、もちろん、学業や今取り組んでいることが最優先です。

    しかし、何らかの行動を起こしてみたいと考えている方は、これを機に興味を持てる活動や自分も取り組めそうと感じた活動を探してみてください。

    • 高校での課題研究、部活での成果を外部発表などで発展(工・農学部)
    • 資格取得へ向け、自主的に勉強(法・経済学部)
    • ホームステイ留学プログラム(農学部)
    • 企画考案を行うプログラム(法学部)
    • イベントスタッフを経験できるプログラム(農学部)
    • 自ら学校に働きかけ、アンケート調査(医学部)
    • 当事者との関わりの場を設け、実態を学ぶ(医学部)
    • 自主的にインタビューを行い、レポートを作成(農学部)
    • 有志団体の運営(工学部)
    • 長期的な観察記録(農学部)

    東大志望前後

    次に、自分の興味や考えに基づき、大学や学部を決定していくまでのプロセスについてです。

    多様な大学へアプローチ

    当時、実家のある大阪から通学可能な大学への進学を考えていました。そのため、関西の大学に絞って、自分の取り組みたい研究テーマと近い研究を行っている大学や、ポリシーが私の考えと一致する学部をピックアップしていきました。

    しかし、ピンと来る大学・学部が見つからなかったので、具体的な要素の一致を求めるのではなく、自分が今後どのようなスタンスで研究に携わりたいか、を軸にするようにしました。そこで、「生物・化学的観点から環境問題の解決に繋がる研究を行う」ことを基準としました。

    再び、実家から通える関西圏の大学について、インターネットの大学・学部・研究室ホームページや大学から取り寄せたパンフレットを読む、という作業を続け、志望先を絞っていきました。
    しかし、思わぬきっかけで東京大学の農学部を志望することになりました。

    東大を、農学部を目指すことに

    あるとき、プログラムでの研究に関するリサーチのため、「大学 応用微生物」というキーワードで検索したところ、検索結果の一番上に表示された研究室が東大農学部所属の研究室でした。

    そして、その研究室のホームページのトップに書かれていた文言が、まさに私が微生物に対して抱いていた魅力と全く一致していたことに衝撃を受けました。また、農学部の学部ポリシーも深く共感できるものだったことを、今でも鮮明に覚えています。

    このことを機に、東大の農学部教育システムについて情報を集め始めました。その中で、私が他の大学について調べていた際に感じていた物足りなさが全て解消されていきました。

    この際、学部カリキュラム研究テーマに基づき、東京大学農学部の応用生命化学・工学専修を進学先の候補としました。

    そして、東京大学が一般公開している授業カタログを使って前期課程の授業で学べることを調べ、手元に届いた専修パンフレットを熟読し、ここで学びたい!という気持ちが強くなりました。

    さらに、パンフレットの推薦入試案内を通じ、入学直後から専門的な学び・経験に触れることができること、入試には高い実績が絶対条件ではないことを知りました。

    後者に対しては半信半疑な上、高校で情報が蓄積されていなかったことや、面接試験が大の苦手だったことから、かなり躊躇していました。しかし、入試要項に載っていた、農学部の求める人材像に自分との共通点を見つけ、自分の活動を何らかの形で活かせるなら挑戦してみよう、という気持ちになりました。

    受験スケジュール

    私は上記のような過程を経て、高校2年生の秋に東大の理科二類を、同年冬に農学部の推薦入試を志望しました。

    そのため、一般入試と推薦入試の対策・準備を両立しなければならず、かなりハードな面もありました。

    こちらの記事では受験生活の詳細は省略しますが、私の受験までのスケジュールを画像にて軽く紹介しますので、推薦入試を検討している方は参考にしてください。

    大学生活

    最後に、現在送っている大学生活についてです。

    高校生の頃にある程度将来像を固めたとはいえ、もっと視野を広げ、多方面からのアプローチ方法を考えた上で、取り組みたいテーマを最終決定していきたい、という思いでした。

    今年度4月に入学してから4か月しか経っておらず、十分に自分のものにしきれていない部分もありますが、私の大学生活は主に以下の3種類に分類されます。

    • 一般生と同様の前期教養課程での学び
    • 農学部のプログラムへの参加
    • 推薦生の制度を用いた専門的な経験

    前期教養課程での学び

    皆さんの中には既に知っている方も多いかもしれませんが、理系の1年生は必修科目がかなり多いです。そして、短い期間で膨大な事項を扱うため、負担に感じることもあると思います。

    私自身、高校生の頃に受けてみたいと考えていた国際関係や法・制度関連の科目は、まだ履修することができていません。

    しかし私は、これまで無縁だった物理系の必修科目と興味分野との新たな接点を見つけました。これらの学問領域を融合させた研究について、論文検索などで深掘りしてみたところ、現在まさに研究が進められているとのことです。

    このことを知り、今では微生物学を突き詰めるだけではなく、この分野との融合も視野に入れて、研究を行うことを考えています。

    農学部主催のプログラム

    私がこの4月から参加しているプログラムは「One Earth Guardians育成プログラム」です。これは、100年後の地球を見据えて、地球上の課題を見出し、考え出した解決策を実践できる人材、「地球医」を育てることを目的としています。

    ここでは主に、社会科学的な知見を得ています。特に、企業研修を通じて技術の実用化の際に意識するべきことなどを学ぶ過程で、私の中で新たな検討事項も生まれました。また、「環境倫理」という、複雑ですが、現在・将来の地球上の課題を分析する際に必要となる見方にも触れました。

    科学的な研究を進めるなかでも、欠いてはならない視点に気付き、今後の授業選択へ活かせると考えています。プログラムでの活動は始まったばかりですが、新たな体験やメンバーとの議論を通じて、自分の考えを深めていきたいです。

