カテゴリー: 合格体験記

  • 【合格体験記】東大推薦入試一問一答【法学部】

    【合格体験記】東大推薦入試一問一答【法学部】

    〜はじめに〜

    私は、ご縁をいただいて2019年度の東京大学法学部の推薦入学生となりました。東大の推薦入試については既にメディアなどで様々に語られ、またそこで恐ろしくハイスペックな合格者が紹介され、漠然と「ヤバそう」なんて思っている人が多いだろうと思います。でも、それは所詮マスコミ映えです。私は別にそんなんじゃないです。この話題に興味がある人もない人もまずは軽く読んでいただき、「実際こんな感じなんやなー」と知っていただけたら此れ幸いですし、もし東大の推薦入試に興味を持っていただけたなら本望です。


    名前、出身地、出身高校は?

    荻原薫、兵庫県神戸市、兵庫県立長田高校(人文数理探究類型)


    人文数理探究類型って何?

    普通科内に併設されていた学年に一クラスの特色コースで、通常の教育課程に加えて「探究」という研究もどきをやるクラスです。唯一3年間クラス替えがなく、文理混合でした。このクラスに入っていなければ推薦入試を受けることは100%なかったと思います。


    推薦入試を受けようと思ったきっかけは?

    元々東大を一般で受けるつもりでしたが、3年の10月1日に担任の先生から「チャレンジしてみないか」と打診していただいたのが推薦を視野に入れはじめたきっかけです。ちなみに出願開始が11月1日だったので、今考えても恐ろしくギリギリのタイミングでした。


    なぜ打診があった?

    その先生曰く、私が出願要件をいい感じに満たしていてかつ法学部の倍率がそこまで高くなかったからだそうです。


    「法学部」とのことだが、東大は入学時には学部が決まらないシステムでは?

    一般入試はそうですが、推薦入試の場合は学部で入試が分かれていて、3年次以降必ずその学部に進むので出願時に学部を決める必要があります。これはメリットでもありデメリットでもあるので気になる方はGoogleへGO!


    なぜ法学部に?

    もともとは弁護士になりたくて漠然と法学部を目指していましたが、高校の3年間で政治分野への興味が増したことで明確に法学部に決めました。


    出願要件は?

    ①成績が学年で5%以内

    ②問題発見&設定能力を持つ

    ③問題解決に向けてイニシアチブを発揮できる

    ④異文化交流能力を持つ 

    大学側はこの要件を満たすことを証明する資料として、例えば研究論文や留学経験、TOEFL・英検・IELTSなどの検定資格を例示していましたが、これらはあくまで例示であって、満たしている事がわかればいいとしていました。私は上記のようなストレートに書ける資料がなかったのですが、探究や部活動、学校行事でのことで代用しました


    具体的に何を資料として出したのか?

    ②と③について。先ほども少しだけ触れましたが、私は高校時代、探究類型で三年間「探究」という研究活動を行なっていました。具体的な研究内容としては、「阪神淡路大震災発生時における神戸の在日外国人(特に在日ベトナム人)の置かれた状況、日本人との軋轢、そしてその原因について調査・考察し、そこから得られる教訓を元に未来の在日外国人との協力を見据えた災害対策を考える」ということをしていました。この探究がきっかけとなってSGH甲子園という大会にも出場しました。(推薦の書類には書かなかったのですが、この研究が縁となって神戸大学の教授にお誘いをいただき学会へ出させていただいたりもしました。)これについてまとめたポスター、プレゼン資料が②と③への主なアピールポイントとなりました。

    読んでいただいて薄々気づかれたとは思いますが、法学部に出願したくせに全く活動内容が法学・政治学系にかすってませんでした。でも、法学部としてはそれについては全く問題なかったようです。募集要項にも、法学・政治学系である必要はないと明記されていました。

    また、演劇部で部長を務めていた事、校内の音楽コンクールで3年間クラスのコーラスリーダーを務めた事(実際リーダーのあり方をかなり考えることができて人間的に成長しました)も推薦書に書いていただき、「勉強だけしていたわけじゃないですよ〜」というアピールをしました。

    私にとっての問題は④でした。大学側はこの要件を満たすことを証明する資料として、例えば留学経験、TOEFL・英検・IELTSなどの検定資格を例示していました。しかし、私は英語に関する資格を全く持っておらずかなり焦りました。学校の先生と相談して、なんとか高校在学中に参加した英語での短期交流プログラムの参加証明書、そして上記の探究活動の中での外国人や様々な立場の人との交流実績を資料として提出しました。

    大学側はあくまで例示であって満たしている事がわかればいいとしていたのでこのようにして乗り切りましたが、おとなしく英語系の活動に力を入れておけばよかった…とは今でも思います。

    こう見るとほぼほぼ高校の活動で要件を満たしていたんだなあと改めて感じます。本当にいろんなことをさせてもらった3年間でした。学内活動は割と疎かにしがちな人もいると思いますが、何事も人生経験だと思って挑んだ方が後々自分の役に立ちます。ただ、推薦の同期の友人たちは自主的に様々な研究をしていたり、留学やプロジェクトへ参加するなど学内に限らず様々な活動をしていました。


    他の提出物は?

    志願理由書として、「①現代社会の中で重要だと思う問題は何か。」「②その問題について将来どのように取り組もうと思っているのか。」「③その他入学後にやりたいことは何か。」の三つのお題に対して合計3000字程の小論文を提出しました。

    ①については主に長らく興味を持っていた国民国家が抱える問題について書きました。私の要領が非常に悪く、担任の先生には締め切り間際の時期、しかもよりによって遠足の前日に夜11時まで学校に残ってつきっきりで添削をしていただきました。本当に頭が上がりません。終電の1本前で帰宅して翌日の集合にバッチリ寝坊してしまったのは今となってはいい思い出です。


    ―面接試験の前に書類選考があったとのことだが、通った時の気持ちは?

    出願要件④の資料の薄さや、論文がない事がかなりネックだと思っていて、正直落ちるかもしれないという思いが大きかったので本当にびっくりしました。


    ―面接試験の形式は?

    法学部はグループディスカッション(8人で90分)と個別面接(15分)でした。教育学部はポスターセッションだったりと学部によって形式は様々です。待ち時間を含めて試験が半日あったのでグループのメンバーとは1日でだいぶ打ち解け、今でもご飯に行ったりと仲良くしています。


    ―事前練習はどのように?

    グループディスカッションについてはクラスメイトに協力してもらって2日前(!)に一度だけ練習をしましたが、自分の意見や考えをいろいろアピールしようとして空回りしてしまいました。また、面接練習は3回ありました。そのうち1回は(今考えてもなぜなのか本当に謎ですが)なんと校長先生が参加してくださったのですが、相手が元々見知っている先生だということもあっていい格好を見せようとガチガチに肩を張ってしまい、終わった後に尽く泣いてしまうという散々っぷりでした。とても受かる雲行きではなかったです。


    ―本番ではどのような立て直しを?

