タグ: 地理

  • 【東大生が語る】日本史地理選択のすゝめ

    【東大生が語る】日本史地理選択のすゝめ

    はじめに

    東大を文系で受験する人は全員、日本史・世界史・地理の中から二科目を選んで受験することになりますが、その組み合わせの中で圧倒的に選ばれにくい組み合わせがあります。

    そう、日本史地理選択です。

    なんだか日本史地理選択って、不利なイメージがあったりして選びにくいですよね……。
    実際、日本史地理選択で受験した筆者もその不利な面を実感しました……。

    でも、日本史地理選択ならではのメリットも存在するのでは?

    そんな思いから今回は、筆者の経験を踏まえて日本史地理のイメージについて率直に、赤裸々に書いてみようと思います!

    記事の性質上、筆者の主観が多分に含まれてしまうことにはご注意ください!

    日本史地理選択の不利な面

    まず初めに、日本史地理選択が他の選択に比べて不利だなと思う点についていくつか紹介します。

    1. 日本史と地理の間に内容面の重複が少ない

    最初にして最大の難点だと思う点を挙げました。

    日本史は人類が誕生してからの、古代から現代について扱うのに対し、地理は地形のでき方といった人類が誕生するはるか前のことか、産業・貿易といったより現代的なものを扱うため、二者の間で扱う時代の重複が小さくなっています。

    これにより学ぶ内容にも重複が生じづらくなってしまっています。

    日本史と地理の間に内容面の重複が小さいことを見てきましたが、他の科目の間ではどうなのでしょうか。

    まずは日本史と世界史についてです。

    これは言わずもがなですね。どちらも「歴史」について扱う科目ですから、ほとんど同じ時代について扱いますし、内容面にも重複が出て、一方の理解が他方の理解を助けてくれる印象です。

    それでは世界史と地理についてはどうでしょうか。
    ここでは具体的な問題を例に挙げて説明していこうと思います。

    2022年の東大地理では、18世紀から19世紀の船の航路にまつわる問題が出ました。この問題を解く上で「季節風貿易」などに関する知識があるとだいぶ考えやすいのですが、この知識は世界史で習うものなのです!

    日本史地理選択だとこの問題を合理的に推論して解くことを求められます。世界史地理選択であれば知識から解けるのに……。結構辛いですね。

    2. 日本史地理を選択する人が少ない分、情報量が少ない

    次に挙げる点も多くの高校生がぶつかる壁なのではないでしょうか。

    筆者も実際東大にいてみて、日本史地理選択の人に出会う機会は滅多にないです。
    自分がいるクラスには30人ほどいるのですが、その内日本史地理選択は2、3人ほど。割合にしてわずか1割ほどです!(もちろんこれが全体の割合なわけではないのですが。)

    このことは日本史地理選択での合格体験談の数の少なさに直結します。それはつまり、受験勉強における戦略面で参考にできる情報量が少ないことを意味しますね。科目バランス、目標点数、試験当日の試験時間を日本史と地理でどう振り分けるのかなど……。

    これら戦略面の情報が少ないと、自分の試行錯誤で頑張らなければいけない部分が大きくなってしまい、最短経路で受験勉強を進めることが難しいです。

    「巨人の肩の上に立つ」と言うように、先輩たちの経験を上手く利用することは勉強において大切ですし、そもそも経験の蓄積が他の選択肢に比べ少ないことは見逃せないデメリットと言えそうです。

    日本史地理選択にはこんなメリットがある!!!

    ここまで日本史地理選択のデメリットばかり並べて、ネガキャンのようになってしまっていますが、日本史地理選択は悪いところばかりではありません! ここからは日本史地理選択のメリットと言える点を紹介していきます。

    1. そもそもの内容自体は軽い

    日本史地理選択であれば、受験科目として世界史を学習する必要がありません。
    学校の必修で日本史と世界史を習っている人はなんとなく感じているかもしれませんが、一般に日本史よりも世界史の方が暗記量は多いとされています。

    実際、世界全体のことを扱う世界史より、日本中心に扱う日本史の方が覚えることが少なさそう、ということは直感的にも感じることではないでしょうか。

    さらに言うと、世界史は同時代における複数地域で起こったこととその関連を見なければならないため、時間軸に加え地域軸も意識する必要があり、いわゆる「縦軸と横軸」の両方を考えることの難しさがあります。