    推薦生の制度

    推薦入試で入学すると、複数の特有の制度を利用することができます。学部にもよりますが、農学部の場合は以下のような制度があります。

    • 入学直後の研究室訪問:入学直後に複数の研究室を訪問し、農学部の学び・研究に触れる
    • アドバイザー教員制度:今年度は生徒1人に農学部の教授の方1人が配属され、進路や専門的な学びに関する相談を行うことができる
    • 早期履修制度:農学部専門科目の受講及び、単位認定が可能

    他学部では、学部主催のゼミへの参加や定期的な研究室訪問などが実施されているそうです。

    私は、2つ目のアドバイザー教員制度を利用し、担当教授の研究室で、高校時代の追加研究を行っています。視野を広げると同時に専門性を深めたい、という高校生の時の思いはこのような形で実現しました。

    この制度自体は推薦生向けですが、大学の研究室は誰でも訪問することができますし、研究内容などについてお話を伺ったり、実験をすることも可能です。高校生の時に研究室訪問を行い、先生と直接お話して出願学部を決定した方もいらっしゃいました。

    中高生の今、大学へ直接足を運ぶことは勇気がいると思いますが、入学後、研究室で研究をしている自分を思い浮かべてみると、合格したい!という気持ちも強まるのではないでしょうか。

    おわりに

    最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございます。この記事を何か行動を起こしてみようと考えるきっかけにして頂ければ幸いです。

    今回は書くことができませんでしたが、大小様々な決断を下すまで、多くの紆余曲折がありました。今から振り返ると、別の手段・選択肢もあったのではないかと感じる部分もあります。

    また、将来のことを考えるタイミングは大学入学後も沢山あると思います。中高生の今、固まった将来像が変わることもあるでしょう。私も、数年後、別の分野の研究に携わっているかもしれません。

    しかし、自分のやりたいこと・将来像は考えれば考えるほど、目の前の受験勉強や大学入学後の勉強に対するモチベーションも上がりますし、自分の世界がどんどん広がっていくことでしょう。

    皆さんも隙間時間に情報を集めたり、入学後の自分を想像しながら、勉強を頑張って下さい!不安なことがあれば、FairWindでも随時質問を受け付けていますので、多様な方からのアドバイスを得る機会にしていただければと思います。

  • 【合格体験記】教育学部推薦入試

    【合格体験記】教育学部推薦入試


    はじめに

    こんにちは。私は福岡県立小倉高等学校出身です。小中高と公立校に通った、地方出身の女子です。関東出身者や男子の多い東京大学では珍しいタイプの人間ですね。そんな私の推薦についての話を書かせてもらいます。


    これまでの活動について

    まず、前提として、私は貧困問題について関心があり、自分なりに活動や勉強を行ってきた者です。その前提を踏まえて、これまでどのような経験をしてきたのかを書きます。

    まず、小学校の時に貧困を目の当たりにして、「何とかしたい!自分にも何かできることはないのか?」と関心を持つところから始まりました。

    中学校3年生の時に、国連やユニセフで働く方から直接お話を聞いてみたいと思い、JCI主催の少年少女国連大使となりました。ニューヨークの国連本部で、当時まだできたばかりのUNSDGssについて学び、帰国後にSDGssの啓発活動を行いました。

    高校でも、そのまま啓発活動を続けていました。また、地元北九州が得意とするものづくりで国際協力をしていて、それがただ支援をするだけでなく、現地の人たちだけでも続けていけるような持続可能な支援の仕組みだったのです。現地に行ってみてみたいと思い、北九州市、JICA九州共催の「上下水道ユース研修」でベトナムの共同事業を見てきました。そこでは、(言い方は本当に良くありませんが)支援をする側とされる側での需要と供給のミスマッチや、教育の重要性を学びました。


    なぜ推薦入試を受験しようと思ったのか

    一番大きいのは、推薦生に与えられている、進学選択振り分けを行わずに学部に行けるという権利があることでした。東大では、行きたい学部に行くためには進学選択振り分けで高い点数を取らなければならないことが多いです。しかし、推薦生は元入学時から学部が決まっているので、高い点数を取ることは考えずに、自分が学びを深めたいことをのびのびと学ぶことが出来ます。また、その分自由に活動ができるので、私は今、教育推薦の先輩を誘って、一緒に学習支援団体の代表をしてます。

    もう一つの理由は、私が一般入試よりも推薦入試の方が向いていたからです。人前で話したり、自分の思っていることを伝えることが好きで、その方法で大学に入ることが出来たら、自分の得意分野で勝負できると思い、受験を決めました。