    グループディスカッションについては反省して色々と調べた上で、本番では「他人が発した意見について、同意や譲歩をしつつ補足をしたり疑問を立て、議論を前進させる」ことに徹しました。あえて自分の意見を強く主張せずに周りを観察しながら発言したのが功を奏しました。また面接については3回の練習の中でいただいたアドバイスをよく読み返した結果、「どうせ緊張するのだし相手は自分よりはるかにすごい教授陣の方々なのだから、自分みたいな一高校生ごときが小賢しく何か話したところで見抜かれてしまうだろう。それならありのままの自分で当たって砕けよう」と吹っ切れた気持ちで挑めました。


    個別面接ではどのような質問が?

    ※同じ法学部推薦のメンバーでもかなり質問されたことが違っていて、一概に参考にはならないと思うのでそのつもりで読んでいただきたいです。

    私の場合は、高校時代の活動実績のことよりは志願理由書の①で書いたことに対する質問の方が割合多かったと記憶しています。多分、尖ったことを書いたので教授に食いつかれてしまったのだろうなと思います。「アメリカの分断について話していたけど分断することがどうしてダメなの?」「日本に分断が起こるとしたら何が要因で起こると思う?」など、答えが明確には出せないような抽象的な質問をたくさんされ、瞬時に自分なりに考える力を試されているなと感じました。高校時代の探究活動の中で人前で話す力をつけられたのが、この試験に挑む上で大きかったです。


    ―筆記試験の有無は?

    筆記についてはセンター試験が選考基準に含まれていました。大学側が定めていた基準自体は80%程度以上でしたが、二次試験も受けるつもりで勉強していたので本番は95%弱をとることができました。模試の自己最高から50点上がったので、理科と社会の最後の追い込みの大切さを身にしみて感じました。(ただし英数国は早めにコツコツやっとかないと死にます!)


    ―受験中辛かったことは?

    推薦の試験日が12月15日で合格発表が2月13日、一般の試験日が2月25、26日だったので、合否がわからない状態で一般の勉強をするのがかなりつらかったです。受かっていて欲しいという願望と落ちているかもしれないという不安の狭間で悶々としてしまって、いまいち勉強に集中できていませんでした。

    その集中力のなさに自己嫌悪して負のスパイラルへ…。私ほど二次に手が付かない人はいないかもしれませんが、受験する上でそれなりの覚悟は必要だとも思います。


    ―合格した今、何が合格につながったと感じるか?

    一つ感じているのは、少なくとも法学部の推薦入試では「自分なりに考え、伝える力」というものが結構重視されているのだろうなということです。私は昔から一人でぼーっと考え込むのが好きで、探究活動での研究内容もそうだし、先述の志願理由書にも兼ねてから考えていたことを無理に背伸びすることなく正直に書きました。今考えると教科書的でないまあまあお行儀の悪いことを書いていたな…と思いますが、むしろそういう荒削りな考えに教授の皆さんは注目してくださったのかもしれません。

    再三にはなりますが、実際、二次選考での個別面接の際には志願理由書に書いたことについてかなり質問されました。またまた再三にはなりますが、この場でされた質問というのも「そんなん誰にもわかるわけないやん…」という掘り下げ方をされたり、かなり抽象的な問いを投げられたりして、瞬時に考えて自分なりに結論を出す力を試されているなと感じました。拾ってもらえた理由として思い当たるのはこの辺りです。

    あとは、合格者発表後の大学側の会見で、「受験者の卓越性・多様性・潜在性を見ているが、卓越性ばかりが取り上げられているように感じる」といった趣旨のことを大学の方が仰っていましたが、私はまさしく多様性と潜在性で受かったのだろうなと思います。

    卓越性で言えば〇〇オリンピック入賞者や〇〇大会金賞受賞者などが実際に推薦同期にいます。しかし、例えそういった華々しい成績はなくとも、「この人なら何かやってくれそうだ、うちに欲しい」というその『何か』を大学側に感じ取ってもらえたのではないかと今改めて感じていますし、私以外にも「そう思う」と話している推薦生の友人がいます。言語化しづらくて非常にもどかしいですが。そういえば担任の先生は、私が色んな意味でかなりぶっ飛んでいたので「こんな人が東大にひとりぐらいおった方が面白いよね」という観点で推薦書を作成したそうです。


    ―推薦入試のメリットは?

    実際に感じたこととしてはコネクションがかなり強くなるということです。先述の通り法学部はグループディスカッションなので入学前から同じ学部の友人ができますし、上下のつながりもあり、学部を超えた知り合いもたくさんできます。ただ仲良くなるということではなく、経歴豊かで向上心の高い人たちから情報と刺激を身近にもらいながら過ごせるのはとても恵まれた環境なのだなと日々感じています。


    推薦入試のデメリットは?

    これを書くかは非常に迷ったのですが、せっかくの機会なので書いてしまおうと思います。一般的にはやはり、教養学部での2年間を経て専門学部を決められるという東大の恩恵が少し薄れる点でしょうか。もし明確にやりたいことがないのであれば推薦入試を無理して受ける必要もないと思います。あとは、入学後「私はどうして推薦入試で合格したのだろうか?」と考えてしまうこともないではないということです。こんなこと考えても仕方ないんですがね…(笑)


    ―読んでいる方々へのメッセージを。

    可能性に溢れている皆さんには、先ほども書きましたが推薦入試を考えていてもいなくてもとにかくいろいろなことにチャレンジしてほしいと思います。その踏み出す一歩がいつか回り回って自分の強さになってくれる日が必ず来ます。私は出願の時、過去に模擬国連参加や英語の資格取得、短期留学などを足踏みしてしまったことをとても後悔しました。迷っていることは今すぐにでもやってしまいましょう。進路なんていつどう転ぶかわかりませんから。また、だからこそ、志望大学や憧れの大学が推薦入試をしていれば1年生のうちにその出願要件を調べておくことも重要だと思います。それぞれの大学、学部で出願要件は異なっているし、翌年も同じ出願要件でくるとは限らないから、情報収集は大事です。チャンスは増やせるだけ増やしていきましょう。

    そして、周りの人には常に感謝と尊敬を忘れないでください。私は受験を通して、家族はもちろん、私に受験を薦めてくださった担任の先生や数学科の先生、そしてたくさんの先生方、塾の先生方、探究類型のクラスメイトの人たちを含め友人たちに助けてもらい、応援していただき、合格までたどり着けました。決して当たり前のことではないですし、そうしていただけることへの心からの感謝は本当に忘れてはいけないと思います。そして、その当たり前の姿勢が気づかぬうちに回り回って自分への追い風になっているのではないかなというのが今の私の考えです。

    また、推薦入試はあくまで本線の入試ではないので、「受かるために準備して受かる」というよりは「何かしらやってきたらそれが評価されて受かる」入試であるということは忘れないでほしいなと思います。そういう意味では一般入試とはちょっと毛色が違います。だから、受かろう!と思わなくて大丈夫です。受かろうと思っているとおそらくどこかで背伸びしてしまう危険がありますし、それはとても勿体無いと思うので。やれるだけのことをやって、チャレンジできそうなら遠慮なくチャレンジしてみてください。受験しようかと足踏みしているそこの皆さん、応援しております!