    一方日本史は横軸を意識する必要が小さく、縦軸中心に勉強していけば良いというところがあるため、世界史よりも勉強しやすいと言えるでしょう。

    加えて高校日本史は中学で学ぶ内容の延長線にあるため、その内容を高校での学びに活かしていける点は取り組みやすい要因にもなると思います。

    2. 頭の使い方が似ている

    次に、日本史と地理は問題のタイプが近く、タイトルの通り問題を解くときの頭の使い方が近いため、一方の勉強が他方にも活きるという利点を紹介していきます。以下、各教科ごとに詳しく説明していきます。

    まずは地理について。地理はおそらく皆さんが思っている通り、地図や図表を読み解いて論理的に推論する能力が求められます。

    上で言う能力がどういったものか例を挙げて説明します。

    まず、ある年にある変化が起こったとしましょう。地理ではまず、その変化をグラフから読み取る能力が求められます。次に、その変化がなぜ起こったのか、原因となる出来事・それを引き起こす背景などを考える必要があります。


    以上が「読み解く」と「論理的に推論する」の例となります。

    次に日本史について。日本史は地理とは違い、上のような読解などが求められる場面は少ないと思われがちなのではないでしょうか。しかしそれは大きな間違いです。

    実は日本史でも図表やグラフ、絵などを読み解いて思考し答えを導く問題は数多く存在するのです。これについては言葉で説明するより、近年の共通テストを見ればすぐに理解できることでしょう。

    ここまで地理と日本史の問題の特徴を見ていきましたが、これらは個別の特徴というよりそれより大局的な、問題に取り組む際の姿勢を現した特徴と言えるでしょう。そのため、地理で学んだ読解力が日本史に活きる、といったように相乗効果を期待できるのです。

    3. 内容の重複が少ない分、幅広く学べる!?

    最後に、筆者の友人でこのような考え方をする方がいたので、余談として紹介します。

    確かに科目間で内容に重複があれば、その内容について深い理解ができたりして有利と言えるでしょうが、一方学べる範囲が狭まってしまう可能性を秘めていると言えるのではないでしょうか。

    日本史地理選択だと、重複が少ない分扱える内容そのものは増えるので、今後の生活で自分の琴線に触れるものが増えるということがメリットと言えると筆者は考えます。

    「狭く深く」か「浅く広く」か、自分のタイプに合わせて考えられると良いと思います!

    筆者の体験談

    ここからは体験談として、筆者が日本史地理選択でどんな壁にぶつかったか、その壁をどう乗り越えたのかについて話していこうと思います。

    少しでもみなさんを勇気づける内容になっていれば幸いです。

    筆者がぶつかった壁

    ではまず、筆者がぶつかった壁についていくつか紹介します!

    一つ目の壁は、試験本番、考えて解く問題が多いことです。

    東大の社会は2科目一気に150分で行うのが特徴的ですが、そう聞くだけでも疲れますよね。

    それに加えて日本史地理だと、世界史の一問一答のような暗記寄りな問題が少ないため、150分ほとんど考えっぱなしになってしまいます。これは想像以上にきついです……。

    僕の場合日本史→地理の順番で解いていたのですが、地理の大問3つのうち最後の一つはいつも頭が回らず、直感で適当に解答するという具合でした。

    当然そのような状態で解いても出来が良い訳が無く、その最後の大問が社会の中で一番出来が悪いというのが定番となっていました。

    タチが悪いことに、その最後の大問を解き直すといつも、「なんでこんなことに気づかなかったんだ」「最初に解いてたら楽勝だったのに!!」と思う始末でした。似たような経験をしたことのある人はみなさんの中にも多いのではないでしょうか。

    それに加えて、考えるところが多いということは確実に正答できたなと思える部分が小さいということでもあります。

    推論を基に出した答えは、どんなに自信があったとしても全く的外れということは往々にしてあります。これは皆さんも数学などで経験したことがあるのではないでしょうか。

    このような経験が災いして、最低限これくらいは得点できただろうという部分が小さくなってしまうがために、試験時間中に安心できることが少ないのです。

    これは意外に辛いものです。共通テストの日本史(世界史)が全部古文の資料問題だったらと想像してみてください。おそらく、自分の読みが合っているのか不安になり、従来の問題より大幅に時間がかかることが容易に想像できるのではないでしょうか。

    考えて解く問題が多いことは、知識が無くても解けるかもしれないというメリットと同じかそれ以上に、上に挙げたデメリットが存在すると感じました。

    二つ目の壁は、地理で出てくる、世界史に寄ったような問題がなかなか解けないことです。

    これは日本史地理選択の不利な面を紹介する際に触れたので、ここでは割愛しますね!