    出願要件は何か

    各学部によって全く異なります。

    ちなみに、2020年度の教育学部の要件は、

    以下の全てに該当する者とします。

    ① 本学のカリキュラム履修に必要な,教科の基礎学力があること。

    ② 探究学習の卓越した実績・能力を,論文,作品,発表等を通じて示すことができること。

    です。自分で興味のある学部について調べてみてくださいね。


    提出資料は何か

    調査書など、必要書類以外に、私が提出したものを具体的に例示しておきます。

    ①タウンミーティングのポスター

    ②タウンミーティングでの発表資料

    ③市議会に向けた陳情の新聞記事

    ④海外研修の新聞記事

    ⑤海外研修の発表資料

    ⑥エッセイコンテストの賞状

    ⑦エッセイコンテストの本文

    ⑧小論文コンクールの賞状

    ⑨小論文コンクールの新聞記事

    ⑩小論文コンクールの本文

    ⑪英検の合格証書

    ⑫漢検の合格証書

    ⑬論文

    このように、第三者が、自分に対して評価しているものや、自分で執筆したものを提出します。新聞記事など、自分が載っているものはきちんと取っておくといいと思います。


    入試はどのようなものか

    募集要項を見ていただけるとわかると思いますが、まず資料提出による書類審査があります。これが一次試験です。

    晴れて一次試験に合格したら、二次試験は実際に東京大学まで行って受験をします。教育学部の場合は、まず、受験生全員、先生方の前で、プレゼンテーションを行います。一人の持ち時間は、質疑応答を含めて15分間です。このプレゼン、とても楽しいです。まず、他の受験生の発表は、様々な着眼点の高い水準のものなので、発表を聞きながら多くのことを学べますし、他の受験生の教育に対する考えを聞くことが出来ます。発表に対する質問は、受験生がするのですが、発表を聞いて生じた疑問を尋ねることが出来ます。また、自分が質問をされるときには、(試験なので当たり前ですが)自分の発表に対して疑問を持つくらい考えながら聞いてくれたことが嬉しいですし、私がもっと説明したかった所を引き出してくれるようなことを聞いてくれるので、わくわくしながら答えていました。

    次に面接があります。人によって時間はまちまちですが、持ち時間は15分です。現在東大で研究されている先生方が、私の論文や発表に対して鋭い意見や質問をくださいます。まず、とてもありがたいです。しかし、鋭すぎてけっこうへこみます!!

    二次試験が終わると次は共通テストです。共通テストは、8割とることが条件となっています。

    そして、二次試験と共通テストの結果を総合的に見て合否が出ます。


    どのように対策をしたのか

    まず、提出資料についてです。とにかく書き直します。回数は数えられないほど書き直しました。高校の先生方には、完成品を見ていただいたので、そのうえでの書き直しはほぼなかったです。また、二次試験のプレゼンテーションは、とにかく練習をしました。当日の朝まで、40~50回ほど練習をしていましたね。

    また、面接対策は、自分がこれまで行ってきた活動を振り返ったり、自分の書いた論文を見直したりしました。発表、面接は主に両親に対して練習をしていました。ありがたかったです。

    先生方には、3回ほど見ていただきました。私は、推薦対策の塾に通いませんでした。推薦受験をする方の中で、推薦用の塾に通っていないが大丈夫であろうかと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、何も問題はありません。何度も繰り返し書き直したり練習を行ったりすることで十分だと思います。


    面接では、どのようなことを聞かれるのか

    私が聞かれたことは、私がこれまで行ってきた活動や、私の書いた論文についてでした。これは、ご自身がこれまで行ってきた活動や書いてきたものに対しての質問なので、振り返りをしていれば、答えられないものはほぼないと思います。


    推薦を考えている人に対して伝えたいこと

    私が、推薦入試で最も大切であると考えることは、いかに学問に対して熱意があるかです。推薦生で多いと感じるのが、SGHやSSHの指定校で、そこで行ってきたもので受験をする人です。しかし、自分はそうでないから研究なんてできないと思わないでください。私はSSH指定校でしたが、小学校の時に関心を持ったことを中学校、高校と自分で学び続けました。環境の影響は大きいですが、その条件を除けばどんな人でも研究はできると思います。諦めずに、熱量をもって学問に取り組んでいたら、きっと大丈夫だと思います。将来したいことが明確にあり、やる気にあふれている人は、是非受験してほしいと思います。



  • 【合格体験記】東大推薦入試一問一答【法学部】

    【合格体験記】東大推薦入試一問一答【法学部】

    〜はじめに〜

    私は、ご縁をいただいて2019年度の東京大学法学部の推薦入学生となりました。東大の推薦入試については既にメディアなどで様々に語られ、またそこで恐ろしくハイスペックな合格者が紹介され、漠然と「ヤバそう」なんて思っている人が多いだろうと思います。でも、それは所詮マスコミ映えです。私は別にそんなんじゃないです。この話題に興味がある人もない人もまずは軽く読んでいただき、「実際こんな感じなんやなー」と知っていただけたら此れ幸いですし、もし東大の推薦入試に興味を持っていただけたなら本望です。


    名前、出身地、出身高校は?

    荻原薫、兵庫県神戸市、兵庫県立長田高校(人文数理探究類型)


    人文数理探究類型って何?

    普通科内に併設されていた学年に一クラスの特色コースで、通常の教育課程に加えて「探究」という研究もどきをやるクラスです。唯一3年間クラス替えがなく、文理混合でした。このクラスに入っていなければ推薦入試を受けることは100%なかったと思います。


    推薦入試を受けようと思ったきっかけは?

    元々東大を一般で受けるつもりでしたが、3年の10月1日に担任の先生から「チャレンジしてみないか」と打診していただいたのが推薦を視野に入れはじめたきっかけです。ちなみに出願開始が11月1日だったので、今考えても恐ろしくギリギリのタイミングでした。


    なぜ打診があった?

    その先生曰く、私が出願要件をいい感じに満たしていてかつ法学部の倍率がそこまで高くなかったからだそうです。


    「法学部」とのことだが、東大は入学時には学部が決まらないシステムでは?

    一般入試はそうですが、推薦入試の場合は学部で入試が分かれていて、3年次以降必ずその学部に進むので出願時に学部を決める必要があります。これはメリットでもありデメリットでもあるので気になる方はGoogleへGO!


    なぜ法学部に?

    もともとは弁護士になりたくて漠然と法学部を目指していましたが、高校の3年間で政治分野への興味が増したことで明確に法学部に決めました。


    出願要件は?