  • 【合格体験記】工学部推薦入試

    【合格体験記】工学部推薦入試

    推薦体験記

    みなさんこんにちは。
    今回は、工学部推薦生(2020年度5期, 領域1)として受験体験記を書かせていただきます。
    少しでも推薦について知ってもらえたり、興味が湧いてくれたりしたら嬉しいです。


    1. 推薦入試という選択肢

    なぜ私が推薦入試という選択肢を考え始めたのか。一番最初の理由は至って単純で、東大に受かる可能性があるならチャンスは少しでも多い方がいいと思ったからです。その後きちんと仕組みや享受できるメリットを調べて、受験を本格的に考えるようになりました。(高3の夏頃から緩やかに推薦入試の準備を始めました。)

    具体的に私が惹かれたメリットは、
    1. 学部指定で入学できる
    2. 早期履修のしやすさ
    の2つです。

    通常、東大の入試は科類だけを決めて出願する方式で、後期過程(大学3年生以降)の進学学部は、成績も加味された上で希望に基づいて、後から決定されます。しかし、推薦生は進学選択には参加せず初めから学部が決定した状態で入学することができます。このメリットはまた後ほど述べたいと思います。

    もちろん、他の学生と同様に2年間は前期教養過程を過ごし、3年生から後期学部生になるという仕組みは変わりません。しかし、推薦生は前期教養過程に属して幅広い学びを受けつつ、希望すれば早くから後期過程の授業を受けることができるのです。元々前期教養過程に魅力を感じていたので、上記の2点は私にとっていいとこどりのメリットでした。

    条件に合うならば、推薦入試はとても魅力的な選択肢のひとつです。


    2. 向き合ったもの・考えたこと

    振り返ってみると、私にとっての推薦入試は「ただ大学に入るための入試」ではなかったように思います。準備期間は、ひたすらに自分と向き合って将来について悩み考える時間でもあり、だからこそ、結果がどうであれこの受験には意味があると思えるものでした。

    他の学部については詳しく知らないので言及しませんが、工学部では、1次審査で各種書類(志願理由書, 高校時代の活動報告書等)の提出、2次審査で約45分間の面接があります。私は学術系オリンピックへの出場経験がなかったため、研究活動や海外研修の成果を活動報告として提出しました。

    ここで難しかったことが、高校時代の活動と自分が将来やりたいこととの繋がりです。高校での研究は放射線関連の研究で、海外研修も多くはその内容に関連したものでしたが、私の興味分野はまちづくりや都市工学でした。自分の中できっかけや考えはあったものの、それを相手に伝わるように、軸を意識しながら自分の言葉にしなければいけなかったため、書類準備でも面接準備でも苦労しました。高校時代にやっていたことがそっくりそのまま将来に繋がる人は少ないと思うので、それよりもむしろ、経験を通して何を考えたり得たりしたのかということが大切だろうなと意識して進めました。

    きっとこの推薦入試を受けていなかったら、自分の高校時代の活動を深く振り返ることはなかったと思うし、将来もしくは大学でやりたいことにも真剣に向き合っていなかったと思います(勉強が忙しくなればなるほど、蔑ろにしてしまいますね) 。たくさんの先生方に協力していただいて、他者から見た自分の強みや評価を知ることができたのも良い経験だったと思います。今の私のために必要な経験でした。


    3. 面接当日

    まず形式的なことを紹介すると、工学部の二次審査は5人の教授対自分の面接(約45分間)です。志望する領域によっても変わってきますが、領域1を志望した私の場合は口頭試問等がなく、純粋に教授の方々との対話という感じでした。

    対話の中身としては、高校時代の話も今後の話も満遍なく聞かれたような印象で、自分が書類に書いたり面接の中で話したりした内容についてさらに深く掘り下げられた記憶があります。

    また、「あなたの理想を実現するためにはどのような技術が必要になると思うか, もしくは今の段階で考えている構想はあるか」など、かなり具体的な話を求められることが多かったと思います。面接練習で用意したような質問は殆どありませんでしたが、その場で思考をまとめて自分の言葉にするという経験として、練習は役立ったのではないかと思っています。

    正直、面接を受ける前までは45分ってなんて長いんだろうと思っていました。その他にも、圧迫面接だったら嫌だなとか自分の専門性の脆弱さを突かれたらどうしようとか、本当にいろいろな不安がありました。実際はそこまで心配することはなかったというのが結論です。時間に関しては、教授が5人もいらっしゃるので、それぞれの方から質問を受けていたらいつの間にか時間が過ぎているという感じでした。内容に関しては、面接というよりは対話です。これは自分が受験準備を進めている時にも同じようなことを言っている先輩がいらっしゃって、当時はなんのことか実感がわかなかったのですが、実際受けてみてすごく納得のいく表現だなと感じました。

    また、その道のプロである教授を5人も相手にしてお話ができるというのはある意味貴重な経験だったと思います。自分にはなかった思考の切り口から質問を投げかけられることもあり、全てに満足いく回答ができた訳ではありませんが、対話自体は想像よりも楽しかったです。(緊張はもちろんしていたので、面接中の自分の言動はそこまではっきり覚えていませんが)


    4. 入学後について

    メリットとして、1.学部指定で入学できる, 2.早期履修のしやすさ の2つを挙げましたが、これらについてもう少し触れておこうと思います。まず、学部指定で入学できるということですが、これは入学後の履修の自由度に影響があると感じています。一般入学生が乗り越えなければならない進学選択を経る必要がないため、そこまで点数を気にせず、興味に応じた履修が可能です(東大生の中でも勉強ができる人にとってはあまり関係ないかもしれませんね……)。

    例えば、私は世界史にも美術知識にも昏いですが、内容が面白そうだった、かつ美術観賞が好きという単純な理由で美術史の授業をとりました。受講生は文系の学生が多いですが、今までになかった分野の学びを得ることができてとても楽しいです。加えて、早期履修も可能なので、1,2年生のうちに工学部の授業をとって後期過程分の単位を得ることができます。私は、まだ活用できていないのでこれから工学部の授業を履修していく予定で、楽しみにしています 。他にも、アドバイザー教員として何人かに1人先生がついてくださるので、進路や履修の相談をしやすいというのもメリットとしてあるかもしれません。


    5. 推薦を考えている方へ

    ここまで書いてきたように、私は推薦入試を受けてよかったなと思っています。別に学術系オリンピックに出ていなくても、スーパー高校生じゃなくてもいいんです。打ち込んできたものや興味があるものに対して、考えや熱意を自分の言葉で伝えられることが強みになる、そんな入試方式だと思います。

    推薦に全力を注いで勉強を二の次にしてしまうのは良くありませんが、あくまでも選択肢の1つ・チャンスの1つとして挑戦する意義はあるのではないでしょうか。FairWindにも推薦生が何人か所属しているので、受験準備で疑問に思うことや不安に思うことがあればぜひ質問/相談してみてくださいね。応援しています。