    三つ目の壁は、日本史地理選択が不利であるというのを必要以上に考えすぎてしまい、自分の成績が悪い理由を科目選択のせいにしてしまったことです。

    特に現役の時は、「日本史地理じゃ成績が伸びる訳ないんだ!」と完全に投げ出してしまい、社会の勉強から逃げた時期がありました。もちろん、それによって成績は上がる訳がなく、悪循環に陥る一方でした。

    壁をどう乗り越えたか

    上の記述を踏まえて、筆者が上に書いた壁をどう乗り越えたかについて紹介しようと思います。

    一つ目の壁、考えて解く問題が多いということへの僕の対処法は、「慣れ」と「パターン化」という二つのキーワードに集約されます。

    「慣れ」については言葉通りですね。
    単純に問題を解く体力が付いたというのもありますし、問題を解いていく順番などが固まってきてどこか「ルーティン化」が進んでくるとかなり楽になりました。

    「パターン化」については問題を解く能力とも関連があることかもしれません。
    考える問題にも「型」があって、その「型」をある程度パターンとして持てるようになると解くのも早くなるし、解答への自信も増すようになりました。

    例えば日本史において、抽象的な史料が与えられたらどんな具体的な事象と結びつくのか

    考えたり、逆に具体的な事象が与えられたら抽象的にどんな意味があるのか考えるといったことですね。

    演習を積んでいくうちに、これが自然にできるようになるとかなり楽になったなと思います。

    つまり、日本史地理選択だとしても何か特別なことが必要な訳ではなく、他の教科と同じように地道に演習を積んでいくことが大切だった、ということですね。

    二つ目の壁、世界史チックな問題が解けないことへの僕の対処法は、最低限、頻出な世界史の知識だけは必ず押さえる、というものでした。

    世界史要素と言われても世界史の全ての分野が問われるわけではありません。むしろ問われる部分は小さいと言えるでしょう。
    過去問で繰り返し問われる分野をしっかり押さえれば、意外と世界史要素の問題でも解けるんだな、と気づけるはずです。

    そこから外れる問題は諦めましょう。他の問題を解ければ十分合格点は取れるんだよ、ということを意識することが大切でした。人生、何事も諦めが肝心ですね。

    三つ目の壁、日本史地理選択自体を言い訳にしてしまうことについては、次のように考えるようにして割り切るようにしました。

    まず、日本史地理という選択肢を取ったのは紛れもない自分自身です。その責任はもちろん他の誰かが取ってくれるものではないですよね。

    また受験勉強において、選択科目を選ぶまでの時間より、選んでから実際に学んでいく時間の方が圧倒的に長くて重要です。その重要な時間を、うだうだと過去の選択への後悔に使うのは明らかにもったいないですよね。

    「選択の質ではなくその後の行動の質を上げる」という考えができるようになってからは、受験勉強も割り切って進められるようになりました。

    ちなみにこの考え方は受験勉強一般に通用するものだと思います。
    多くの場合、選択をした直後というのは物事の全体が見えておらず、見えている一部を切り取って価値判断を下してしまうものですが、その価値判断が後になって覆ることは往々にしてあるものではないでしょうか。

    このことから言えることは、「やってみなくちゃわからない」ということです。当たり前すぎますか? でも、切羽詰まっているとこういう当たり前のことも見失ってしまうものです。

    今まで書いてきた三つの壁への対処法を振り返ってみると、どれもすぐに思いつく当たり前のことだったと思います。
    「当たり前のことを当たり前にやる」ことが大切ということですね。

    おわりに

    今回の記事を通じて、日本史地理についてイメージが膨らみましたか?

    日本史地理を選ぶに至らずとも、皆さんの選択肢の一つに日本史地理が加われば嬉しいです!