    ①成績が学年で5%以内

    ②問題発見&設定能力を持つ

    ③問題解決に向けてイニシアチブを発揮できる

    ④異文化交流能力を持つ 

    大学側はこの要件を満たすことを証明する資料として、例えば研究論文や留学経験、TOEFL・英検・IELTSなどの検定資格を例示していましたが、これらはあくまで例示であって、満たしている事がわかればいいとしていました。私は上記のようなストレートに書ける資料がなかったのですが、探究や部活動、学校行事でのことで代用しました


    具体的に何を資料として出したのか?

    ②と③について。先ほども少しだけ触れましたが、私は高校時代、探究類型で三年間「探究」という研究活動を行なっていました。具体的な研究内容としては、「阪神淡路大震災発生時における神戸の在日外国人(特に在日ベトナム人)の置かれた状況、日本人との軋轢、そしてその原因について調査・考察し、そこから得られる教訓を元に未来の在日外国人との協力を見据えた災害対策を考える」ということをしていました。この探究がきっかけとなってSGH甲子園という大会にも出場しました。(推薦の書類には書かなかったのですが、この研究が縁となって神戸大学の教授にお誘いをいただき学会へ出させていただいたりもしました。)これについてまとめたポスター、プレゼン資料が②と③への主なアピールポイントとなりました。

    読んでいただいて薄々気づかれたとは思いますが、法学部に出願したくせに全く活動内容が法学・政治学系にかすってませんでした。でも、法学部としてはそれについては全く問題なかったようです。募集要項にも、法学・政治学系である必要はないと明記されていました。

    また、演劇部で部長を務めていた事、校内の音楽コンクールで3年間クラスのコーラスリーダーを務めた事(実際リーダーのあり方をかなり考えることができて人間的に成長しました)も推薦書に書いていただき、「勉強だけしていたわけじゃないですよ〜」というアピールをしました。

    私にとっての問題は④でした。大学側はこの要件を満たすことを証明する資料として、例えば留学経験、TOEFL・英検・IELTSなどの検定資格を例示していました。しかし、私は英語に関する資格を全く持っておらずかなり焦りました。学校の先生と相談して、なんとか高校在学中に参加した英語での短期交流プログラムの参加証明書、そして上記の探究活動の中での外国人や様々な立場の人との交流実績を資料として提出しました。

    大学側はあくまで例示であって満たしている事がわかればいいとしていたのでこのようにして乗り切りましたが、おとなしく英語系の活動に力を入れておけばよかった…とは今でも思います。

    こう見るとほぼほぼ高校の活動で要件を満たしていたんだなあと改めて感じます。本当にいろんなことをさせてもらった3年間でした。学内活動は割と疎かにしがちな人もいると思いますが、何事も人生経験だと思って挑んだ方が後々自分の役に立ちます。ただ、推薦の同期の友人たちは自主的に様々な研究をしていたり、留学やプロジェクトへ参加するなど学内に限らず様々な活動をしていました。


    他の提出物は?

    志願理由書として、「①現代社会の中で重要だと思う問題は何か。」「②その問題について将来どのように取り組もうと思っているのか。」「③その他入学後にやりたいことは何か。」の三つのお題に対して合計3000字程の小論文を提出しました。

    ①については主に長らく興味を持っていた国民国家が抱える問題について書きました。私の要領が非常に悪く、担任の先生には締め切り間際の時期、しかもよりによって遠足の前日に夜11時まで学校に残ってつきっきりで添削をしていただきました。本当に頭が上がりません。終電の1本前で帰宅して翌日の集合にバッチリ寝坊してしまったのは今となってはいい思い出です。


    ―面接試験の前に書類選考があったとのことだが、通った時の気持ちは?

    出願要件④の資料の薄さや、論文がない事がかなりネックだと思っていて、正直落ちるかもしれないという思いが大きかったので本当にびっくりしました。


    ―面接試験の形式は?

    法学部はグループディスカッション(8人で90分)と個別面接(15分)でした。教育学部はポスターセッションだったりと学部によって形式は様々です。待ち時間を含めて試験が半日あったのでグループのメンバーとは1日でだいぶ打ち解け、今でもご飯に行ったりと仲良くしています。


    ―事前練習はどのように?

    グループディスカッションについてはクラスメイトに協力してもらって2日前(!)に一度だけ練習をしましたが、自分の意見や考えをいろいろアピールしようとして空回りしてしまいました。また、面接練習は3回ありました。そのうち1回は(今考えてもなぜなのか本当に謎ですが)なんと校長先生が参加してくださったのですが、相手が元々見知っている先生だということもあっていい格好を見せようとガチガチに肩を張ってしまい、終わった後に尽く泣いてしまうという散々っぷりでした。とても受かる雲行きではなかったです。


    ―本番ではどのような立て直しを?

    グループディスカッションについては反省して色々と調べた上で、本番では「他人が発した意見について、同意や譲歩をしつつ補足をしたり疑問を立て、議論を前進させる」ことに徹しました。あえて自分の意見を強く主張せずに周りを観察しながら発言したのが功を奏しました。また面接については3回の練習の中でいただいたアドバイスをよく読み返した結果、「どうせ緊張するのだし相手は自分よりはるかにすごい教授陣の方々なのだから、自分みたいな一高校生ごときが小賢しく何か話したところで見抜かれてしまうだろう。それならありのままの自分で当たって砕けよう」と吹っ切れた気持ちで挑めました。


    個別面接ではどのような質問が?