  • 【合格体験記】理学部物理学科推薦入試

    【合格体験記】理学部物理学科推薦入試

    おことわり

    2019年度の推薦入試を受験したので入試の情報は現在と異なる場合があるかもしれません。
    また理学部物理学科での受験でした。他学科とはとくに面接の様子など異なる場合がありえます、以上を踏まえて読んでいただけると幸いです


    イントロダクション

    東大の推薦入試には早い段階で興味があり、そのための実績作りという意味もあって競技科学(数学オリンピックなどの通称)には何度か参加しました。運良く予選を突破し本選に出場する機会を得ましたが、その時に感じたことなどが地方出身者として皆さんの参考になるかもしれないと思い、書かせていただきます。

    本選では全国から出場者が集まるわけですが、競技科学の性質もあって、首都圏の進学校生がマジョリティを占めている印象があります。大学入学後にいろいろ見聞きするうちに、地方では進学校ですらそういったコンテストがあることを知らない人が多いということを感じさせられます。

    僕自身もコンテスト系の情報は自分で手に入れていきましたが、研究活動で実績を作ろうという頭が全くありませんでした。周囲に研究活動をする雰囲気もなく、全国規模の大きな発表の場があることなど知らず自力でなかなか形にできる自信がなかったからです。きちんと知ることが出来ていれば、コンテストよりは研究活動で高校生活を送りたかったと今になって後悔しています。

    貪欲に情報を集める努力が足りなかったという自分の反省もありますが、おそらく最初のとっかかりは何気なく目にしたポスターだったりと思います。その探してもないのにふと目につくポスター的な存在がどれだけ周りにあるかは、確実なことは言えませんが地方と首都圏では少し差がある気がしています

    このFairWindという団体では主に大学受験における地方高校生のディスアドバンテージに対して後押しをしています。ここからは主観が入りますが、推薦生風(?)の学び、すなわち理系を例にとれば競技科学や研究活動といった学びに関しても地方の高校生は不利であると思います。それは情報が手に入らない、という点や経験者が周りにいないので身近に感じられない、そもそも参加する雰囲気や土壌が育ちにくいという点で難しさがあるように思います。

    どうしても自力で情報をもぎ取ってくる努力や人脈を作る努力、あるいはSSHやSGHなど与えられた環境から得られる物を最大限に生かす努力が必要だと思います。僕自身もそういった視点から地方高校生を後押しできればと思っています。推薦入試を考えている皆さんもそうでない皆さんも頑張ってください。


    2次試験

    受験生1人に対し、試験官が大体9人の面接でした。ただし、そのうち喋ったのは自分の受験する学科に関係する人のみらしく、僕の場合司会の先生と物理学科の先生2人でした。他の6人はずっと見てました。せっかく同席されてるなら雑談でもして和みたかった。

    試験会場にはホワイトボードがあってそれを使って答えてもよいとされています。物理でも数式を解かせたりすることを想定して臨みましたが、実際には口頭で答えられる質問が多く、ボードは補助的に使うことを想定していたように思います。必死に書いて答えようとしすぎて調子が狂いました。

    まずは提出書類の内容に絡んで軽い質問、続いて学科専用の問題を解かされる、という形です。書類には物理以外にも生徒会のことなど書いたのですが一切触れられませんでした。他学部だと関係ないことも聞いてくれるみたいですが、理学部は理科のことしか質問されないようです。裏話で聞いたところによると時間内で解き終わらない問題を予備含めて用意しているそうです。また、答えに詰まると助け舟も出してくれるので完璧に解けずとも自分の得意な問題で精一杯アピールすればいいと思います。

    今になって思うと聞かれた質問は、普通に高校レベルではなかった気がします。競技科学をするなら基礎みたいな問題ではありましたが。


    理学部

    理学部の推薦入試はかなり成績重視といった雰囲気を受けます。理系だと大きく科学コンテスト系研究活動系(もちろんその両方も)の実績に分かれると思いますが、理学部の場合コンテスト系の推薦生が多い印象を受けます。

    個人的に推薦生の多様性がすごく好きなのですが、理学部に限って言えば有名進学校出身者が多い印象です。そもそもコンテストの世界大会出場者が何人かいます。他の競技科学での世界大会出場者も輩出している高校から来る受験生もいますが、校内選考を突破したと思うとこわいですね。とはいえ世界大会とまではいかずとも、コンテスト成績関連のそこそこの実力(国内大会本選での好成績とか本選+研究活動でも活躍とか程度?)があればほぼ確実に受かるといった感じでしょうか。他学部と理学部で出願を迷っている際には参考にしてください。勉強っぽい推薦入試が得意なら理学部をお勧めします。

    ただし実力が必要条件といったわけでもなく、研究活動もしっかり評価されているので、コンテスト上位者を横目に自分の研究してきたことをコアにアピールしていく作戦もありです。用意された問題は解けなくても、志望理由書にかいていれば研究についてはかならず聞かれるはずなのでそこで存分にアピールすればとってくれそうな気がします(多分)。


    コンテスト、研究活動

    当然のことながら推薦入試で受かるためにはそれなりの実績が必要です。地方に住んでいて一番辛いのは実績になるコンテスト、研究などの情報が乏しいことです。実際競技科学の大会は関東、関西の進学校の出場者でいっぱいです。東大に入学した後、そういったコンテストがあるのさえ知らなかったという声もよく聞かれます。

    とはいえ多くの推薦生が、推薦入試のために実績を作るというよりも、自分の興味のあるものをとことん詰めて行った結果推薦入試で戦える実績が出来た、という形が多いのでは無いでしょうか。まずは学校での勉強に止まらない広い学びを求めること、そしてそうした学びができる場、自分の興味を突き詰められる場をアンテナを高くはって求めること、こういった努力が入試に合格するだけでなく、大学入学以降にも生かせる強みになると思います。


    推薦入試と一般入試

    推薦入試だけではなく、多くの皆さんが一般入試を目指すかと思います。推薦入試の準備と同時に共通テストや一般入試の勉強もしなければならないというのは普通の受験生に比べると負担が大きいです。あまり具体的なアドバイスはできませんが、共倒れしないようにいかにバランスを取るかが重要なので、そこは先生にサポートをもらうことを念頭におくと良いでしょう。

    合格体験記的なことを言うと、推薦の2次が終わったらセンターや一般に専念しようと計画しており、実際直後にすぐ切替は出来ました。ただ合格発表の2、3日前は思ったより異様な興奮や不安でいっぱいになり、勉強どころではありませんでした。もし推薦で落ちていれば立ち直れずに受かるところにも受かれない状態だったかもしれません。精神状態をコントロールする難しさを痛感した数日間でした。