    また上でも示唆したように、選んだ選択肢を正解だと言えるよう動くことは正解の選択肢を選ぶこと以上に大切だと考えます。考え抜いた上で選んだ選択肢をやり切ることも大事にしてくださいね!

  • 【メルマガ試し読み】地理の勉強法

    【メルマガ試し読み】地理の勉強法

    過去に配信されたメールマガジンの記事になります。東大生の生の声が綴られています。お楽しみください!
    (なお、執筆者の科類や学年は執筆時点でのものとなります。)


    皆さんこんにちは!文科二類1年のN.Kと申します。今回は、「地理の勉強法」というテーマでお話しようと思います。

    地理選択で地理の勉強法を知りたいという方はもちろん、

    社会の選択で地理を取ろうか悩んでいる方などもぜひ目を通してみてください!

    最初に、私がなぜ地理を選択したかという話をします。

    私の高校では、文系は世界史が必修で、その他に地理か日本史を選ぶことができるというシステムになっていました。

    地理を選択したのは、私自身とても旅行が好きで世界のあらゆるところについてもっと知りたい!と思っていたからです。

    地理を勉強していくにつれてその思いはますます強くなり、高校3年生のときからは『地球の歩き方』シリーズのガイドブックを買って読み、

    「あ、これ地理でやったとこじゃん!」と思いながら脳内旅行をするということを趣味にしています(笑)。

    もし地理が嫌いでしょうがないという人がいたら、何か楽しめる要素を見つけてみるということをお勧めします。

    普段使っている地図帳をじっくり眺めてみるだけでも、意外な発見があるはずです。

    (例えば、フランスの飛び地、いわゆる海外県は世界中にたくさんあります。お手持ちの地図帳で探してみてください。)

    私の地理愛について語ってしまいましたが、そろそろ本題の勉強法についての話題に移ろうと思います。

    まず、高校地理というのは大きく二つの分野に分けることができます。

    ①系統地理と②地誌です。

    ①の系統地理というのは大抵教科書の前半に載っている内容で、

    「地形」「気候」などの「自然地理」と「集落」「産業」などの「人文地理」に大別されます。

    系統地理は地理を学ぶための基礎的な知識が多いので、しっかりと固めておく必要があると思います。

    系統地理を制したものが受験地理を制すと言っても過言ではありません。

    共通テストでも地理全体の約7割といったウエイトを占めています。

    一方、②の地誌では①で学んだことが世界の具体的な場所でどう展開されているかを見ていきます。

    ①で学んだ原則を②で個々のシチュエーションに当てはめていく、と言った具合です。

    地理の全体的な学習の指針としては、まず系統地理の内容を頭に入れ、

    ある程度定着したら地誌に取り掛かる、というのがスタンダードかつ効率的な方法であると思います。

    定着の仕方は人それぞれだと思いますが、インプットだけでなくアウトプットも同時に行うとより効果的です。

    また、地図帳とはお友達になってください。

    特に地誌の勉強ではそうですが、問題に出てきた地名や地域は地図帳で確認するという習慣をつけておくといいと思います。

    ここまでは地理選択の方全員に向けた勉強法をお伝えしましたが、

    ここからは(特に国公立の)二次試験で地理を使う可能性がある方に向けて話をしようと思います。

    皆さんの中には、「歴史に比べて暗記量が少ないから」という理由で地理を選択した人がいるかもしれません。実際その通りだと思います。

    しかし、(特に国公立の)二次試験の地理では単純な知識を問う問題が少ない代わりに、知識を活用して問題に取り組むということが要求されます。

    ですから、資料やデータを読み取って分析する力や、様々な知識を融合して考える力が必要になります。

    系統地理と地誌の知識がある程度頭に入ったら、

    論述対策の参考書か大学の過去問に取り組んでみて、知識を応用して答えを作り出すプロセスに慣れていくのがいいと思います。

    過去問に関してですが、地理という科目はその性質上社会の変化によって内容が変わるので、そこまで遡って解く必要はないでしょう。

    その代わり、時事的内容が問われる大学も少なくありませんので日々の社会の流れに敏感になっておくことをお勧めします。

    最近のトレンドで言うと、環境問題や災害系が狙われがちです。

    時間のある方は、『東大のクールな地理 10年後の日本と世界を知る(伊藤彰芳)』という新書を読んでみると、

    最近の社会の流れと東大地理の問題の変遷がわかって面白いのでお勧めです。

    長々と書いてしまいましたが、ここで私が紹介した勉強法が全てではありませんので、

    他の人の勉強法も参考にしながら自分にあった勉強法を探してみてください!