    ※同じ法学部推薦のメンバーでもかなり質問されたことが違っていて、一概に参考にはならないと思うのでそのつもりで読んでいただきたいです。

    私の場合は、高校時代の活動実績のことよりは志願理由書の①で書いたことに対する質問の方が割合多かったと記憶しています。多分、尖ったことを書いたので教授に食いつかれてしまったのだろうなと思います。「アメリカの分断について話していたけど分断することがどうしてダメなの?」「日本に分断が起こるとしたら何が要因で起こると思う?」など、答えが明確には出せないような抽象的な質問をたくさんされ、瞬時に自分なりに考える力を試されているなと感じました。高校時代の探究活動の中で人前で話す力をつけられたのが、この試験に挑む上で大きかったです。


    ―筆記試験の有無は?

    筆記についてはセンター試験が選考基準に含まれていました。大学側が定めていた基準自体は80%程度以上でしたが、二次試験も受けるつもりで勉強していたので本番は95%弱をとることができました。模試の自己最高から50点上がったので、理科と社会の最後の追い込みの大切さを身にしみて感じました。(ただし英数国は早めにコツコツやっとかないと死にます!)


    ―受験中辛かったことは?

    推薦の試験日が12月15日で合格発表が2月13日、一般の試験日が2月25、26日だったので、合否がわからない状態で一般の勉強をするのがかなりつらかったです。受かっていて欲しいという願望と落ちているかもしれないという不安の狭間で悶々としてしまって、いまいち勉強に集中できていませんでした。

    その集中力のなさに自己嫌悪して負のスパイラルへ…。私ほど二次に手が付かない人はいないかもしれませんが、受験する上でそれなりの覚悟は必要だとも思います。


    ―合格した今、何が合格につながったと感じるか?

    一つ感じているのは、少なくとも法学部の推薦入試では「自分なりに考え、伝える力」というものが結構重視されているのだろうなということです。私は昔から一人でぼーっと考え込むのが好きで、探究活動での研究内容もそうだし、先述の志願理由書にも兼ねてから考えていたことを無理に背伸びすることなく正直に書きました。今考えると教科書的でないまあまあお行儀の悪いことを書いていたな…と思いますが、むしろそういう荒削りな考えに教授の皆さんは注目してくださったのかもしれません。

    再三にはなりますが、実際、二次選考での個別面接の際には志願理由書に書いたことについてかなり質問されました。またまた再三にはなりますが、この場でされた質問というのも「そんなん誰にもわかるわけないやん…」という掘り下げ方をされたり、かなり抽象的な問いを投げられたりして、瞬時に考えて自分なりに結論を出す力を試されているなと感じました。拾ってもらえた理由として思い当たるのはこの辺りです。

    あとは、合格者発表後の大学側の会見で、「受験者の卓越性・多様性・潜在性を見ているが、卓越性ばかりが取り上げられているように感じる」といった趣旨のことを大学の方が仰っていましたが、私はまさしく多様性と潜在性で受かったのだろうなと思います。

    卓越性で言えば〇〇オリンピック入賞者や〇〇大会金賞受賞者などが実際に推薦同期にいます。しかし、例えそういった華々しい成績はなくとも、「この人なら何かやってくれそうだ、うちに欲しい」というその『何か』を大学側に感じ取ってもらえたのではないかと今改めて感じていますし、私以外にも「そう思う」と話している推薦生の友人がいます。言語化しづらくて非常にもどかしいですが。そういえば担任の先生は、私が色んな意味でかなりぶっ飛んでいたので「こんな人が東大にひとりぐらいおった方が面白いよね」という観点で推薦書を作成したそうです。


    ―推薦入試のメリットは?

    実際に感じたこととしてはコネクションがかなり強くなるということです。先述の通り法学部はグループディスカッションなので入学前から同じ学部の友人ができますし、上下のつながりもあり、学部を超えた知り合いもたくさんできます。ただ仲良くなるということではなく、経歴豊かで向上心の高い人たちから情報と刺激を身近にもらいながら過ごせるのはとても恵まれた環境なのだなと日々感じています。


    推薦入試のデメリットは?

    これを書くかは非常に迷ったのですが、せっかくの機会なので書いてしまおうと思います。一般的にはやはり、教養学部での2年間を経て専門学部を決められるという東大の恩恵が少し薄れる点でしょうか。もし明確にやりたいことがないのであれば推薦入試を無理して受ける必要もないと思います。あとは、入学後「私はどうして推薦入試で合格したのだろうか?」と考えてしまうこともないではないということです。こんなこと考えても仕方ないんですがね…(笑)


    ―読んでいる方々へのメッセージを。

    可能性に溢れている皆さんには、先ほども書きましたが推薦入試を考えていてもいなくてもとにかくいろいろなことにチャレンジしてほしいと思います。その踏み出す一歩がいつか回り回って自分の強さになってくれる日が必ず来ます。私は出願の時、過去に模擬国連参加や英語の資格取得、短期留学などを足踏みしてしまったことをとても後悔しました。迷っていることは今すぐにでもやってしまいましょう。進路なんていつどう転ぶかわかりませんから。また、だからこそ、志望大学や憧れの大学が推薦入試をしていれば1年生のうちにその出願要件を調べておくことも重要だと思います。それぞれの大学、学部で出願要件は異なっているし、翌年も同じ出願要件でくるとは限らないから、情報収集は大事です。チャンスは増やせるだけ増やしていきましょう。

    そして、周りの人には常に感謝と尊敬を忘れないでください。私は受験を通して、家族はもちろん、私に受験を薦めてくださった担任の先生や数学科の先生、そしてたくさんの先生方、塾の先生方、探究類型のクラスメイトの人たちを含め友人たちに助けてもらい、応援していただき、合格までたどり着けました。決して当たり前のことではないですし、そうしていただけることへの心からの感謝は本当に忘れてはいけないと思います。そして、その当たり前の姿勢が気づかぬうちに回り回って自分への追い風になっているのではないかなというのが今の私の考えです。

    また、推薦入試はあくまで本線の入試ではないので、「受かるために準備して受かる」というよりは「何かしらやってきたらそれが評価されて受かる」入試であるということは忘れないでほしいなと思います。そういう意味では一般入試とはちょっと毛色が違います。だから、受かろう!と思わなくて大丈夫です。受かろうと思っているとおそらくどこかで背伸びしてしまう危険がありますし、それはとても勿体無いと思うので。やれるだけのことをやって、チャレンジできそうなら遠慮なくチャレンジしてみてください。受験しようかと足踏みしているそこの皆さん、応援しております!