    推薦入試の魅力

    そもそも僕は受験勉強に逆張りした結果競技科学に手を出し、その感じのまま推薦入試での合格に魅力を感じていました。ある意味推薦で入ることに自分らしさを求めたのかもしれません。もちろんそれだけではなく、推薦入学で得られるメリットを生かして研究者になるという目標を少しでも引き寄せたいという思いもありました。実際に合格したあとは、アドバイザー教員に積極的に相談して研究室見学を3回ほどさせてもらったり、早期履修で授業を先取りし刺激をもらったりという利点を予定通り享受しました。

    一方で思わぬ副産物として、人脈が出来たことが挙げられます。他の推薦同期や先輩後輩と交流する機会がありますが、なんといっても一人一人とがっていていくらでも話を聞ける面白さがあります。バックグラウンドも出身地もバラバラで、おそらくそれが推薦入試で念頭に置かれている多様性という言葉で表されるのだと思いますが、そういった言葉をわざわざ使わなくても、ごちゃごちゃいろんな人が混じり合っている様子のワクワク感は今では推薦生として入学したことの一番の魅力だと思っています。

    そしてこれはメリットかつデメリットでもあるのですが、教養学部で勉強するとき、“逃げ” の理由ができてしまいます

    自分の弱さを暴露することになるので恥ずかしいですが試験勉強をしていて、思わず内定しているから単位さえ取れてしまえばいいや、という “逃げ” の気持ちが出てきます。同級生は進振りのために必死に勉強している横で内心ふわふわしていました。

    あまりにも進振りに翻弄されてわけもわからず勉強するのもそれはそれでどうかと思いますが、推薦だから適当になるのもまた問題ですね。むしろ推薦生なら “翻弄されない” だけで“サボっていい”わけではないので、結局そこは自分次第だと言えるかもしれません。

    ただこれはメリットと捉えることもできて、最悪単位さえ取ればいいので、いろいろなことに挑戦できるチャンスでもあります。必修の授業のいくつかは独学でなんとかなりそう、と思って理学部の授業にもぐってみたり、3年生以降は物理で忙しくなるだろうから、バイトを楽しむ最後のチャンスってことで週末は飲食店で調理バイトしたりと他の東大生があまりしていないかもしれない体験にも挑戦できたのは個人的には満足できた部分です。


    まとめ

    きっと個人差はあるとは思いますが、推薦入試に挑戦する価値は計り知れないと思います。そしていわゆる受験勉強の枠組みを外れたフィールドでの学びにも積極的に参加することを僕からは大いにおすすめしたいと思うところです。ぜひ柔軟な視点で様々な世界を見てみてほしいと願っています。高校生活をたのしんでください。

  • 【浪人を経て東大へ】浪人時代の体験記

    【浪人を経て東大へ】浪人時代の体験記

    はじめに

    あなたは「浪人」ということに対してどのようなイメージを持っていますか? 一般的には現役合格について語られることが多いかもしれません。しかし、浪人だからこそ得られる経験もあります。そこでこの記事では、私が浪人を経験して東大に合格するまでの道のりを紹介しながら、浪人期に考えていたことを正直に綴ろうと思います。手本になれない部分もたくさんありますが、一つの浪人体験記として参考になれば幸いです。


    現役での大学受験を終えて

    初めての大学受験が明けた春先。合格者一覧の中に自分の番号はありませんでした。しかし、不合格を突きつけられた私は、正直涙も出ませんでした。自分の弱さなどずっと感じていたからです。十分な努力ができず、やるべきことをかなり残したまま受験に臨んだことに後悔がありました。本番も得意だった数学で失敗し、他の教科でもうまくいかず。不合格は当然の結果でもありました。そして、現役の頃はその弱さから、「このまま合格して大学でうまくやっていけるのだろうか」「まだやり残したことはある」といった思いがあり、合格が本当に良いものなのか、葛藤すら抱えていたのです。

    そして直面した不合格。だったらもっと自分に磨きをかけるため「もう一度チャンスをくれ」と。その思いを胸に、浪人への覚悟はいち早く決めました。


    再挑戦の第一歩

    浪人生活を始めるとき、多くの人が予備校などの所属先を考えます。私も相当悩みました。百聞は一見にしかずということで、実際東京に赴いて駿台の体験授業を受けましたが、それでもなお地元に残るか東京で下宿するかで頭を悩ませ続け、行き詰まった私はここで初めて泣いてしまったのを憶えています。やはり受験とは辛さも伴うもの。それまでは実感のなかった「もう一年」という大きな選択を前にして、一度は屈してしまいました。

    最終的には、家族や先生に相談しながら、長期戦を乗り越える上で自分の過ごしやすい方として、地元に残って新たな生活を始めることに決めました。このとき母校の先生がかけてくれた言葉を今でも憶えています。

    大事なのはどこで勉強するかよりもどう勉強するかだ、と。

    これは再スタートの覚悟を決める上で印象的な言葉でした。今でも思うことですが、何事においても主体性が鍵を握っています。特に受験において誰かに依存していては非生産的な結果しか生まれません。確かに勉強をする環境も非常に大事ですが、受験は自分の工夫次第で大きく変えられるということを、今この記事を読んでくれているあなたにも肝に銘じていただきたいと思っています。


    自分と向き合う2度目の受験勉強

    3月下旬、心機一転として地元の新たな塾に身を置き、もう一度合格に向けて進み始めました。しかし、ふりだしに戻ったわけではありません。浪人の強みは大きく3つあります。これまでの学力の積み上げが1年分大きいこと、現役で一度失敗を経験していること、そして失敗の原因となった弱点を補完するための時間が存分に与えられていること。これらの強みを活かせば、現役生よりも不利であることは決してないはずです。

    しかし、浪人はそんなに甘くはありません。学力の積み上げがあると言っても、勉強の方向性がずれていては伸びが悪く現役生にあっという間に追い抜かされてしまうし、時間も適切に使わなければあっという間に過ぎていきます。浪人生が学力的にリードしているのは当然なので、もはや模試の判定にも安心できない世界でした。現役時にA判定を出していたので、浪人してからの記述模試ではA判定から下がれないと思っていました。そんな浪人期は、未習分野もなく生活スタイルも違う点で、現役の時とは全く違う一年になりました。

    ここで、浪人期に行っていた勉強を記そうと思います。自習ベースの予備校だったのですが、その際に添削や映像授業を頻繁に利用していました。自分の間違い方の癖や答案における論理の不備などを指摘してもらえる添削は大切な武器になります。私は、主に過去問の添削を予備校の先生方にお願いし、浪人期は毎週取り組んでいました。加えて、英語は英作文の添削を秋以降集中的に受けていました。その他にも現役時から使っていたZ会も利用したりと、独りよがりの勉強にならないような工夫を心がけていました。また、映像授業も、自学自習だけでは身につかない考え方をプロから学べる点で強力でした。地方にいながらトップレベルの授業を受けられるのは現代の科学技術の恩恵ではないでしょうか。自分と向き合った勉強を大事にする一方で、プロからフィードバックや新たな知見を得ることは、長い受験勉強をする上でも安心材料となります。