    応援しています。ありがとうございました!



    こちらの記事はお楽しみいただけましたか? もっと読みたい方は、ぜひメールマガジンにご登録ください!

  • 【東大生が教える】地理の勉強法

    【東大生が教える】地理の勉強法

    はじめに

    受験科目としての地理に、皆さんはどのような印象を持っているでしょうか。

    つかみどころの無い用語が出てきたり、淡々と固有名詞を覚えていったり、「こんなの知らないよ!」と舌打ちしてしまうような資料が出題されたりして、ネガティブな印象を抱く人も少なくないかもしれません。

    しかし、受験地理は、少ない労力で大きな点数をもぎ取れる可能性を秘め、更に教養も深められるお得な教科であると僕は考えています。

    そこでこの記事では、そんな地理の魅力と、実際の勉強法を紹介していきます。

    地理の魅力

    まず、地理は覚えなければいけないことばがとても少ないです。恥ずかしい話ですが、僕は今でも都道府県の位置を全部覚えていません。自信を持って言えるのは半分くらい。受験生時代、名古屋県とか平気で言ってしまっていました。(それが常識的にどうなのか、ということはここでは置いておきます。)

    ところが、そんな僕でも地理でアドバンテージをとれていましたなぜでしょうか?

    それは、受験地理において必要なのは、たくさんことばや理論を知っていることではなく、「基本的な理解をもとに、その場で応用する」ことだからです。これは東大などの論述式試験に限った話ではなく、センター試験でも通用する話です。

    もちろん、もっと高度な知識(といっても教科書や資料集にあるものが大半である)を求められる問題もあります。しかし、地理は「その場で考えて、自分なりの解答をなんとかひねり出す」ことで点数に結びつく問題がとても多いです。逆に言えば、知識があるだけでは答えられない問題が出題されます。つまり、地理は暗記科目ではないのです。

    地理の勉強法

    0. 概観

    以下、受験地理の勉強法を紹介していきますが、地理で9割を超えるようないわゆる「高得点」を安定して取るのはまず困難です。どんなに得意な人でも知らない・わからない問題は発生してしまいます。目標とするところは「ちょっと得意」くらいにした方が無難でしょう。

    地理は、ある程度まではすぐに点を取れるようになりますが、その上を目指すことが非常に大変な教科です。センター試験・共通テストでいえば、6割くらいまでは基礎を学び問題に慣れれば到達します。個人差は大いにありますが、学校の授業+1日1時間勉強×3ヶ月くらいで取れるようになるでしょう。

    しかし、他教科との兼ね合いや志望校が要求する水準との関係もありますが、センター試験・共通テストの目標点は高くても85点くらいにして、高望みし過ぎない方がいいです。マニアックな問題まで取りこぼさないようにしてしまうと、ドツボに嵌りかねません。標準的・頻出の問題を拾いきれば大丈夫です。最小の努力で最大の結果を得ることを目指しましょう。(「自分は受験地理が得意だ!!」と思った人はさらに高みを目指してください!ただし、他の教科を疎かにしてはいけません。受験はあくまでも総合点勝負であることを忘れずに。)

    では、具体的に勉強法を紹介していきます。とはいえ細かい部分になると、結局は個人の弱点などに依るので、この記事では勉強する上での大きな柱を挙げます。

    1. 大→小の順で学ぶ

    ここでの「大」は、「自然」と「産業」のこと、つまり基礎を指します。これらの盤石な理解を足場として、様々な方向へ推測の架け橋を架けられます。その中でも「気候」「資源」は非常に大事です。センター試験には必ずこの分野からの出題が複数ありました。地理界のアダムとイブといえるでしょう。これらを学ぶ時、なぜ?どうして?を大切にしてください。