  • 【合格体験記】工学部推薦入試

    【合格体験記】工学部推薦入試

    推薦体験記

    みなさんこんにちは。
    今回は、工学部推薦生(2020年度5期, 領域1)として受験体験記を書かせていただきます。
    少しでも推薦について知ってもらえたり、興味が湧いてくれたりしたら嬉しいです。


    1. 推薦入試という選択肢

    なぜ私が推薦入試という選択肢を考え始めたのか。一番最初の理由は至って単純で、東大に受かる可能性があるならチャンスは少しでも多い方がいいと思ったからです。その後きちんと仕組みや享受できるメリットを調べて、受験を本格的に考えるようになりました。(高3の夏頃から緩やかに推薦入試の準備を始めました。)

    具体的に私が惹かれたメリットは、
    1. 学部指定で入学できる
    2. 早期履修のしやすさ
    の2つです。

    通常、東大の入試は科類だけを決めて出願する方式で、後期過程(大学3年生以降)の進学学部は、成績も加味された上で希望に基づいて、後から決定されます。しかし、推薦生は進学選択には参加せず初めから学部が決定した状態で入学することができます。このメリットはまた後ほど述べたいと思います。

    もちろん、他の学生と同様に2年間は前期教養過程を過ごし、3年生から後期学部生になるという仕組みは変わりません。しかし、推薦生は前期教養過程に属して幅広い学びを受けつつ、希望すれば早くから後期過程の授業を受けることができるのです。元々前期教養過程に魅力を感じていたので、上記の2点は私にとっていいとこどりのメリットでした。

    条件に合うならば、推薦入試はとても魅力的な選択肢のひとつです。


    2. 向き合ったもの・考えたこと

    振り返ってみると、私にとっての推薦入試は「ただ大学に入るための入試」ではなかったように思います。準備期間は、ひたすらに自分と向き合って将来について悩み考える時間でもあり、だからこそ、結果がどうであれこの受験には意味があると思えるものでした。

    他の学部については詳しく知らないので言及しませんが、工学部では、1次審査で各種書類(志願理由書, 高校時代の活動報告書等)の提出、2次審査で約45分間の面接があります。私は学術系オリンピックへの出場経験がなかったため、研究活動や海外研修の成果を活動報告として提出しました。

    ここで難しかったことが、高校時代の活動と自分が将来やりたいこととの繋がりです。高校での研究は放射線関連の研究で、海外研修も多くはその内容に関連したものでしたが、私の興味分野はまちづくりや都市工学でした。自分の中できっかけや考えはあったものの、それを相手に伝わるように、軸を意識しながら自分の言葉にしなければいけなかったため、書類準備でも面接準備でも苦労しました。高校時代にやっていたことがそっくりそのまま将来に繋がる人は少ないと思うので、それよりもむしろ、経験を通して何を考えたり得たりしたのかということが大切だろうなと意識して進めました。

    きっとこの推薦入試を受けていなかったら、自分の高校時代の活動を深く振り返ることはなかったと思うし、将来もしくは大学でやりたいことにも真剣に向き合っていなかったと思います(勉強が忙しくなればなるほど、蔑ろにしてしまいますね) 。たくさんの先生方に協力していただいて、他者から見た自分の強みや評価を知ることができたのも良い経験だったと思います。今の私のために必要な経験でした。


    3. 面接当日

    まず形式的なことを紹介すると、工学部の二次審査は5人の教授対自分の面接(約45分間)です。志望する領域によっても変わってきますが、領域1を志望した私の場合は口頭試問等がなく、純粋に教授の方々との対話という感じでした。

    対話の中身としては、高校時代の話も今後の話も満遍なく聞かれたような印象で、自分が書類に書いたり面接の中で話したりした内容についてさらに深く掘り下げられた記憶があります。

    また、「あなたの理想を実現するためにはどのような技術が必要になると思うか, もしくは今の段階で考えている構想はあるか」など、かなり具体的な話を求められることが多かったと思います。面接練習で用意したような質問は殆どありませんでしたが、その場で思考をまとめて自分の言葉にするという経験として、練習は役立ったのではないかと思っています。

    正直、面接を受ける前までは45分ってなんて長いんだろうと思っていました。その他にも、圧迫面接だったら嫌だなとか自分の専門性の脆弱さを突かれたらどうしようとか、本当にいろいろな不安がありました。実際はそこまで心配することはなかったというのが結論です。時間に関しては、教授が5人もいらっしゃるので、それぞれの方から質問を受けていたらいつの間にか時間が過ぎているという感じでした。内容に関しては、面接というよりは対話です。これは自分が受験準備を進めている時にも同じようなことを言っている先輩がいらっしゃって、当時はなんのことか実感がわかなかったのですが、実際受けてみてすごく納得のいく表現だなと感じました。

    また、その道のプロである教授を5人も相手にしてお話ができるというのはある意味貴重な経験だったと思います。自分にはなかった思考の切り口から質問を投げかけられることもあり、全てに満足いく回答ができた訳ではありませんが、対話自体は想像よりも楽しかったです。(緊張はもちろんしていたので、面接中の自分の言動はそこまではっきり覚えていませんが)