    ところで、時間を適切に使わなければあっという間に過ぎていくと書きましたが、私自身気の緩みはたくさんありました。予備校から帰った後、息抜きと称して無駄な時間を過ごしてしまったことは受験時代の後悔です。確かに、最適なペースで進み続けるのはとても難しく、だらけてしまうこともありますが、一生懸命努力をして臨んだ受験はきっと輝かしい思い出になります。未練のない努力をしてほしいということを、受験を終えた身として伝えさせてください。


    迎えたリベンジの冬

    私は長丁場の受験で勉強の方向性を見失わないように、長期的なスケジュールと、そこから割り出される日々のスケジュールを立てることを大切にしていました。しかし、一年間スケジューリングを行っていたものの、冬になっても完成には程遠く、課題を残したままセンター試験はやってきました。順風満帆に受験が進むとは限りません。ここまでくると、重視すべきは積み上げた学力よりも本番でいかに力を発揮できるかです。私は受験に対する不安や緊張はあまり感じないタイプだったのですが、一発勝負の試験で体調不良でダウンするのはなんとしても避けたい思いがあり、そういう意味での緊張を抱えて臨みました。これも母校の先生から頂いた言葉なのですが、私は、過度に緊張しないように「槍が降っても気にしない」精神を大事にしていました。センター試験の受験会場は自宅からだいぶ離れたところにあり慣れない場所でしたが、多少の緊張があっても緊張している自分を受け止めて落ち着いて受けきることができ、一つ大きな安心を得ることができました。

    最後のセンター試験では、現役時より点数を伸ばし、東大の足切りも越えたものの、9割には届きませんでした。しかし自分は東大に合格する一心で受験をしてきたので、引き下がる意味もありませんでした。合格者のセンター平均点は9割と言われますが、実際は9割に届かなかった合格者も割といる印象です。根拠のない自信は盲進になりかねませんが、これまで培った自分の能力を信じて、怯まず強気でいることは私にとっての合格の秘訣でした。

    センター試験が終われば東大への最後の道が始まります。去年と違ってここで勝負は決着。出した結果が次の進路。なんとしても勝たねばという気持ちは去年より強くなりました。現役の時よりもセンター利用を多く取り入れたり私大受験数を増やしたりと、浪人時は現役時より詰まったスケジュールでした。その分効率よく勉強すべきでしたが、要領の悪かった私は課題を計画通りに進められませんでした。やり残した勉強を仕上げるのが当初の目標だったのに、センター前と同様この時期でもやり残したことはたくさんあって、一年を後悔することもありました。でも腹を括らなければなりません。私は一年間、予備校で毎日現状報告の日記を書いていたのですが、東大受験のために上京する直前の日、覚悟をノートに宣言しました。

    これまでに解いた問題を手にとって振り返ってみて、積み重ねてきたことの多さに気づきました。何もかもを完璧にやってきたわけではなく、できずに終わることもたくさんあります。でも、それもこの一年で自分がしてきた選択なので、自分自身で可能性を潰すことなく、最後は合格という“正解”を描けるようにしようと思います。

    合格した今振り返ってみると、この言葉を記して良かったなと思っています。これまでの受験勉強の結晶として、最後に自信を繋いでくれた言葉でした。完璧な準備をして受験に臨める人はいません。そのため、できなかったことに目を向けて萎縮したり不安を感じるのではなく、これまでの自分の道のりを肯定的に認めてあげることが大切です。受験勉強をする上で周りの人に頼ることも時には必要ですが、本番で受験をするのは自分自身なので、自分なりの覚悟を持つことがとても大切なのではないでしょうか。

    ここで、私が出願した併願校について少しお話しします。センター利用は、取りやすい理科大や明治大に加え、早稲田にも出願しました。結果として早稲田以外のセンター利用に合格しましたが、これらは東大受験前に合格が決まるので、取っておけば安心材料になるはずです。一般受験は早慶と明治に出願しましたが、センター利用の合格が濃厚だったこと、移動の負担もあることを踏まえて早慶の受験に絞りました。本命の受験に支障が出ないように併願校の受け過ぎには注意ですが、やはり本命の前に併願校を受験しておくのは良い練習にもなります。

    東大入試本番。この時期はちょうど国内にコロナウイルスが現れ始めた頃なので、体調にはより一層の注意を払っていました。ただでさえ特別な場で、通常とは違った空気感がありましたが、試験も通常通りに運ぶわけではありませんでした。国語は時間が間に合わず、現役時と同じ過ちはしないと一年間注意し続けてきた数学で二の舞を踏み、理科も序盤から詰まり、英語でも挽回できるほどではありませんでした。1日目の夜は、澄ました顔をして実は不安を募らせていた気がします。2日目最後の英語でも、想定外に周りがペンを走らせる音が気になってしまいました。焦って問題に手がつかなくなりましたが、私は、その時取り組んでいた大問から一旦離れ、これまでにない解き順に舵を切って状況をたて直しました。試験ではこれまで通りの平常心で臨む一方で、臨機応変さも大切です。本番でのトラブルは即座に対応できるようできるだけ想定しておいた方が良いので、事前に対策を考えたり調べておくと安心ではないでしょうか。

    色々ありましたが、かくして2度目の3月10日、東京大学への合格を果たしました。もしかしたら失敗していたかもしれないと思うと、改めて合格まで走り抜けられたことに感謝が溢れる一年でした。振り返ってみると、浪人の一年は長いようで意外と短く、自分にとっては一瞬でした。浪人に限らず今受験勉強を頑張っている方には、辛いことも乗り越えて、「今、ここ」を大切に合格への道を歩んでほしいと思っています。


    浪人経験から得たこと

    ここでは浪人経験から得たことを大きく二つに分けて示したいと思います。

    • 途中見出しにも掲げたように、自分と向き合うことは勉強に限らず大切です。受験勉強は、簡単に言えば「分からない」を「分かる」に、そして「分かる」を「解ける」に変えていくものです。自分がこのうちのどこに位置するのかを把握することは、やるべき勉強を決める上での基盤となります。例えば三角関数自体がよく分かっていなければ基本からやり直すことになり、三角関数の基本や公式の意味が分かっているもののいざという場面で運用できないのなら問題集で練習する、といったように立ち位置によって課題は違います。その位置を把握するための手段として有用なのが模試や添削です。実践的な場で自分が出した解答や第三者のフィードバックをもとに、自分が見えていなかった自分まで見つけ出し、成長へとつなげていってください。
    • よく「浪人生は伸びない」と言われますが、決してそんなことはありません。そのように言われるのは、実際に勉強量を増やしても実力が伸びないケースが多いからです。しかし浪人の一年間で大きく成績を伸ばす人もおり、私自身現役時は38点足りませんでしたが、浪人をして合格最低点を16点上回ることができました。点数は学力の本質ではないので証拠とするのもおこがましいですが、ここで言いたいのは自分次第でいくらでも成績を伸ばすことが可能だということです。成績を伸ばす具体的な方法は人それぞれなので、ここで明確な答えを呈示することはできませんが、迷った時には先達の様々な意見を参考にして自分なりの勉強を確立すると良いのではないでしょうか。