    例えば、ロシア東部・シベリアは同緯度の地域と比べて卓越して寒いです。これをただそういうものだとして覚えるのではなく、原理から理解しましょう。そうすることで、ロシアの場合以外の場合にも応用できるようになるのです。

    こうした基礎を自分のものとした後に、地域ごとの情報をインプットすると頭に入ってきやすいです。もちろん、並行して学ぶのもありです。

    根本原理を理解する時には、教科書や資料集以外からも多種多様な情報を集めて、妥協せずに完全に納得することが近道です。また、日常生活に関係することから出題されることもよくあります。常にアンテナを広く伸ばし、日常からも学ぶことができるといいですね。(覚える、暗記する必要性は小さいです。覚えるべきことは、問題に遭遇した時に、その問題を解きながら吸収していきましょう。)

    2. 地図帳を愛でる

    地図帳の最後の方にカラフルな地図が何種類もついていますよね。ここが地図帳の一番役に立つ部分です。少々乱暴なことを言えば、このあたりのページを見ながら問題を解くと、マーク式問題の半分くらいは正解できると思います。気候や標高、災害、資源分布等の多角的なデータを、目で見て身体に染み付けましょう。暇な時は地図帳を見ること!

    学習したての時は、「あー、見たことあるけど、なんだっけ……。」ということが多発すると思います。それでもめげずに、その度に地図帳を繰って、補強を重ねていきましょう。そう簡単に会得できるものではありませんが、是非マスターして武器にしてほしいです。さらに、自分なりに大切だと思うことがあればどんどん書き込んだり付箋をつけたりして、自分だけの地図帳を紡ぎましょう!

    3. 問題に多く触れる

    結局これが一番大事なことです。他の教科にも通じる話ですが、問題を解けるようになるためには、たくさん問題を解かなければなりません。知識を得ただけでは点に結びつかないのです。楽譜を覚えても演奏できないのと同じ。知識が完璧でないからといって問題に挑戦しないのは愚かなことですし、そもそも完璧な知識なんて誰も持っていません。足場がぐらついている段階でも、どんどん問題に挑戦しましょう。何が自分に足りていないのかが見えてくるし、案外もう通用するフェイズに進行しているかもしれませんよ。

    足場が固まった(標準的なことを理解した)後は、橋を架ける技術を磨いて(得点をもぎ取りに)いくことになります。ゴール地点がマーク式の問題を解くことならマーク式の問題集や過去問を、記述も必要ならその大学の過去問を真剣に考え抜いて徹底的に解き、解説を読み込み、読み込み(大事なことなので2回言いました)、問題の全てを自分のことばで解説できるようにして、己の血肉としましょう。

    そして少し時間を空けてからの解き直しを忘れずに。1週間経ってから解き直してもスラスラ解けるようなら、身についた証拠です。解説を読み込んだ後に、問題に対する理解度に応じて自分なりの記号をつけておけば、解き直しの際の時間短縮につながります。何も見ないで全選択肢・問題について正解・不正解の理由を説明できるようになれば完璧です。

    これらの作業を丁寧にこなしていきましょう。地理で合格点を取るためにセンスなんてものはあまり関係なく、成績が上がらないはずがありません。(実際にこの大変な解き直しループを完遂できる人は残念ながら少ないと思いますが……。)他の問題集をやって寄り道している時間はありません。狡猾に、効率的に点数を稼ぐことを目指しましょう。私たちに残された時間は多くありません!

    おわりに

    以上、高校地理について、僕の経験に基づき、ある意味偏見にまみれながら書かせていただきました。

    これは地理に限った話ではありませんが、「情報を鵜呑みにしない」ことがこれからの世界では大切になってきます。当然、僕のこの話も含めて。最後の選択をするのは自分であるべきです。世間に溢れかえっている情報を取捨選択して、自分にとって最善の選択ができるよう頑張ってください!