    4. 入学後について

    メリットとして、1.学部指定で入学できる, 2.早期履修のしやすさ の2つを挙げましたが、これらについてもう少し触れておこうと思います。まず、学部指定で入学できるということですが、これは入学後の履修の自由度に影響があると感じています。一般入学生が乗り越えなければならない進学選択を経る必要がないため、そこまで点数を気にせず、興味に応じた履修が可能です(東大生の中でも勉強ができる人にとってはあまり関係ないかもしれませんね……)。

    例えば、私は世界史にも美術知識にも昏いですが、内容が面白そうだった、かつ美術観賞が好きという単純な理由で美術史の授業をとりました。受講生は文系の学生が多いですが、今までになかった分野の学びを得ることができてとても楽しいです。加えて、早期履修も可能なので、1,2年生のうちに工学部の授業をとって後期過程分の単位を得ることができます。私は、まだ活用できていないのでこれから工学部の授業を履修していく予定で、楽しみにしています 。他にも、アドバイザー教員として何人かに1人先生がついてくださるので、進路や履修の相談をしやすいというのもメリットとしてあるかもしれません。


    5. 推薦を考えている方へ

    ここまで書いてきたように、私は推薦入試を受けてよかったなと思っています。別に学術系オリンピックに出ていなくても、スーパー高校生じゃなくてもいいんです。打ち込んできたものや興味があるものに対して、考えや熱意を自分の言葉で伝えられることが強みになる、そんな入試方式だと思います。

    推薦に全力を注いで勉強を二の次にしてしまうのは良くありませんが、あくまでも選択肢の1つ・チャンスの1つとして挑戦する意義はあるのではないでしょうか。FairWindにも推薦生が何人か所属しているので、受験準備で疑問に思うことや不安に思うことがあればぜひ質問/相談してみてくださいね。応援しています。

  • 【合格体験記】理学部物理学科推薦入試

    【合格体験記】理学部物理学科推薦入試

    おことわり

    2019年度の推薦入試を受験したので入試の情報は現在と異なる場合があるかもしれません。
    また理学部物理学科での受験でした。他学科とはとくに面接の様子など異なる場合がありえます、以上を踏まえて読んでいただけると幸いです


    イントロダクション

    東大の推薦入試には早い段階で興味があり、そのための実績作りという意味もあって競技科学(数学オリンピックなどの通称)には何度か参加しました。運良く予選を突破し本選に出場する機会を得ましたが、その時に感じたことなどが地方出身者として皆さんの参考になるかもしれないと思い、書かせていただきます。

    本選では全国から出場者が集まるわけですが、競技科学の性質もあって、首都圏の進学校生がマジョリティを占めている印象があります。大学入学後にいろいろ見聞きするうちに、地方では進学校ですらそういったコンテストがあることを知らない人が多いということを感じさせられます。

    僕自身もコンテスト系の情報は自分で手に入れていきましたが、研究活動で実績を作ろうという頭が全くありませんでした。周囲に研究活動をする雰囲気もなく、全国規模の大きな発表の場があることなど知らず自力でなかなか形にできる自信がなかったからです。きちんと知ることが出来ていれば、コンテストよりは研究活動で高校生活を送りたかったと今になって後悔しています。

    貪欲に情報を集める努力が足りなかったという自分の反省もありますが、おそらく最初のとっかかりは何気なく目にしたポスターだったりと思います。その探してもないのにふと目につくポスター的な存在がどれだけ周りにあるかは、確実なことは言えませんが地方と首都圏では少し差がある気がしています

    このFairWindという団体では主に大学受験における地方高校生のディスアドバンテージに対して後押しをしています。ここからは主観が入りますが、推薦生風(?)の学び、すなわち理系を例にとれば競技科学や研究活動といった学びに関しても地方の高校生は不利であると思います。それは情報が手に入らない、という点や経験者が周りにいないので身近に感じられない、そもそも参加する雰囲気や土壌が育ちにくいという点で難しさがあるように思います。

    どうしても自力で情報をもぎ取ってくる努力や人脈を作る努力、あるいはSSHやSGHなど与えられた環境から得られる物を最大限に生かす努力が必要だと思います。僕自身もそういった視点から地方高校生を後押しできればと思っています。推薦入試を考えている皆さんもそうでない皆さんも頑張ってください。


    2次試験

    受験生1人に対し、試験官が大体9人の面接でした。ただし、そのうち喋ったのは自分の受験する学科に関係する人のみらしく、僕の場合司会の先生と物理学科の先生2人でした。他の6人はずっと見てました。せっかく同席されてるなら雑談でもして和みたかった。

    試験会場にはホワイトボードがあってそれを使って答えてもよいとされています。物理でも数式を解かせたりすることを想定して臨みましたが、実際には口頭で答えられる質問が多く、ボードは補助的に使うことを想定していたように思います。必死に書いて答えようとしすぎて調子が狂いました。

    まずは提出書類の内容に絡んで軽い質問、続いて学科専用の問題を解かされる、という形です。書類には物理以外にも生徒会のことなど書いたのですが一切触れられませんでした。他学部だと関係ないことも聞いてくれるみたいですが、理学部は理科のことしか質問されないようです。裏話で聞いたところによると時間内で解き終わらない問題を予備含めて用意しているそうです。また、答えに詰まると助け舟も出してくれるので完璧に解けずとも自分の得意な問題で精一杯アピールすればいいと思います。