    おわりに

    ここまで読んでいただきありがとうございました。私は一年浪人して東大に合格することができましたが、理論を積み重ねるばかりで行動力に欠けた人間でした。正直、もう一度同じ道を経て受験をしても合格する保証はないですし、もっと頑張ればよかったという後悔もあります。だからあくまで参考程度に留めてもらえると幸いです。むしろ大事なのは自分の生き方です。受験勉強、特に浪人となると辛いこともありますが、それを乗り越えた先には今よりももっと素晴らしい自分が咲くはずです。共通テストの導入や指導要領の改訂、そしてコロナ禍という新たな局面での受験が控えていますが、その状況で今できること、やるべきことを見つけて受験勉強に励んでほしいと思っています。

    応援しています。

  • 浪人体験記2

    浪人体験記2

    はじめに

    今回は来年も受験に挑戦する方々に気をつけてもらいたいことについて話したいと思います。
    精神的なことや、日々の生活を中心に話すので、他学年の方も多少は知って得することもあるかと思います。

    1. 精神面について

    まずは精神面についてのお話これは僕がこの記事で1番言いたいことなんですが、
    1度失敗したからといって自分の全てを否定するな!!
    という話です。

    受験での失敗はやはりダメージが大きくて、
    「受験までに積み重ねていた自分の努力は間違えていたのでは」と思ってしまうことでしょう。
    確かに実際、不合格という結果になってしまったから、何かしらの間違いがあったとは思います。

    でも、不合格にはなったものの良く出来ていた点はたくさんあると思います。
    例えば、演習の量が少なかったから本番で点数がとれなかっただけで、
    勉強の質自体はそこまで悪くなかったということがあると思います。
    自分の受験前のことを何でもかんでも間違っていたと否定してしまうと、せっかくちゃんと出来ていたことを否定しまって更なる成長が望めなくなったり、自分を否定しすぎて気が滅入ってやる気が起きなくなったりして、何かと良くありません。

    これは浪人生活開始直後だけでなく、模試の後も同じようなことが言えると思います。
    模試の結果が悪かったからといって自分を否定せず、自分の良い点、悪い点をしっかり洗い出して、ネガティブにならないように気をつけましょう。
    浪人生活は以外と長くて、何度もくじけそうになると思います。
    そんな時に、自分を支えられるように自分の良い点をしっかり見つけましょう。

    2. 日々の生活〜受験と体力

    次に日々の生活についてのお話実際に1度受験を経験して、どれほど大学受験に体力が必要かが分かったと思います。
    特に、体育や部活が終わってから長い時間がたっていた人は相当疲れを感じたのではないでしょうか。
    浪人生活では意識して運動しないと全く体を動かす機会がないので、どんどん体力が落ちていってしまいます。
    そうすると、体調を崩したり、受験本番で体力が尽きて最後まで集中できなくなったりしてしまいます。
    これでは、せっかく一生懸命勉強したことが無駄になってしまって良くないです。
    そういうことにならないように日々運動をする習慣をつけましょう。

    僕は浪人中、週に1、2回くらい散歩したり、走ったり、卓球をしたりして体を動かしていました。
    運動は体力をつけるだけでなく、気分転換にもなるのでおすすめです。

    おわりに

    浪人生活が不安だという人も多いとは思いますが、その不安との戦いが受験生を強くして、合格以降の人生にきっと良い影響を与えてくれるはずです。
    頑張ってください!!応援してます!!

  • 浪人体験記1

    もし今読んでくださっているあなたが、入試において残念な結果に終わってしまった方であるならば、長文ですが私の記事にお付き合い下さい。
    読んで損はさせません。

    では本題です。今回は以下の内容について説明していきます。
    1.予備校選びまで
    2.予備校での生活
    3.浪人して良かったこと

    1.予備校選びまで

    最初に私が予備校を選ぶまでのことを話しますね。
    私は現役時代も東大の理科二類を受験して、合格最低点より20点足らず不合格でした。
    合格発表日にそのまま飛行機で北海道へ行き、北大の後期試験(理学部数学科)を受けました。そして戻ったその日に浜松の駿台と河合塾の説明会に参加しました。この頃は落ちたことに泣く暇もなかったですね。
    北大には合格できましたが、このままじゃ終われないという思いから、北大は休学し浪人の選択肢を選びました。(実は試験を受けてから一度も大学には行っていません。電話で応対してくださった方がとても親切で、休学届の郵送だけで済みました。お金も入学金しか払ってません。)
    家族や高校の担任とも、東大に再チャレンジすることで話が落ち着きました。
    そして予備校選びですが、私は地元静岡(浜松)にある河合塾を選びました。東京の予備校に寮で通う選択肢もあったのですが、自分よりもっとできる東大志望者が大勢いるクラスで生き残れるか自信がなかったので地元に残ることにしました。宅浪は人と関わることがなくなり精神的にしんどいだろうと思ったのでしませんでした。
    駿台と河合塾で悩みましたが、自分はもともと塾に通った経験がなく、高校の先輩が河合塾で浪人して東大や京大に合格していたことから、最終的に河合塾にしました。どちらでも合格するには問題のないカリキュラムだと思います。直感的に気に入った方を選べばいいでしょう。

    2.予備校での生活

    次に予備校での生活ですが、大雑把には4~7月は基礎の勉強、7~8月は夏期講習、9~11月は応用の勉強、12~1月は冬期講習とセンター対策、1~2月は直前講習といった感じでした。河合塾以外の予備校でも似たような流れだと思います。
    入試を終えて一通りの知識や応用能力が身についているとはいえ、もう一度基礎からやり直すことが浪人生の合格の近道です。よって4~7月は「入試レベルにおける」基礎~標準レベルのテキストの問題を解きながら、講義で知識や解法の確認をしていました。レベルの高い講師(河合塾は名古屋が本拠地で、名古屋の一流講師が浜松まで来てくれていたんです)からいろんな話が聞けて、塾という世界を知らなかった自分にとっては毎日が感動でしたね。
    夏期講習は特定の教科のみ「東大〇〇」という題名の講座を選んで受講し、残りの時間は7月までに使ったテキストの復習に割きました。追加で買った問題集は東大の過去問と生物の難関大レベルの問題集ぐらいで、それ以外は殆どやっていません。
    9~11月に使ったテキストは東大京大レベルの中でも特に難しい問題ばかりで、できないものも多かったですがそれらは復習中心で取り組んでいました。
    もっとも、基礎レベルが夏までに確立していたので、成績(特にマーク模試やいろんなレベルの人が受ける記述式の模試)は1年前と比べると偏差値で10以上上がりました。これは当時すごく大きな自信になりました。
    センター試験の時期には河合塾の市販の過去問集(赤本より掲載年数が若干多い)、マーク模試の過去問集(河合塾(全部)、駿台(全部)、東進(数学・化学)、代ゼミ(生物・地理)、Z会(国語以外))を買い漁り、片っ端から解いていました。マーク練習は散々やっていたし、2浪するつもりもなかったので採点も直しも全て直接書き込んで使っていました。国語は過去問が1番良質なので過去問中心にしていました。
    センター後は専ら過去問演習でした。この辺は現役時とやることがそれほど変わってません。
    1日の生活としては、朝は9時半開始、終わりは17時~19時くらいで、1時間90分制度でした(駿台はいろんな教科に毎日触れようというスタンスなので1時間50分ですね)。
    電車で往復約2時間かけて通っていたので、電車ではいつも座って数学や化学の計算をゴリゴリ解いていました(そのうち自分の横の席に座ってくれる人がいなくなりましたが笑)。センター演習も過去問広げて「次の駅に着くまでに微積1題解くぞ~」みたいな感じで電車でやってました。この時間を有効活用できたことはとても大きかったですね。
    お昼は仲のよかった高校同期が偶々数人同じ予備校に通っていたので、彼らと一緒に食べていました。自分の所属のクラスも東大京大医学部の最上位コースで13人しかいなかったので、その人たちと一緒に過ごす時間も和気藹々としていて楽しかったです。
    2次試験前は1年前と同じホテルに泊まり、試験会場も同じ部屋だったので余計なストレスはありませんでした。
    最終的には理科二類の合格者平均点くらいは取れました。