    最後までお読みいただき、ありがとうございました。

  • 【地理編】東大生が勧める参考書や問題集、勉強法

    【地理編】東大生が勧める参考書や問題集、勉強法

    2人の東大生がおすすめの参考書や問題集、勉強法を紹介します。参考書についてはその名前と、東大生によるおすすめの使い方や長所の説明を掲載しています。ぜひ参考にしてみてください。

    基礎をしっかり固めよう

    僕は現役時代予備校にも通っていましたが、地理に関してはほとんど学校の授業のみで勉強していました。そのため、僕の学校の授業スタイルを参考に勉強法を伝えたいと思います。

    3年に入るまでは基本的に地理的思考力や知識の定着を図ることが求められていました。特に系統地理では思考力、地誌分野では系統地理で身につけた思考力を使いつつ知識を詰めこむことが重視されていました。
    地理的思考力とは、簡単な例を挙げれば風上側の湿った空気は山脈を越える間に降水することで水分を失うため風下側では乾燥した気候になる、といったことを考える力のことです。この理屈も暗記のような気もしますが、それを考えることが重要になってきます。なぜならば未知の問題に出会ったときに答えまで辿り着けるような思考力を身に着けられるからです。

    しかし、上記のような理屈を考えると同時に、それを暗記することも必要です。山脈の風下側が乾燥することや、アスワンハイダム建設に伴う問題、エルニーニョ現象に伴うアンチョビの漁獲量減少などは受験地理における頻出問題で、一から理屈を考えるより暗記してしまった方が早いことがあるからです。とはいっても数学の公式と同じように、理解した方が暗記も捗るので一度は理解してから覚えるようにしましょう。

    また地理では以上に述べたような理屈の他に、各地域の主要な産業や特産物や地名、用語なども覚えなければならない場面があります。各地域の産業や特産物は各地域にその分野が強い理屈があるので、その理屈と一緒に覚えると暗記が捗ると思います。地名と用語に関してはもろに暗記です。地名に関しては、僕は学校の机に世界地図を落書きして授業や問題で出た地名をその地図に書き入れるなどして勉強していました。

    さて、具体的な勉強方法ですがセンター型模試、センター過去問を徹底するのは結構有効です。センター型の問題は確かに選択問題ですが、その答えに至るには理由があるはずです。この理由を常に考えて問題を解いていけば地理的思考力を身に付けられます。また、その答えに至るまでの理由が論述問題で聞かれるポイントとなっています。東大の問題だと2,3行で論述せよ、という問題が出るので、センターの問題を解くときに答えを選んだ理由を2,3行程度でまとめる練習をすると良いかもしれません。また、模試問や過去問の数をこなせば頻出問題がわかってくるという点でも有用です。このセンターを利用した勉強で基盤を作れば、二次試験の過去問にも対応できる力がついていくはずです。東大模試が始まる時期になれば、センター型模試を使った勉強と並行して論述式の模試、過去問で出た問題の暗記も進めましょう。インプットと同時にアウトプットの訓練も大切です。
    (文一 1年)

    効率的なインプットを

    地理の二次試験の得点とセンター地理の得点は統計的に相関があると言われています。両方とも基礎を徹底的に問うているからです。ただ出題意図が似ているからといって二次の勉強を怠っても良いかというと、そうではありません。論述の勉強も別途必要となります。ただ、勉強の主軸はセンター試験レベルの基礎知識の習得にあります。以下は基礎知識をいかに学んでいくのか(インプット)に焦点を置いて話していきたいと思います。

    まず地理を学ぶ上で必ず必要なのは地図帳データブックです。前者は地理的な感覚を養うだけでなく、等温線や海流などの基本的情報を与えてくれます。また地理では客観性を持たせるために多くのデータが必要となり大学入試でも問われるため、後者も必需品です。基本的には学校の授業で大丈夫なのが地理の特徴ですが、もっと体系的に学びたい人は次の参考書を自習のためにお役立てください。

    一つ目は『センター試験対応地理ノート』です。先述の通り問われているのは基本的にセンター試験レベルの知識ですから、この1冊で十分カバーできます。穴埋め方式でグラフや表の客観問題にも対応できるようになっています。安くて薄いのでお役立ちです。ただ解いて終わりにはしないで自分で説明できるレベルまで仕上げれば文句なしです。地理は特に多くの頻出問題が出てきますので、教科書や参考書に書かれている定番の論点は押さえましょう。
    もう1冊紹介すると『村瀬の地理Bをはじめからていねいに』です。この参考書は知識のインプットのために理解を促してくれます。なんでそうなるのか。今まで謎だった地理的事象もこの一冊で解消されるのではないでしょうか。
    (文一 1年)

    (記事執筆:2016.3.15)