    今になって思うと聞かれた質問は、普通に高校レベルではなかった気がします。競技科学をするなら基礎みたいな問題ではありましたが。


    理学部

    理学部の推薦入試はかなり成績重視といった雰囲気を受けます。理系だと大きく科学コンテスト系研究活動系(もちろんその両方も)の実績に分かれると思いますが、理学部の場合コンテスト系の推薦生が多い印象を受けます。

    個人的に推薦生の多様性がすごく好きなのですが、理学部に限って言えば有名進学校出身者が多い印象です。そもそもコンテストの世界大会出場者が何人かいます。他の競技科学での世界大会出場者も輩出している高校から来る受験生もいますが、校内選考を突破したと思うとこわいですね。とはいえ世界大会とまではいかずとも、コンテスト成績関連のそこそこの実力(国内大会本選での好成績とか本選+研究活動でも活躍とか程度?)があればほぼ確実に受かるといった感じでしょうか。他学部と理学部で出願を迷っている際には参考にしてください。勉強っぽい推薦入試が得意なら理学部をお勧めします。

    ただし実力が必要条件といったわけでもなく、研究活動もしっかり評価されているので、コンテスト上位者を横目に自分の研究してきたことをコアにアピールしていく作戦もありです。用意された問題は解けなくても、志望理由書にかいていれば研究についてはかならず聞かれるはずなのでそこで存分にアピールすればとってくれそうな気がします(多分)。


    コンテスト、研究活動

    当然のことながら推薦入試で受かるためにはそれなりの実績が必要です。地方に住んでいて一番辛いのは実績になるコンテスト、研究などの情報が乏しいことです。実際競技科学の大会は関東、関西の進学校の出場者でいっぱいです。東大に入学した後、そういったコンテストがあるのさえ知らなかったという声もよく聞かれます。

    とはいえ多くの推薦生が、推薦入試のために実績を作るというよりも、自分の興味のあるものをとことん詰めて行った結果推薦入試で戦える実績が出来た、という形が多いのでは無いでしょうか。まずは学校での勉強に止まらない広い学びを求めること、そしてそうした学びができる場、自分の興味を突き詰められる場をアンテナを高くはって求めること、こういった努力が入試に合格するだけでなく、大学入学以降にも生かせる強みになると思います。


    推薦入試と一般入試

    推薦入試だけではなく、多くの皆さんが一般入試を目指すかと思います。推薦入試の準備と同時に共通テストや一般入試の勉強もしなければならないというのは普通の受験生に比べると負担が大きいです。あまり具体的なアドバイスはできませんが、共倒れしないようにいかにバランスを取るかが重要なので、そこは先生にサポートをもらうことを念頭におくと良いでしょう。

    合格体験記的なことを言うと、推薦の2次が終わったらセンターや一般に専念しようと計画しており、実際直後にすぐ切替は出来ました。ただ合格発表の2、3日前は思ったより異様な興奮や不安でいっぱいになり、勉強どころではありませんでした。もし推薦で落ちていれば立ち直れずに受かるところにも受かれない状態だったかもしれません。精神状態をコントロールする難しさを痛感した数日間でした。


    推薦入試の魅力

    そもそも僕は受験勉強に逆張りした結果競技科学に手を出し、その感じのまま推薦入試での合格に魅力を感じていました。ある意味推薦で入ることに自分らしさを求めたのかもしれません。もちろんそれだけではなく、推薦入学で得られるメリットを生かして研究者になるという目標を少しでも引き寄せたいという思いもありました。実際に合格したあとは、アドバイザー教員に積極的に相談して研究室見学を3回ほどさせてもらったり、早期履修で授業を先取りし刺激をもらったりという利点を予定通り享受しました。

    一方で思わぬ副産物として、人脈が出来たことが挙げられます。他の推薦同期や先輩後輩と交流する機会がありますが、なんといっても一人一人とがっていていくらでも話を聞ける面白さがあります。バックグラウンドも出身地もバラバラで、おそらくそれが推薦入試で念頭に置かれている多様性という言葉で表されるのだと思いますが、そういった言葉をわざわざ使わなくても、ごちゃごちゃいろんな人が混じり合っている様子のワクワク感は今では推薦生として入学したことの一番の魅力だと思っています。

    そしてこれはメリットかつデメリットでもあるのですが、教養学部で勉強するとき、“逃げ” の理由ができてしまいます

    自分の弱さを暴露することになるので恥ずかしいですが試験勉強をしていて、思わず内定しているから単位さえ取れてしまえばいいや、という “逃げ” の気持ちが出てきます。同級生は進振りのために必死に勉強している横で内心ふわふわしていました。

    あまりにも進振りに翻弄されてわけもわからず勉強するのもそれはそれでどうかと思いますが、推薦だから適当になるのもまた問題ですね。むしろ推薦生なら “翻弄されない” だけで“サボっていい”わけではないので、結局そこは自分次第だと言えるかもしれません。

    ただこれはメリットと捉えることもできて、最悪単位さえ取ればいいので、いろいろなことに挑戦できるチャンスでもあります。必修の授業のいくつかは独学でなんとかなりそう、と思って理学部の授業にもぐってみたり、3年生以降は物理で忙しくなるだろうから、バイトを楽しむ最後のチャンスってことで週末は飲食店で調理バイトしたりと他の東大生があまりしていないかもしれない体験にも挑戦できたのは個人的には満足できた部分です。


    まとめ

    きっと個人差はあるとは思いますが、推薦入試に挑戦する価値は計り知れないと思います。そしていわゆる受験勉強の枠組みを外れたフィールドでの学びにも積極的に参加することを僕からは大いにおすすめしたいと思うところです。ぜひ柔軟な視点で様々な世界を見てみてほしいと願っています。高校生活をたのしんでください。