    3.浪人して良かったこと

    浪人して良かったことは多くありますが、1番良かったのはカウンセリング(河合塾内にあって、無料で利用できました)に1年間通っていたことで、毎週1時間ほどカウンセラーさんとお話ししていました。精神が病んでしまったからではなく、秋になると模試の成績が安定しないことを危惧して軽い気持ちで行ってみたことがきっかけでした。
    最初に会ってたった30分で「あなた、プライド高いでしょ」と言われたり、自分の弱いところをカウンセラーさんに突きつけられたりと辛い時もありましたが、それまで気にとめていなかった自分の価値観に向き合う機会(本当は内容だけで1つ記事が書けるほどの濃い内容ですがカットします。抽象的で申し訳ないです)を与えてくれました。
    そして結果的にはテストも安定した成績を残せるようになりました。本当に感謝しています。

    浪人って、暗くて、辛くて、病んで、カッコ悪い。そんなイメージの方も多いかもしれません。
    でも私の浪人生活は「楽しかった」です。
    大変なときも勿論ありましたが、「今持っている力でどのくらい太刀打ちできるか」という前向きな気持ちで常に模試に臨めていましたし、最後の2次試験でもこれでダメならしょうがないとある意味吹っ切れていました。
    こんな風に気持ちを持っていけるようになったのも1年間でちょっとは進歩したところなのかなぁと感じています。
    浪人生には「勉強だけしていればいい1年」が与えられているわけです。
    せっかくですから納得のいくところまで勉強して、これからどんな道に進もうかなぁなんてじっくり考えてもらえたらと思います。

  • 東大受験記

    東大受験記

    この記事では現役時をふまえつつ浪人時のことを中心に、受験のために東京にでてきた4日間ほどのことを話そうと思います。

    僕の実家は大分県と福岡県の県境で、受験のときは飛行機で東京に出てきました。現役のときは新幹線を使ったのですが車内に6時間近くいることになり非常に疲れてしまいました。東京の雪が不安だったので2次試験2日前に出発しました。着いた日はホテルでゆっくりして移動の疲れをとって、翌日会場の下見に行きました。文系は駒場キャンパス、理系は本郷、弥生キャンパスが会場になります。僕は本郷キャンパスで受験しました。キャンパスが広い上に、当日は人がとても多くて地図と乖離してしまったり、迷ってしまうと無駄な焦りが生まれてしまうと思うので、実際に見ておいた方がよいと思います。キャンパスでは受験生用に東京大学新聞やキャンパス案内などいろいろ配布していて部屋で読んでいました。東京に行ってからはあまり勉強しませんでしたね。現役のときには焦って解けない問題に取り組んでまた焦ってという感じで失敗してしまったので、落ち着くために解きなれた数学の問題を数問とリスニングを軽くやりました。

    試験当日僕は裏手にある龍岡門からキャンパスに入りました。入場門は受験番号で指定されていて、現役のときは正門から入ったのですが人が多くて一気に緊張してしまいました。受験生だけではなくラグビー部や応援部の人たちやコスプレをしている人もいて非日常的な雰囲気にのまれてしまいました。特に正門前にいたテレビカメラには緊張を助長させられて困りました。しかし、龍岡門には予備校の応援もなく受験生も少なくてかえって拍子抜けでした。

    試験開始前には手足が震えてうまく名前も書けないほど緊張しました。僕はケアレスミスが多いタイプだったので、うまいことやってやろうというよりも大きなミスなく終えることを目標にして試験に臨みました。がやはり不安で帰りに解答速報を配布している予備校がありましたが受け取れませんでした。現役のとき苦手だった数学が存外うまくいったと思って受験1日目の夜電話で母親に合格を宣言してしまったら、2日目の朝、ホテルでトイレに座っていると自分の計算ミス(しかも2問)に気づいてしまい絶望から立ち直れず2日目の英語と理科が散々な出来になってしまったという経験があったので、正しい判断だったと思います。1日目の出来不出来は考えない方が気負わずにすむのでいいです。現役のときも浪人のときも知り合いが少なかったので、昼休みを自分の好きなようにつかえてむしろ良かったと思います。昼休みがかなり長いので、散歩に出歩いたり、昼寝して午後に備えたりしてリフレッシュしました。会場の部屋は換気性が悪いので外にでて頭をすっきりさせることとかならず開始前にトイレにいっておくことを心掛けました。

    僕が宿泊したのは試験会場の本郷まで電車で一本でいける両国というところでした。実際天候や人身事故での電車の遅延は起こりうるので、試験会場に近いところに泊まるのがよいと思います。ホテルの部屋は乾燥していたのでのど飴をなめたり、風呂に水を張ったりしてしのぎました。あとはマスクですね。受験直前にのどを痛めてしまったのですが、龍角散のど飴で乗り切りました。すごいよ、龍角散。

    一番東京でありがたかったのは付いてきてくれた父親の存在でした。東京にきて困るのは電車の乗換です。時間や路線の確認から地図の準備までやってくれていて、受験のことだけに集中することができました。東京を訪れた経験がほとんどない自分ひとりだったらどうなっていたか、考えると怖いですね。精神的にも父親がいることで安心できました。付き添ってくれる人がいたことは本当によかったです。

    あとアドバイスするとすれば東大入試でははさみが必要ですが、空港で没収されないように気を付けてください。僕は筆箱にいれていて没収されてしまいました。(2020年追記:はさみは必要なくなりました。

    受験会場ではほかの受験生が気になってしまうかもしれません。実際自分も周りの鉛筆の音や行動が気になってしまいました。雰囲気にのまれないために最後に大事なことは自分に自信がもてることだと思います。
    (理科一類/大分県/公立/中津南/浪)